詰将棋ジャーナル賞受賞作品紹介(第16回)

本日の記事は、第16回詰将棋ジャーナル賞の受賞作紹介です。

対象は1989年1月号から6月号までの発表作。
最優秀賞に若島正氏の作品、ジャーナル賞に明石六郎氏の作品が輝きました。また、ジャーナル賞佳作賞が岡村孝雄・青山雁・高原勲氏の作品に贈られました。
なお、この回から審査員が、門脇芳雄・谷川俊昭・野口益雄・森田正司の四氏となりました。


最優秀賞 若島 正作

将棋ジャーナル198903若島正

若島 正作(1989年3月号) 詰手順
①2七飛 1八玉 2八飛 1七玉 2七馬 ⑥同歩不成 3五馬 1六玉 3四馬 2五桂
⑪1七歩 同玉 3五馬 1六玉 2六馬 同玉 2七飛 1六玉 1七歩 同桂成
2六飛 まで21手詰

変化
⑥同歩成は、3五馬、2六合(1六玉は1七歩、同と、2六馬まで)、1八歩、1六玉、2六馬、同玉、2七飛、1六玉、1七歩まで。

紛れ
①4七飛は、3七歩、同飛、1八玉、1九歩、2九玉以下不詰。
⑪同馬は、同玉、2七飛、1六玉以下不詰。

序の4手で2八飛を据え2七馬と飛び込むのに対し、玉方は同歩不成と応じて打歩詰を誘います。詰方は3四馬と上がり、回避を試みます。桂以外は、同馬、同玉、2七飛、1六玉と進んで合駒を打って詰み。
8手目と14手目の局面を比較すると、違いは2五桂の有無のみ。その効果として、2六馬、同玉、2七飛、1六玉、1七歩を同桂成と取ることができます。合駒により取歩駒を発生させて打歩詰を回避する、いわゆる森田手筋です。何とスマートに表現できているのだろう、と感嘆させられます。




ジャーナル賞 明石六郎作

将棋ジャーナル198902明石六郎

明石六郎作(1989年2月号) 詰手順
7六龍 同角不成 6八馬 ④5七桂 同馬 5五玉 3五馬 5八角不成 4七桂打 同と
同桂 同角不成 5六歩 同角不成 4四銀 5四玉 6六桂 同銀 5五歩 同銀
5三銀成 まで21手詰

変化
④5七歩(香)は、同馬、5五玉、3五馬、5八角成、5六歩、同銀、4四銀、5四玉、6六桂まで。

本作の見所は、4度に渡る角不成。途中で成ると、16手目5四玉で5五歩が成立して早く詰みます。収束で玉方銀も活用し、現れたるは小の字。偶然か意図的か、発表時の前作は不成の名手岡本眞一郎氏によるものでしたが、お株を奪うような作品でした。




ジャーナル賞佳作賞 岡村孝雄作

将棋ジャーナル198901岡村孝雄

岡村孝雄作(1989年1月号) 詰手順
3二角成 ②同玉 4一角 ④2二玉 3一銀不成 3三玉 2三角成 同玉 2二飛成 まで9手詰

変化
②1三玉は、1四馬、2二玉(1二玉は3三銀成、2一玉、2二飛成まで)、3一銀不成、同玉、3二飛成まで。
④2一玉は、3一銀成、同玉、3二飛成まで。

上部へ脱出されそうな不安が付きまとう初型。2一角を4一角へと打ち換えることで、3一銀不成が成立します。続く2三角成が決め手と言うにふさわしい切れ味です。
後に、玉方1一歩→1一香にて改良されました。

改良図

将棋ジャーナル198901岡村孝雄改良図






ジャーナル賞佳作賞 青山 雁作

将棋ジャーナル198905青山雁

青山 雁作(1989年5月号) 詰手順
6八金 5九玉 7八金 6九玉 6八飛 5九玉 4八飛 6九玉 6八金 5九玉
5八金 6九玉 5九金 同香成 6八飛 まで15手詰

まずは6七金を7八へ移動。理由は4八飛に6八歩とした際に、同角、6九玉、7九金で詰むようにするためです。次いで3八飛を4八へ移動。こちらの理由は収束で3七角の利きを遮るため。5九玉に逃げられないようにするため金をさらに活用し、最後には捨てて飛寄まで。飛金による手順が印象的な作品でした。




ジャーナル賞佳作賞 高原 勲作

将棋ジャーナル198905高原勲

高原 勲作(1989年5月号) 詰手順
2二銀 同玉 3一角 同玉 5三角 2二玉 ⑦1一銀 同玉 4一飛成 2一金
同龍 同玉 3二銀 同玉 4一銀 2二玉 3一角成 同玉 3二金 まで19手詰

紛れ
⑦3一銀は、1三玉、1四銀、同玉、1五銀、1三玉に3一角成とすることができないため不詰。

玉を3一まで誘い出して5三角(限定打)を設置し、1一へ戻して4一飛成を実現させます。金以外の合駒は、2二銀、同玉、3一角成、1一玉、2一馬まで。同龍と切った後も銀捨てで畳み掛け、最後は角も捨てて詰め上がりました。

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