続・塚田賞作品の魅力(3)(近代将棋平成7年4月号)①

森田銀杏氏の連載「続・塚田賞作品の魅力」、第3回(第53期)も3度に分けて取り上げたいと思います。
今回は短篇部門です。
第53期(昭和54年1~6月号)
前年の8月号から「詰将棋周辺めぐり」と題して味のある随想を連載された吉田健氏がこの年から鑑賞室の解説を担当され、塚田賞選考委員にも加わりました。
1月号には、「現代詰棋界の主流作家たち」と題して、本誌入選回数の上位二十人と入選回数は少ないが超弩級という作家六人のプロフィールを編集部が紹介しています。後者は黒川一郎・駒場和男・巨椋鴻之介・田中鵬看・七条兼三・上田吉一という顔ぶれ。入選回数ベスト20は次のとおりでした。
①北原義治 284回 ②植田尚宏 186回 ③金田秀信 152回 ④柏川悦夫 133回
⑤岡田敏 106回 ⑥近藤孝 83回 ⑦南倫夫 75回 ⑧桑原辰雄 70回
⑧谷口均 70回 ⑩山田修司 68回 ⑩山中龍雄 68回 ⑫藤井国夫 64回
⑬小西逸生 57回 ⑭北川明 54回 ⑮村山隆治 51回 ⑯細田強 48回
⑰駒形駒之介 46回 ⑱村木徳 40回 ⑲有田辰次 39回 ⑳北川邦男 38回
これらの大ベテランに伍して、この期に初入選した新進作家に、杉山優司・添川公司・相馬康幸・平井康雄・安田誠・山本昭一氏らがいます。


第53期「塚田賞」選考投票 集計表



短篇賞 安田 誠作


安田 誠作(昭和54年6月号) 詰手順
3二角 ②2四玉 3五銀 同玉 3六金 ⑥2四玉 3四角 2六と
2三角引成 1五玉 2七桂 同と 2四馬 同玉 2五金まで15手詰
初手は、後の変化に備えて3二角と直打ち(②同玉は4三銀‥)。2四玉に3五銀から3六金が作者の主眼で、俗手ながら⑥4四玉、4三角行成、5五玉、6五馬‥という軽業のような変化を読み切らないと指せません。3四角以下の収束も鮮やかで、とても初入選とは思えないほどの出来ばえです。
吉田健「さわやかな角の運用のつなぎに何気ない心理的好手を配し、収束もまた緩まなかった。鮮度は高く、嫌味がない」
岡田敏「形・手順とも文句なし。作者お気に入りの6手目からの変化は先例があるが、この作品の価値をそこねるものではない」
植田尚宏「初形はいやな形だが、そつない駒配置で、3四角など仲々指せない手だ。後半のマトメも無難」
作者は当時、神戸大学の四年生でしたが、その後の活躍があまり見られないのは残念です。
神戸大学といえば、吉田健さんや筆者をはじめ、なぜか詰将棋作家の多い学校ですが、その最も先輩の宇佐見正さんがこのたびの兵庫南部地震でお亡くなりになりました。1月15日に創棋会の新年会で歓談した直後のことで、とても信じ難い思いがします。
宇佐見さんは、昭和27年に将棋部を率いて第一回東西大学対抗で優勝した戦歴があり、その頃からのベテラン作家。「松煙」の筆名で朝日新聞の観戦記も書いておられました。今はただ、ご冥福を祈るのみです。


新人賞 平井康雄作


平井康雄作(昭和54年6月号) 詰手順
3四桂 1一玉 4一飛 ④2一桂合 2二桂成 同玉 4二飛成 3二歩合
2三金 1一玉 3三馬 同桂 3一龍 2一合 2二金まで15手詰
盤上わずか三枚。しかも、2二玉を軸にして斜め対称に整然と配置された美しい簡素図式。3手目4一飛と金の尻に打つのが得もいえぬ手ざわり。④2一歩合なら、2二桂成、同玉、4二飛成、3二桂合、3三龍、1一龍、1二金以下。作意は2一桂合、3二歩合となり、2三金から3三馬と、それまでの主役を捨てて綺麗に終わります。
北原義治「今期は新人の台頭が目覚ましく、豊作で選ぶのに苦心するが、この発見(?)を一番に買う」
岡田敏「短篇賞にはやや弱いが、形が素晴らしく、手順も鑑賞に耐えうると思う」



「近代将棋図式精選」短編の部においては、安田氏作が第117番、平井氏作は第116番に収録されています。
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