詰将棋ジャーナル賞受賞作品紹介(第1回)

本日の記事は、第1回詰将棋ジャーナル賞の受賞作紹介です。

第0回からやや時を経て、詰将棋ジャーナル賞が創設されることとなりました。
対象は1980年9月号から1981年9月号までの発表作。
決定は座談会形式で行われ、以降も継続して開催されました。
メンバーは、審査員の柏川悦夫氏(書面参加)・吉田健氏・若島正氏・宇佐見正氏、司会の桔梗氏(詰将棋欄担当)。
最優秀作に白井康彦氏、優秀作に藤井国夫氏、佳作に山本昭一氏・金子秀治氏・梅津裕昭氏の作品が輝きました。
(なお、最優秀・優秀については「作」と「賞」の表記が混在していますが、当方の独断で「作」に統一しました)


最優秀作 白井康彦作

将棋ジャーナル198012白井康彦

白井康彦作(1980年12月号) 詰手順
2四桂 同歩 3四角 ④2三桂 2二角成 同玉 3三金 ⑧同桂 3二金 同玉
4三銀 2二玉 2三角成 同玉 3五桂 1二玉 2三銀 2一玉 3二銀左成 まで19手詰

変化
④2三金は、同角成、同玉、3二銀、3四玉、4五金まで。
④2三飛・香は、同角成、同玉、3二銀、3四玉、3六飛・香、3五合、4四金まで。
④2三銀は、1一角成、同玉、2二銀、1二玉、2三角成、同玉、3二銀、2二玉、2三銀打、1一玉、1二香まで。2二銀に対して同玉は、2三角成、同玉、3二銀、3四玉、3六香、3五合、2三銀打まで。
⑧同玉は、4三角成、2二玉、3一銀、1二玉、2一馬、同玉、3三桂、1二玉、2一銀まで。

初手の桂捨てで2三の地点を空け、3四角と打ちます(限定打)。
これに対する合駒読みが難解です。飛・金・香合は直ちに取って詰みますが、銀・桂合は同角成、同玉、3二銀、3四玉の時に一押しができません。
銀合には1一角成とするのがポイントで、同玉に2二銀~2三角成と進めてぴったり詰みます。
正解の合駒は桂で、同角成や1一角成では届きません。
第三の手段、2二角成からの3連続捨て駒は何とも気持ちがいいもの。4三銀で橋頭堡を築き、合駒の桂を取って3五に据え、詰みとなります。
作者の白井氏は指将棋の強豪として名が知られていたそうで、この年(1980年)の学生名人を獲得されています。




優秀作 藤井国夫作

将棋ジャーナル198101藤井国夫

藤井国夫作(1981年1月号) 詰手順
5一角 ②4二桂 同角成 同玉 4一金 3三玉 4二角 2二玉 1四桂 ⑩同龍
3三銀 同歩 3二飛不成 1一玉 3三角成 同桂 1二歩 2一玉 3一金 まで19手詰

変化
②4二香は、同角成、同玉、4一金、3三玉、4二角、2二玉、2一飛成、同玉、3一角成、1二玉、2一銀、1一玉、1二香まで。
⑩同歩は、2一飛成、同玉、3一角成、1二玉、1三銀、1一玉、2二銀成まで。

2四への逃走を阻止するため、初手は5一から角を打ちます。2二玉と逃げるのは、3二飛成、同玉、4一銀から持駒を打っていき詰むため、合駒を考えることに。
金・銀合は同角成、同玉、5一角からやはり持駒を打って詰みます。香合は作意通り進みますが、9手目2一飛成が成立します。
桂合が正解となり、2二玉とした局面で1四桂が好手。同歩は2一飛成、同玉、3一角成、1二玉に1三銀と打つことができて詰みます。
同龍とさせて3三銀が決め手。同桂は3二飛成があるため同歩ですが、3二飛不成(成とすると後に打歩詰)~3三角成で歩を入手して詰め上がります。




