なつかしの好短篇(8)(近代将棋昭和63年9月号)

今回の更新は、「なつかしの好短篇」(8)です。
前回から、少し間が空いてしまいましたが…。
 創棋会の一員である谷川浩司氏が、指将棋の名人位に見事復帰しました。会長の宇佐見正氏より電話があり、記念に祝賀曲詰を分担して創るので、私にも一局ということなりました。今年になって、詰将棋の創作は、さっぱりやっていないのに、光栄でもあり、引き受けることにしました。
 期間も余りなく、早速取りかかってみました。色々いじっている内、何とか原図が出来ました。
 詰上がりを盤面に並べ、娘の小学三年生のさやかに「何という字に見える?」とたずねると、「数字の7」だと言い張る。苦労してやっと出来たのに……。もう……!
 締め切りまでわずかしかないのに、果して出来上がるのでしょうか?
 さて、今回の「なつかしの好短篇」は、一九六九年の作品の一部を、御紹介します。
 この年には、「将棋世界」で詰将棋トーナメントが催され、山中龍雄氏が優勝されたと記憶している。15手以内の短篇を、一人三局発表し、プロ棋士が採点して、勝負を決めるやり方でしたが、実力作家の素晴らしい傑作、好作が沢山集まり、大好評の様でした。
 本誌では、今まで「新人コンクール」が、開催された位で、意外とそのような催しは、開かれたことがありません。詰将棋欄の充実を誇る本誌としては、是非御一考をお願いする次第です。

 第六十一番 北川 邦男氏作
第61番 北川邦男氏作
 1969年4月「近代将棋」
 第六十一番 北川邦男氏作
7八角 6七桂合 同角 6六玉 8五角 5六玉 6六飛 同玉 7八桂 5六玉
5七飛 同玉 5八金 5六玉 6七角 まで15手詰
 2手目、6七歩合は、同角、4七玉、2三角成、5七と、3八金、4六玉、2四馬以下。
 同じく2手目、6七歩合、同角、6六玉は、9四角、6七歩合、同飛寄、7五玉、7七飛以下。
 大駒の威力を思う存分に発揮した、鮮やかな名局である。作者の短篇作中でも、ナンバー・ワンに上げたい一局である。



 第六十二番 昼間 勉氏作
第62番 昼間勉氏作
 1969年6月「近代将棋」
 第六十二番 昼間 勉氏作
1七馬 同玉 3七龍 1八玉 4五馬 2七桂合 2八金 1九玉 3九龍 同桂成
1八馬 まで11手詰
 4手目、2七合は、2八金、1六玉、2七龍以下。
 こぢんまりした飛角図式から、桂の限定合の現われる妙味あふれる手順。
 2五飛の防禦が強力なので、3手目、3七龍から4五馬と、その効きを消しにかかる。対して玉方は、6手目、2七桂合でねばるが、7手目、3九龍と龍も捨て去り、馬を活用して詰め上げる。



 第六十三番 伊勢 重治氏作
第63番 伊勢重治氏作
 1969年6月「将棋世界」
 第六十三番 伊勢重治氏作
2五角成 1三玉 2三歩成 同玉 1四馬 同桂 2二金 1三玉 2五桂 まで9手詰
 初型から、2四歩は、ジャマ駒に見えるので、2五桂、1三玉、2三歩成、同玉、2二と、同玉、1四桂打と攻めて行くが、わずかに届かない。
 作意の、初手2五角成も、攻め駒を集結する意味で当然だが、5手目、1四馬と捨てる手を見えにくくする為、効果は抜群である。
 作者としては、珍らしいヒトケタ物で、紛れの多い心理作品である。



 第六十四番 岡 憲夫氏作
第64番 岡憲夫氏作
 1969年9月「近代将棋」
 第六十四番 岡 憲夫氏作
2五金 同玉 1五飛 2六玉 2八香 同と寄 3五銀 同馬 1六金 2七玉
2五飛 同馬 1七金 まで13手詰
 4手目、2四玉は、1三飛成、3五玉、4六金、4四玉、5五銀まで。
 1筋の香の紐のついた飛車を、存分に働かせるようにするわけだが、特に玉を四段目までも逃がすと、つかまらないように錯覚しそうな所だけに、序盤の3手は指しづらい。以降も、香捨てから、銀捨て、そしてドカンと、飛車も最後に捨てる。



