続・塚田賞作品の魅力(4)(近代将棋平成7年5月号)①

森田銀杏氏の連載「続・塚田賞作品の魅力」、第4回(第54期)も3度に分けて取り上げたいと思います。
今回は短篇部門です。
第54期(昭和54年7~12月号)

この期、短篇にはずば抜けた作がなく、新人の井内直紀氏の奮戦にも関わらず、ベテランの植田尚宏氏に名を成さしめました。これに対して中篇は秀作が目白押し。若島正氏の遠飛車の構想作に凱歌が挙がりましたが、夢のような四銀詰を完成した新ヶ江幸弘氏には新人賞が贈られました。長篇では上田吉一作「モビール」と森長宏明作「ペガサス2」の一騎討ち。どちらも修正図による異例の選考でしたが、前者に軍配が上がり、上田氏は堂々の三期連続受賞を果たしました。
この年、5月号から翌2月号まで十回にわたって岡田敏氏が「簡素図式精選」の連載を続けられました。これは盤面・持駒いずれも五枚以下(裸玉および飛角図式を除く)の古今の名作百局を選んで紹介されたもの。まとめて単行本にして欲しいようなアンソロジーでした。
なお、この期に初入選した作家の中には、新ヶ江・井内両氏のほかに、橋本樹・藤本和・柳原裕司氏らがいます。

第54期「塚田賞」選考投票 集計表



短篇賞 植田尚宏作


植田尚宏作(昭和54年8月号) 詰手順
3三銀 2一玉 2四龍 ④2三飛合 同龍 1一玉 2一龍 同玉 1一飛 同玉
2三桂 2一玉 3一桂成 同玉 2二銀打まで15手詰
本作には驚くような着手はなく、3手目2四龍ととぼけたように寄る手とそれに対する飛合の応手が主眼。④2三歩合なら2二銀成、同銀、同角成、同玉、1四桂以下、④2三金合なら同龍、1一玉、2二金…で早い。あとは龍と飛を捨てて2三桂打ちで終わります。珍しく軽い作品の受賞でした。
伊藤果「好形の中に飛車の中合は光る」
岡田敏「2三飛の中合を中心に鮮やかなまとめ」


次点 井内直紀作


井内直紀作(昭和54年11月号) 詰手順
3四桂 ②2一玉 1三桂 同香 3二龍 同玉 2一角 2三玉 1二角成 同玉
2二金まで11手詰
初手3四桂は誰でも打ってみる手ですが、②同歩には4四角…、②3一玉には5三角…のあと3二龍…で金を取って詰める変化を含んで、必要な序奏。そのあとの1三桂が何とも軽やかな味の手です。易しい手筋ものながら、演出の旨さで楽しめます。
植田尚宏「妙手らしい手もないが、形の良いのと、1三桂が印象に残る」
柏川悦夫「本作の1三桂の一手が一番印象に残った」



「近代将棋図式精選」短編の部においては、植田氏作が第120番に収録されています。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

添川公司氏作品 (13手詰)

故森田正司氏の名著『近代将棋図式精選』では、添川氏の作品を絶賛しておられます。
実際、好作だと思うのですが、選考では2点しか入っていなかったとは意外です。

名無しさんへ

短編で龍ソッポ二回は難易度が高いと素人ながらも思います。
森田氏は先月掲載した詰将棋座談会のコメントにも見られますが、添川氏を高く評価されていたようですね。
その期待に見事なまでに応えた形となりました。
プロフィール

hirotsumeshogi

Author:hirotsumeshogi
少ない知識をフル活用させています。
当ブログはリンクフリーです。
相互リンクは詰将棋関係のものであれば原則受けさせて頂きます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR