続・塚田賞作品の魅力(1)(近代将棋平成7年2月号)②

前回の記事で書きました通り、第51期塚田賞の短・中篇部門の文章を載せていきたいと思います。
第51期(昭和53年1~6月号)


短篇賞 谷口 均作


谷口 均作(昭和53年1月号) 詰手順
1二銀 同玉 3一角成 1五角 同香 1四龍 3四角 同歩 1三銀 2三玉
2二馬まで11手詰
初手1四銀…と追うのは筋が悪い。1二銀から3一角成の開き王手が、1三合に2一銀…3二馬の詰みを見た手筋です。ところがここで1五角という”自爆手”がとび出します。同香に再び1四龍と捨て身の移動合駒。3四からの退路を開けようというのが目的です。それならと、3四角打ちでこれを塞げばそれまで。1三銀…で呆気なく詰上ります。
難しい着手はありませんが、簡単な配置から大駒二枚の連続移動中合という大技が選考委員に受けたのでしょう。
伊藤果「主眼手が移動中合で、それも連続技の表現には驚かされた」
柏川悦夫「僅か11手の短篇に連続移動中合という高級手筋を盛り込み、以下3四角の打捨てでピシリと決めたところは見事」


次点 森田正司作


森田正司作(昭和53年4月号) 詰手順
1三角 2一玉 3二銀成 同銀 2四香 2三銀上 3一飛 1二玉 3二飛成 同銀
2二角成まで11手詰
伊藤果「初手1三角は必然の一着。合駒をすれば3二飛…で簡単だから2一玉となるが、そこで3二銀…2四香と打ち換える。これに対し2三銀上がなんとも味わいのある受け。それを3一飛以下の手順で切り返すとことが技である」
植田尚宏「形が軽くて良いし、詰棋の面白さがよく出ている」
柏川悦夫「本作も移動中合ですが、仕組まれたような感じが全然なく、簡潔な形から自然に現れるところは塚田好みの好短篇」
筆者の作。綺麗に出来て気に入っている小品ではありますが、塚田賞には軽いでしょう。


中篇賞 豊田八郎作


豊田八郎作(昭和53年1月号) 詰手順
2三金直 ①1一玉 1二金 同玉 2四桂 2一玉 3三桂 3一玉 3二桂成 同玉
4三金右 3一玉 2三桂 2二玉 3四桂 1二玉 1一桂成 同玉 2一桂成 同玉
2八飛 2六桂合(途中図)

途中図 (22手目 2六桂合まで)
第51期豊田氏作

同飛 同と 1三桂 1一玉 2二桂成 同玉 3三金上 1一玉
2一桂成 同玉 3二金左 1一玉 2二金まで35手詰
金四枚が一列に並んだ異色の初形。四桂の持駒も曰くありげな趣向です。
手順は2三金直(①21玉は、33桂、11玉、12金、同玉、24桂、11玉、23桂、22玉、21桂成、同玉、13桂、22玉、33金まで)から2四桂と据え、3三桂…3二桂成…と進めて11手目4三金右と入るのが本局随一の好手で、普通に4三金直とすると、後で3四桂が打てません。途中図まで来て、やっと飛車の出番となり、桂合を稼いで、1三桂から再度の桂さばきがあって金で寄せきります。
作者は昭和元年のお生まれですが、本作が初入選。この珍形にこれだけの好手順を織り込んだセンスと腕は余程の練達者でしょう。
植田尚宏「何と言っても形が良いし、四桂の活躍も良い」
柏川悦夫「珍妙珍無類。このような作品はとかく形倒れになりがちですが、本作は見事な手順と捌きで、滅多に見られない風変わりな力作」
伊藤果「手順も素晴らしく、収束まで無駄なく駒が捌けて、持駒と配置趣向の絶品作」
次点は票が割れましたが、筆者の目には、4月号に北原義治氏が本誌二十八周年を記念して開いた個展「独楽のはな」の第2局(31手詰、中央九枚の跳び石詰)と6月号の滝島代士夫作(19手詰、左右対称形の簡素無防備図式)が手順も良く、好作に映りました。


「近代将棋図式精選」ですと谷口氏作は短編の部第109番、豊田氏作は中編の部第113番に収録されています。
次回は長篇賞を取り上げます。
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