なつかしの好短篇(10)(近代将棋昭和63年11月号)

今回の更新は、「なつかしの好短篇」(10)です。
 夢の中で、詰将棋を創る。スッキリとした作品はできない。しかし、素晴らしい構想が次から次へと思い浮かぶ。そして、その構想をつなぎあわせることも可能のようだ。これは凄いと感心しつつ、眠りは深くなり、朝を迎える。
 さて、後日、盤駒を取り出して、夢の中の構想をまとめてみようとする。ところが、さっぱり、思いだせない。どうにも、思いだせない。仕方なく、盤駒を片付ける。
 又、夢の中で、詰将棋を創ろうとしている。そして、構想が浮かぶ。
 さて、翌日、夢の中の構想を思い出して、作品を完成させようとする。ところが、全く思い出せない。
 又、又、夢の中で詰将棋を創っている。本当に、夢のような不思議な構想が浮かぶ。しかし、これは、夢の中で、翌朝には、いつものように、忘れてしまっているはずだ。メモに書きとめておこう。無理に起き上がって、紙の切れ端に書き込んでおく。安心して、眠りは深くなる。
 さて、翌朝、夢の中の構想は、やはり思い出せない。しかし、メモに書き込んでいるから……。ところが、紙の切れ端が見当たらない。あれも、夢の中のこと……?
 と、いうわけで、途切れ、途切れの長い夢から目がさめた。なんだか、頭の中は、グチャ、グチャでおぼろである。
 本当に目はさめているのか。まだ夢の中?

 第八十一番 近藤 郷氏作
第81番 近藤郷氏作
 1970年3月「近代将棋」
第八十一番 近藤 郷氏作
2四金 同歩 3六馬 2五歩 2三銀 1五玉 2六銀 同歩 3三馬 同桂
1七飛 2四玉 1三飛成 同玉 1四馬 まで15手詰
 いきなりの、銀取りから始まる。
 3手目、2三銀で、すぐ参りそうだが、1五玉、2六銀、同玉、3六馬、1六玉と手は続くが、1一馬も働かず、わずかに詰みなしだ。そこで、上部を少し押さえる意味で、3手目、3六馬から、2三銀とする。
 そして、最後には、2一桂の効きを外す、3三馬捨てから、飛車をも捨て去る。



 第八十二番 田辺 国夫氏作
第82番 田辺国夫氏作
 1956年9月「詰将棋パラダイス」
 第八十二番 田辺国夫氏作
8八銀引 8九玉 7八銀 9八玉 8七銀右 8九玉 9八銀 同玉 9五飛 8九玉
9九飛 まで11手詰
 斜め対称の珍型である。
 二枚飛車を、空王手で活用しようとすると詰みには到らない。
 初手、8八銀上としても、同じ様に思えるが、8九玉とかわされて駄目である。
 5手目、8七銀左の紛れも、きわどく続くし、7手目、7八銀は、千日手だし、誠に簡単そうに見えて、実は厄介。
 生の飛車と銀の、もどかしさを感じる作。



 第八十三番 町田 好広氏作
第83番 町田好広氏作
 1970年4月「近代将棋」
 第八十三番 町田好広氏作
7二銀 7三玉 8三飛 同銀 5一角 7二玉 6一飛成 8二玉 7三角成 同玉
6二龍 まで11手詰
 2手目、7二同玉は、4二飛、6三玉、8一角以下。
 7二銀から、8三飛の導入は強烈である。以後は、大駒を捌いて捨てる詰将棋らしい収束。形は、もう少し整理したい。
 作者町田氏について、残念ながら記憶は全くないのであるが、本局の感じからは、非常に、いいセンスを持っているようにお見受けする。



 第八十四番 田利 広氏作
第84番 田利広氏作
 1970年5月「詰将棋パラダイス」
 第八十四番 田利 広氏作
7六角 同馬 同銀 8八玉 3三角 8九玉 9九飛 同と 8八角成 同玉
6八龍 9七玉 8九桂 同と 9八香 まで15手詰
 持駒に桂があるため、初めに9九桂が、浮かぶが、8八玉とはいられ、7七角、又は、6八龍といっても、九段目に逃げこまれると届かない。
 初手、7六角に対し、同馬、同銀、同玉は、7七飛、8五玉、5五龍以下詰み。
 初手の俗妙手のあと、5手目、3三角から8八角成と華麗な手順も見せてくれる。