 第六十五番 中出 慶一氏作
第65番 中出慶一氏作
 1969年9月「将棋世界」
 第六十五番 中出慶一氏作
3三銀 1二玉 2三桂成 同香 1三香 2一玉 2二銀成 同玉 3四桂 2一玉
1一香成 同玉 3三馬 1二玉 2二馬 まで15手詰
 2手目、1一玉は、1三香、1二合、2三桂打以下。
 少ない駒数なので、銀・香と二段活用し、4二馬を働かせようとする。小駒図式のような小技の冴えた好局である。
 作者は、「詰将棋パラダイス」誌では、入選百回を超える同人作家で、短篇では、相当な実力者である。



 第六十六番 吉田 清二氏作
第66番 吉田清二氏作
 1969年10月「近代将棋」
 第六十六番 吉田清二氏作
1三飛 1二角合 3三馬 2二金合 1二飛成 同玉 2三角 2一玉 3二角成 同金
1一飛 まで11手詰
 この形の作品は、伊藤果氏にかなりあり、深く研究されているようです。
 本局、2手目、1二歩合は、2一飛、同玉、2三飛成以下。
 同じく2手目、1二銀は、3三馬、2二金合、1二飛成、同玉、2三銀以下。
 4手目、2二歩合は、1二飛成、同玉、2三角、2一玉、3二角成以下。
 2手目・4手目の限定合が狙いの作品。



 第六十七番 岡田 敏氏作
第67番 岡田敏氏作
 1965年10月「近代将棋」
 第六十七番 岡田 敏氏作
3四桂 同歩 1三銀生 3一玉 3二歩 同飛 2一龍 同玉 3三桂 3一玉
5三角成 同銀 4一金 まで13手詰
 2手目、3一玉は、2二金、4一玉、4二桂成、同玉、4六龍以下。
 軽快派の旗頭として著名な岡田氏の作品だが、本局は違う。拡がりのある初型から、思い切り変化・紛れをつけ、異質の難解作となっている。
 たまに、作者は、恐しく難しいのを創り、解答者を悩ませる。



 第六十八番 古川 良一作
第68番 古川良一氏作
 1965年10月「近代将棋」
 第六十八番 古川良一作
8二銀不成 同玉 7四桂 9二玉 9三歩 同桂 8三歩成 同玉 7三角成 同玉
9一角 8三玉 8二角成 まで13手詰
 2手目、9二玉は、9三歩、8二玉、7四桂以下。
 初型から、8三歩成、同歩、7一角が見えるので、いきなりの8二銀の駒取りは、意外な着手である。以下も、角の足で玉の脱出を寸前の所でとらえ、9五角も捨てて収束を迎える。
 古川氏は、筋の良い短篇作家であった。



 第六十九番 小田 哲生氏作
第69番 小田哲生氏作
 1969年10月「近代将棋」
 第六十九番 小田 哲生氏作
1三角 6九玉 5八角 同飛成 6八金 5九玉 5八金 4九玉 5九金 同玉
6九飛 同玉 6八角成 まで13手詰
 珍形である。好運にも余詰消しの二枚のと金も、二枚の飛車と対比して珍妙である。
 2手目、6八合は、7八金、6九玉、6八角成以下。
 初手の遠角と、3手目の近角。1八飛をホンロウしようとする二枚角。珍型にしては、後の手順も乱れることなく、金と飛車を捨てて快い印象を残してくれる楽しい作。



 第七十番 植田 尚宏氏作
第70番 植田尚宏氏作
 1969年10月「将棋世界」
 第七十番 植田尚宏氏作
4四角 3三桂跳 同角成 2一玉 4三馬 3二銀上 3三桂 2二玉 1四桂 3一玉
2三桂 同銀 2二桂成 同玉 2一馬 まで15手詰
 本誌、一九六三年十月号、作者の作品集の「流玉」が付録についた。以後、作者の作品集は、発行されたことはない。
 本作、さりげない実戦型から、桂の移動中合が飛び出す。そして、桂を実に巧みに駆使して、軽妙に流れるように詰め上げる。何故こんなに奇麗に決まったのか、不思議に思う位の傑作だ。




第六十一番は、初手89角でも可となっています(非限定)。

第六十九番は、11手目69飛のところ53飛、49玉、58飛引成、39玉、57角成、29玉、69龍まで詰みがあるようです。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

hirotsumeshogi

Author:hirotsumeshogi
少ない知識をフル活用しています。
当ブログはリンクフリーです。
相互リンクは、詰将棋関係のものであれば原則受けさせて頂きます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR