詰将棋ジャーナル賞受賞作品紹介(第3回)

本日の記事は、第3回詰将棋ジャーナル賞の受賞作紹介です。

対象は1982年7月号から12月号までの発表作。これ以降、半年に一回が定着しました。
最優秀作に有吉弘敏氏(2作)、優秀作に平松準一氏・伊藤正氏が輝きました。


最優秀作 有吉弘敏作

将棋ジャーナル198207有吉弘敏

有吉弘敏作(1982年7月号) 詰手順
5六桂 同と 4五銀 同と 3五銀 5五玉 5四飛 同玉 6三銀不成 ⑩5五玉
5四銀成 同玉 5三と 5五玉 4四銀 同と 6四銀不成 同玉 6三角成 5五玉
4五飛 同と 5四馬 まで23手詰

変化
⑩同玉は、4五角、5四歩、5三飛、7四玉、8四馬、6五玉、5四角、5五玉、6三角成、6五玉、5四馬まで。4五角に対して7三玉は、5三飛、7四玉、6三角成、8三玉、7三馬、9二玉、9三馬、同玉、8三馬まで。

玉方の2枚のと金がよく利いている形。桂・銀の2枚を捨てて、3五銀の両王手から5四飛と飛車も捨てます。作意にはさほど現れませんが、2七角・5七馬がよく利いています。個人的な好みの手は4四銀~6四銀不成。銀が惜しげもなく捨てられていきます。6三銀不成の際に入手した飛車を捨てて、Fの字が浮かび上がりました。

詰上り図

将棋ジャーナル198207有吉弘敏詰上り図

残念なことに、11手目5四銀成のところ4六銀以下、詰んでしまう模様です。
復活後は旺盛な新作発表と共に、かつての発表作の修正にも取り組まれている有吉さんのことですから、本作も蘇ることが期待できそうです(発表済でしたらすみません)。




最優秀作 有吉弘敏作

将棋ジャーナル198211有吉弘敏

有吉弘敏作(1982年11月号) 詰手順
5七銀 ②5五玉 1五飛 4五金 7七角 同と 9五飛 ⑧6五歩 3三馬 5四玉
1四飛 3四桂打 同飛 同桂 6六桂 同歩 5五飛 同金 4四馬 まで19手詰

変化
②7五玉は、7六馬、7四玉、7五歩、6三玉、8五馬、7二玉、6四桂、8二玉、7三角成、同玉、7四馬、6二玉、9二飛成、6一玉、5二馬、7一玉、6二馬まで同手数駒余り。7五歩に対して8三玉は、8八飛、8四歩、同飛、7二玉、6四桂、7一玉、7二香、6二玉、7四飛、6三玉、7三飛成まで。
⑧6五香打は、同飛、同桂、3三馬、5四玉、5五香、同金、同飛まで。

初手で拠点を作り、1五飛と出て合駒を尋ねます。合駒の地点は、2五や3五の場合取って早く詰むため、玉に接する4五。3三馬~4四馬を取ることができるのは金しかありません。4五の地点を塞いでから、角を捨てて9五飛と左側の飛車も活用していきます。詰方の駒によって玉の行動がかなり制限されており、合駒は6五へ歩が正解です。1四飛と右側の飛車を再度活用し、3度目の合駒は4五金を動かす必要がなく、同飛、同桂の局面で4三や5五の地点への手が王手にならない3四への桂打ちに決まります。これを取り、桂・飛を捨てて今度は「オ」の字が浮かび上がりました。

詰上り図

将棋ジャーナル198211有吉弘敏詰上り図

強力な詰方と、合駒3回で抵抗する玉方の応酬が楽しめる作品でした。




優秀作 平松準一作

将棋ジャーナル198207平松準一

平松準一作(1982年7月号) 詰手順
4四飛 3四歩 同飛寄 2五玉 3二飛成 1四玉 2五角不成 2四玉 3三飛成 ⑩1三玉
2二龍上 同馬 1四歩 2四玉 3四龍 まで15手詰

変化
⑩2五玉は、3四龍、2六玉、3七龍、2五玉、3四龍引まで同手数駒余り。

まず、飛車の離し打ち(5四以遠も可)で歩を獲得します。2五玉の局面での空き王手は、4三角を守ることができる3二(不成も可)。3三飛成は2五玉の変化に備えた手。1三玉で打歩詰の局面ですが、成ったばかりの龍を捨てて2四への利きをなくすことで打歩詰を解消し、詰みに至ります。終始大駒が活躍しますが、力をコントロールしている印象を受ける作品でした。




優秀作 伊藤正作

将棋ジャーナル198210伊藤正

伊藤正作(1982年10月号) 詰手順
2三銀 ②3三玉 2二飛成 2四玉 4六角 ⑥同桂 1四銀不成 3四玉 3五金 同玉
2五龍 まで11手詰

変化
②4二玉は、6四角、3三玉、2二飛成、2四玉、1四銀不成、同玉、2五金まで。
⑥3五金は、1四銀成、同玉、2五金、同金、1三龍まで同手数駒余り。
⑥2五玉は、3四銀不成、1六玉、2七金、1五玉、2四龍まで同手数駒余り。

2三銀~2二飛成で上部へ追っていきます。詰むかどうか不安が生じますが、5手目4六角が解決に導く好手。作意である同桂・3五金・2五玉で異なる銀の動きを味わうことができます。以下は銀不成から金捨てで清涼詰となります。

2 Comments

有吉弘敏  

余詰の修正

お疲れ様です。紹介ありがとうございます。「F」の字の余詰の件ですが、攻方27角--->18角で対策する予定です。今もそうですが、検討力が弱いので、色々なところに穴があります。「オ」は、2手目の変化や合駒を動かす点で好きな作です。

2019/06/30 (Sun) 06:15 | EDIT | REPLY |   
hirotsumeshogi
hirotsumeshogi  

有吉さん

「F」の修正図ですが、私が調べた範囲では余詰等は見当たりませんでした。
あぶり出しという制約がある中、駒数を増やさずに修正できるものなのですね。
「オ」は検討する中で、2手目の変化を割り切るのが大変でした…。

2019/07/03 (Wed) 00:33 | EDIT | REPLY |   

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