なつかしの好短篇(5)(近代将棋昭和63年5月号)

今回の更新は、「なつかしの好短篇」(5)です。
 第三十三番 坪井 作道氏作
第33番 坪井作道氏作
 1967年8月「近代将棋」
 第三十三番 坪井作道氏作
3四角 同香 1三歩 2二玉 2三馬 1一玉 3三馬 2二金直 同馬 同金
2三桂 同金 1二金 まで13手詰
 どちらかと言えば、実戦型感覚の詰将棋であり、詰棋党にとっては、かえって新鮮な感じのする作品である。9手目、2二同馬とズバッと切って捌く手が、気持が良い。



 第三十四番 伊藤 喜和氏作
第34番 伊藤喜和氏作
 1967年8月「将棋世界」
 第三十四番 伊藤喜和氏作
1二銀成 同玉 3四角 2二玉 3一銀 2一玉 1二角成 同玉 2二銀成 同玉
3四桂 1二玉 2四桂 2三玉 2一龍 まで15手詰
 現在、NHKの将棋講座の講師をされている伊藤氏ですが、以前から、カメラ・マンをされたり、タレント業をされたり幅広い活躍をしてきました。しかし、本業は、やはり詰将棋作家という気がします。
 本局など、作者が本名で活躍されていた時の作で、巧みな駒繰りは、流石という他はありません。



 第三十五番 近藤 孝氏作
第35番 近藤孝氏作
 1967年9月「近代将棋」
 第三十五番 近藤 孝氏作
1四金上 同角 1五桂 3二玉 1二飛成 2二桂合 2三龍 同角 3一金 同玉
2三桂 3二玉 4一角 まで13手詰
 6手目、桂合以外は、2三金から清算して詰む。
 5手目、1二飛成から、7手目、2三龍と捨てる呼吸が、たまらなく好きである。
 作者の近藤氏は、この頃、構想型の新鮮味あふれる短篇を続々と発表していた。又、長篇傑作も創る実力者であった。



 第三十六番 勝浦 修氏作
第36番 勝浦修氏作
 1967年12月「将棋世界」
 第三十六番 勝浦 修氏作
3二銀 同金 2二歩成 同銀 4三桂 4二玉 5二金 4三玉 3二角成 同玉
4二金打 まで11手詰
 作者は、例の龍の空王手を紛れにした5手詰(参考図)が、有名です。あの作は、私も一九七七年テレビの「勝抜詰将棋戦」の練習のため、本屋で立ち読みしていた時見つけ、感心しました。その後、神戸の詰将棋グループの若手からも、いい5手があると言われ、見せられたのがあの作でした。

 (参考図)
第36番参考図 勝浦修氏作


 さて、本局も独得の詰めにくさがある。あの作に通ずるものがある異色の好局です。



 第三十七番 加井 拓氏作
第37番 加井拓氏作
 1968年1月「将棋世界」
 第三十七番 加井 拓氏作
4二角成 同玉 4四龍 3一玉 4一飛 2二玉 3三龍 同桂 3一角 1二玉
1三角成 同玉 1一飛成 1二合 1四香 まで15手詰
 この「なつかしの好短篇」は、私の古いノート(15手詰までの好作を拾い集めた)の中から選んで御紹介している。
 本作者名、二十年経た今、ふと気付いたのですが、「開拓」と言うペン・ネームではないかと……。大駒の使い方、ベテランの力を感じるのです。



 第三十八番 大江 杉芳氏作
第38番 大江杉芳氏作
 1968年2月「将棋世界」
 第三十八番 大江杉芳氏作
2四桂 1三玉 2三角成 同玉 3四銀 2二玉 2三飛 3一玉 3二桂成 同玉
4三飛成 3一玉 3二歩 2二玉 2三銀成 まで15手詰
 2筋内におさまったスマートな実戦型作品です。
 初手、3二飛は、2二桂合で逃がれ。
 2手目、2四同歩は、3二飛以下、詰み。
 3二飛を含みにして、初手2四桂が、好手で、以下流れるようなスマートな手順で詰め上がる。指将棋派に受ける作品で、「将棋世界」らしい作である。



 第三十九番 金田 秀信氏作
第39番 金田秀信氏作
 1968年3月「近代将棋」
 第三十九番 金田秀信氏作
1三桂 1一玉 2三桂 同歩 2一桂成 同玉 3二角 1一玉 1二歩 同飛
2一角成 同玉 3一龍 まで13手詰
 格調の高い作風で知られる大ベテランの金田氏の登場です。
 打った駒を、ワン・ツー・スリーで捨てるのは、7手詰のひとつのパターンです。本局では、それを二度繰り返し、リズムを奏でている。
 1筋の玉方飛車への働きかけなど、素晴らしく、作者の本領発揮した快作である。



 第四十番 近藤 一男氏作
第40番 近藤一男氏作
 1968年3月「将棋世界」
 第四十番 近藤一男氏作
1一金 同玉 2三桂 2一玉 2二金 同玉 4四角 同桂 3三金 2一玉
1三桂 同飛 3一桂成 同玉 3二金打 まで15手詰
 前局でも見られた、玉方飛車への働きかけですが、本局では、それを狙いにして、もっとしつこく、徹底して行なう。
 2手目、1一同飛は、1三桂打以下。
 3手目、2二金から、4四角として、3二桂を跳ばしておくのが肝要で、再度、3三金を据えて、2五桂も、1三桂と捌いて収束を迎える。



 第四十一番 十字 次郎氏作
第41番 十字次郎氏作
 1968年4月「詰将棋パラダイス」
 第四十一番 十字次郎氏作
4七角 同龍 5九飛 4九龍 同飛 3九角合 同飛 2八玉 1八飛 3九玉
4八銀 4九玉 6七角 同馬 5九金 まで15手詰
 現在、大学教授をされている作者ですが、女子大生から「詰将棋で有名なZZさんですか?」と言われて眼を白黒させたそうです。
 しかし、最近は、バカ詰にも凝っているようで、今に「バカ詰(フェアリー)で有名なZZさんですか?」と言われるようになるかもしれない。
 本局、作者の若い時の作で、バカ自殺詰のような好防と鮮やかな大駒捨てが見所。




第三十六番は、3手目22歩成のところ13馬、42玉、52金、43玉、32角成、44玉、45銀以下、詰みがあるようです。
谷口氏は、33歩→33香とする修正案を提示されています。

第四十番も、5手目22金のところ、11飛、同飛、同桂成、同玉、13飛、12歩、22角、21玉、31角成、同玉、32金以下、詰みがあるようです。

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