佳作 山本昭一作

将棋ジャーナル198107山本昭一

山本昭一作(1981年7月号) 詰手順
4一香成 同玉 4四香 ④4三金 4二桂成 同金 同香成 同玉 4三金 4一玉
5一桂成 同玉 6一と 同玉 6四香 6三金 6二桂成 同金 同香成 同玉
6三金 6一玉 5二金右 7一玉 7二金 まで25手詰

変化
④4三飛は、4二桂成、同飛、同香成、同玉、4三飛、3二玉、1三飛成、4一玉、5一桂成、同玉、6一と、5二玉、4三龍、6一玉、6三香、7二玉、6二香成まで。

何かのマークにも見えるユーモラスな初型。
4四香、4三金、4二桂成は大道棋さながらの攻防です。
本作が素晴らしいのは、3~10手目の8手が後に6筋で再現される点。並べるだけでも楽しさが味わえる作品です。
柏川氏の選評「ビデオテープでもう一度」も頷けます。




佳作 金子秀治作

将棋ジャーナル198107金子秀治

金子秀治作(1981年7月号) 詰手順
3四金 同香 3二飛成 1四玉 2四金 同と 2三龍 同玉 1三金 3二玉
3三銀成 同玉 4三金 まで13手詰

持駒の金四枚をどう生かすかというところ。初手に3四金と捨てて香を動かし、3二飛成とすれば、玉がそこまで広くないことに気付きます。取ると金を連打して詰むので1四玉ですが、2四金の次に2三龍と押し売りするのが爽快な一手。
銀捨ても飛び出し、終始手順に緩みがありません。




佳作 梅津裕昭作

将棋ジャーナル198104梅津裕昭

梅津裕昭作(1981年4月号) 詰手順
3三金 同桂 同飛成 1二玉 2一銀 同玉 2三龍 2二銀 3三桂 3一玉
3二歩 4二玉 4一桂成 同玉 4三龍 まで15手詰

きれいな実戦型。解く気になる方も多いのではないでしょうか。
初手は3三金と打ち込む他、手が続きません。金と桂を交換し、銀捨てによって龍を2三へ移動。打った後に邪魔駒へ変化した桂を捨て、4三龍まで合利かずの詰みとなります。
難しくはないと思いますが、さらさらとした手の流れが楽しめる作品です。


4 Comments

角 建逸  

担当者のこと

「桔梗」は私のジャーナル用PNです。
私の前の担当は「角」と記載されていますが、それは私ではなく、
大角親生(おおすみ ちかお)という当時武蔵工業大学の学生です。
紛らわしいので、ここに記しておきます。

2019/06/23 (Sun) 20:20 | EDIT | REPLY |   
HYO牛TAN党  

当時の関東大学棋界

大角さんは美馬さん、藤森さんと並ぶ武蔵工大3強のお一人で、
美馬さんのジャーナル連載エッセイにも登場されてました。
白井さんのいた一橋とはリーグ戦で当たったことがあり、
一橋の学生からは白井先生白井先生と呼ばれていました。
将棋世界のアマプロオープン戦の四段戦に勝ち、
南五段戦に挑むちょっと前でした。
卒業後ジャーナル誌で「文句があったらかかってこい」という
企画もありましたね。

2019/06/24 (Mon) 05:40 | EDIT | REPLY |   
hirotsumeshogi
hirotsumeshogi  

角さん

「桔梗」が貴殿のペンネームということは、存じ上げておりました。
角氏から桔梗氏に交代とあり、どういうことなのだろうと思っていましたが、ようやく納得がいきました。

2019/06/24 (Mon) 22:07 | EDIT | REPLY |   
hirotsumeshogi
hirotsumeshogi  

HYO牛TAN党さん

大角さんのことは、恥ずかしながら存じ上げませんでした。
後追いですと、分からないことはどうしてもありますね…。

2019/06/24 (Mon) 22:07 | EDIT | REPLY |   

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