北田重明氏作品紹介(第1回)
現在は内藤九段が出題されていますが、かつて2年間、非プロ棋士が出題していたことがありました。
その名は北田重明。
森田正司氏編「北田重明作品集」や「北田重明氏のこと」(詰将棋パラダイス1972年2月号掲載)によると、1921年生まれ、1965年10月逝去。兵庫県神戸市で飲食店を経営されていたそうです。
「北田重明作品集」の奥付には「昭和46年11月14日」とあり、発刊から実に半世紀近くの時が流れたことになります。
広く知られた本ではないはずであり、紹介する意味があると考えた次第です。
発表数は127作とされています。
神戸新聞以外の発表先は、見つけることができておりません。
果たして、「北田重明作品集」をなぞるにとどまるのか、発見があるのか。
お楽しみ頂ければ幸いです。
「北田重明作品集」の貸与を快く許可して下さった利波偉氏に、感謝申し上げます。
今回は、レギュラー出題以前の作品を紹介します。
1952年12月14日
北田氏は、藤内七段(当時)が運営する将棋道場に通っておられたようです。
「(前略)棋力はまださほどでないが、詰物にかけては天才的な鋭さを持ち、藤内七段が一握りしたコマをもって一夜のうちにつぎの如き三種類の詰物を完成して同師をアッといわせたのである」
第一問

1三桂 同銀 1二金 同玉 1三歩成 同玉 2四銀 ⑧同玉 3四馬 1四玉
2四金 1五玉 2五馬 まで13手詰
変化
⑧1二玉は、1三金、2一玉、1一馬、同玉、1二銀まで変化同手数。
3手目1二金と空けた場所に捨てるのが好手。同銀は1一金で詰むため同玉と応じ、2四銀が決め手となります。
蛇足ですが、私が解いた際は、2四銀に1二玉と逃げました。
第二問

3一角 同玉 2三桂 2二玉 3三と 同金 3一銀 3二玉 4二金 まで9手詰
4手目の局面は、初型から2三桂が加わったのみ。3三とで補充した銀を3一に使って詰め上がります。
第三問

2三桂成 同玉 1三金 3二玉 2二銀成 同銀 4二金 2一玉 4三馬 1一玉
2二金 同玉 3二馬 1三玉 2二銀 1二玉 2一馬 2三玉 3三銀成 同玉
3二馬 まで21手詰
1三金~2二銀成と連続捨て駒を繰り出し、5筋の二枚を寄せて銀を取れば収束となります。
気がつけば、きれいにさばけて清涼詰となっていました。
1953年1月11日

5四金 同と ③4五桂 同と 4四と 同と 4五桂 同と 5四歩 4四玉
5五馬 同と 4五歩 同玉 5六銀 同と 4六銀 4四玉 6六角 同と
4五銀打 まで21手詰
初型「巳」はこの年の十二支。6四とが最初から最後まで活躍をみせており、手順も終始締まっていると思うのですが、③4二銀不成や③5二銀成以下、詰みがあるようです。
1953年3月1日

1三桂 同金 1二角成 同金 1三桂 同金 1一角成 同玉 1三龍 2一玉
2二金 まで11手詰
4三龍を活用したいところですが、味方の角が邪魔をしています。
初手いきなり1二角成ですと、同玉で後が続きません。1三桂と金を呼び寄せてから1二角成で金に取らせ、再度の1三桂~1一角成で龍が動けるようになりフィナーレを迎えました。
1953年3月8日

1四銀 2二玉 1三銀成 3一玉 2二角 3二玉 4三銀 2一玉 3一角成 同玉
4二と 2一玉 3二と 1一玉 2二と まで15手詰
飛車を取らせて1三銀成(不成も可)が追撃の一手で、取れば3一角で早く詰みます。
3一角成が決め手となり、と金を動かして解決します。