 第八十五番 北原 義治氏作
第85番 北原義治氏作
 1970年6月「将棋世界」
 第八十五番 北原義治氏作
4四香 同飛 5一銀成 3一玉 3三香 同銀 3二銀 4二玉 4三銀成 同玉
5二龍 まで11手詰
 小駒の内、香車は、最も使いにくい駒である。限定打にすること、合駒のからみを、解決することなど……。しかし、本局のように、香捨てが、奇麗に決まると、実に軽妙な印象を与えるものです。
 流石に巨人北原氏だけに、手慣れた創りであり、シンプルさの中にも、風合を感じるのです。



 第八十六番 斎藤 哲男氏作
第86番 斎藤哲男氏作
 1970年7月「近代将棋」
 第八十六番 斎藤哲男氏作
1三飛 1二飛合 同飛成 同玉 1四飛 1三飛合 1一金 2二玉 2四飛 2三飛
3二銀成 同玉 3三金打 同飛 2一飛成 まで15手詰
 飛打飛合を二度くり返し、三度目は、移動合で応える。
 2手目、1二金合は、2一金、同玉、3二銀成、同玉、3三金、2一玉、3二金打以下。
 4手目、1二同角は、2二金、同玉、3二飛以下。
 6手目、1三銀合は、1一金、2二玉、3三金打以下。



 第八十七番 武南 新一氏作
第87番 武南新一氏作
 1970年8月「近代将棋」
 第八十七番 武南新一氏作
4三角 1一玉 4一龍 3一桂合 同龍 1二玉 2四桂 1三玉 1一龍 同角
1四歩 2二玉 3二角成 まで13手詰
 3手目、4一龍とひとつ控えて、王手するのが意味深の一手で、対して、3一中合で受ける。ここ3一歩合は、同龍、1二玉、1三歩以下。
 7手目、焦点へ打つ2四桂も妙味あふれる順で、以下、1一龍にて打歩詰を打開して、詰め上げる。
 簡素図式の快作であった。



 第八十八番 OT 松田氏作
第88番 OT松田氏作
 1970年8月「近代将棋」
 第八十八番 OT松田氏作
2九香 3七玉 3五飛 同香 3八香 4八玉 9三角 5八玉 5七角成 6九玉
7九飛 まで11手詰
 第八十五番の北原氏作の二香捨てに対し、こちらは二香の限定打に重きをおいた作で、より作者の意志を感じる。
 2手目、合を打つと、2三飛以下のはさみ打ち。
 3手目、玉の退路を封じているような飛車を、3五飛と捨て、3八香が、狙いの短打。ここで3九香と離して打つと、4八玉、9三角、5八玉、5七角成、4九玉で逃がれ。



 第八十九番 菅谷 正義氏作
第89番 菅谷正義氏作
 1970年8月号「将棋世界」
 第八十九番 菅谷正義氏作
4四飛 3四桂 同飛 2四桂 同飛 同玉 3四飛 1三玉 2五桂 同角
1四飛 同角 2五桂 同角 2三馬 まで15手詰
 作者は、千葉県に在住していた実力作家で寡作家である。
 十年近く前、東京へ出張した際、当時文通していた稲垣繁氏を訪ね松田茂役教室へ行った。菅谷氏とはそこで一度だけお会いしたことがある。
 本局、さらりとした形から、桂の二段合が出現。以下も、実に巧みにまとめ上げた。



 第九十番 田島 暁雄氏作
第90番 田島暁雄氏作
 1970年9月「近代将棋」
 第九十番 田島暁雄氏作
3一桂成 同角 2三金行 4一玉 5二金 同角 4二飛 同角 同桂成 同玉
3一角 同玉 3二飛 4一玉 5三桂 まで15手詰
 難解作を得意とする作者である。
 狭い範囲に納まった初型だが、3手目、な、なんと!外へ引きずり出そうとする、2三金という、意外な一手が、飛び出す。
 4手目、2三同玉は、1五桂、1四玉、2四金、同玉、2六飛、2五合、2三飛以下。
 以後も、二枚飛車の威力を利用して、強引に収束させていく。




第八十一番は、発表図より詰方12歩追加となっています。

第八十六番は、11手目32銀成のところ、23飛成、同玉、34金打、同角、33飛、24玉、34飛成、13玉、24角以下の詰みがあるようです。

第八十八番は、3手目35飛のところ、39飛、38歩、67飛、46玉、47香、37玉、45香以下の詰みがあるようです。
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