続・塚田賞作品の魅力(5)(近代将棋平成7年6月号)①

森田銀杏氏の連載「続・塚田賞作品の魅力」、第5回(第55期)も3度に分けて取り上げたいと思います。
今回は短篇部門です。
第55期(昭和55年1~6月号)

この期も新人の参入が活発で、初入選が十人を超えました。その中で現在も活躍中の作家に平松準一・信太弘・角建逸・斎藤吉雄・明石六郎・稲垣繁・目黒将氏らがいます。
このような若手の抬頭を反映して、短篇では新人の橋本樹氏が華麗な中段玉でベテラン若島正氏の渋い入玉図を抑えて受賞。
好作が目白押しの中篇でも若手が大活躍をし、添川公司氏が意表の遠角で初受賞。また完璧な構成の明石六郎氏作に新人賞が贈られました。その他にも塚田九段好みの斎藤仁士氏作と新ヶ江幸弘氏の四金詰、四桂詰の健闘も見逃せません。
長篇では双馬の新趣向でOT松田氏が五回目の受賞。三期連続受賞の上田吉一氏にストップをかけました。
なお、無鑑査作家の植田尚宏氏はさらに記録を伸ばし、5月号で入選二百回を達成しています。

第55期「塚田賞」選考投票 集計表



短篇賞 橋本 樹作


橋本 樹作(昭和55年6月号) 詰手順
5六銀 同銀 6七桂 ④同銀不成 4六銀 4四玉 3七銀 5五玉 4五飛 同玉
4六龍まで11手詰
パラリとした配置の都玉に粘り気のない持駒なので、手が付けにくい感じですが、5六銀から6七桂(④同銀成なら5六銀、6四玉、6七飛まで、6四玉なら7三銀、6三玉、5五桂まで。この変化手順は洒落ている)で守りの銀を呼ぶ手が見つかると筋に入ったのが判ります。そこから4六銀と打ち、3七銀と引いて4五飛と捨てるのは鮮やかな収束。僅か七枚の置駒でこれだけの手順を実現したのは見事です。
植田尚宏「中段玉ながら仲々味あり、配置も無駄なく、よろしい」
岡田敏「形・手順ともに文句なし。4六銀から3七銀として4五飛と捨てる収束に拍手を贈りたい」
伊藤果「器用なまとめに感心する」
吉田健「奇手物の一種と見なせるが、簡潔な初形から、手順の表現も申し分なく、むしろ、さりげない調子で眼目の一手を見せるあたりがこの作者らしく、スマートである」
北原義治「開き王手に奇をてらう感じのないのがいい」


次点 若島 正作


若島 正作(昭和55年6月号) 詰手順
1九銀 ②2九玉 1八銀 2八玉 2九香 同桂成 1七銀 ⑧3七玉
4七金 同銀成 1九角 2七玉 1八龍 同玉 2八銀まで15手詰
本作も粘りのない持駒の実戦型(?)入玉図。1九銀から始めるしかありませんが、②3九玉なら9三角、2九玉、3八龍、同玉、1八飛以下。この銀を1七まで進めたとき、⑧2七玉なら1八角、3七玉、5七龍、4七合、3六金以下。程よい変化が含まれています。最後は1九角と据えて1八龍と呼び込み、2八銀は変わった味の移動すかし詰。銀の三段活用が狙いの佳局でした。
岡田敏「銀の三段活用と最終手のとぼけた味が面白い」
吉田健「スキのない完璧の表現。初手で打った銀の動きの面白さ、最終手まで緩めない収束と、15手が充実しきった感じ」
伊藤果「1九角から最終手2八銀のアイデア収束で独走の感」
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