なつかしの好短篇(7)(近代将棋昭和63年8月号)

今回の更新は、「なつかしの好短篇」(7)です。
 5月4日の詰将棋京都グループの例会、5月15日の創棋会と連続して欠席し、この「なつかしの好短篇」も、7月号は、お休みさせていただいた。
 詰将棋界から、このまま消えてしまう。ちょうど五十番までまとめたので、キリがいいか。そのように考えていた時、森敏宏編集長より、自宅へ電話がかかってきた。
 頑張って、もっと続けようと思う。今後ともよろしくおつきあいの程、お願いします。
 さて、「詰将棋パラダイス」6月号で、昨年度の詰将棋看寿賞が発表された。
 短篇 相馬康幸氏 報知新聞「ヒロエ詰」
 中篇 若島 正氏 詰パラ  「七種合」
 長篇 相馬康幸氏 近代将棋「迷路」
 短篇は、中井広恵氏に捧げ、話題作となったあの三段曲詰。作者最高の作では、もちろんないでしょうが、とにかくアピール度が満点であった。
 中篇は、最小使用駒数、最短手数の七種合で、奇跡的な凝縮美を見せた若島氏作。
 長篇も相馬氏で、本誌7月号に発表。塚田賞は逸したが、看寿賞では他を寄せつけなかった。
 次回から、看寿賞は「詰将棋パラダイス」で発表された作だけとなるそうです。少し残念な気がする。できれば、今まで通りの発表誌に関係なく、選考する方法のままにならないものなのか。

 第五十一番 渡辺 三郎氏作
第51番 渡辺三郎氏作
 1968年8月「近代将棋」
 第五十一番 渡辺三郎氏作
3四角 2一玉 2四香 2二桂合 1二角成 同香 2二香成 同玉 3四桂 3二玉
4二香成 2三玉 2二金 まで13手詰
 打った駒がジャマになる。離し角、離し香のあと、その角がジャマになり、玉の元いた1二へほかす。
 あっさりした形から、研ぎすまされた鋭い手順が飛び出す。まさに詰将棋の醍醐味である。
 4手目、2二桂合以外の合は、直ちに奪い取って詰み。



 第五十二番 中野 和夫氏作
第52番 中野和夫氏作
 1968年10月「近代将棋」
 第五十二番 中野和夫氏作
8七金寄 同角不成 9六飛 同角不成 7七龍 8七角不成 8八金 9六玉
7六龍 同角成 9七歩 8六玉 7八桂 まで13手詰
 この配置は、玉方不成の定型である。私も二作程発表作にある。
 とは言え、攻方捨駒に対する連続不成の応手は、心地よく、収束も計算通り龍を捨てて、奇麗に詰め上げる。
 短篇に、角の三回不成は、当時としては珍しく大いに感心したものである。
 現在、不成物では、岡本真一郎氏である。



 第五十三番 岡 憲夫氏作
第53番 岡憲夫氏作
 1968年11月「将棋世界」
 第五十三番 岡 憲夫氏作
2六角成 1四玉 1三金 同歩 3四飛 同馬 1五金 まで7手詰
 超短篇では、紛れも重要な詰将棋の要素になる。
 初手、3五角成と1三地点まで効かしてみたくなるが、2一香と3三馬の防御が強くわずかに届かない。
 2六角成の初手、平凡ではあるが、見えにくい。3手目、1三金と玉の後方から攻め、飛車の活用をはかる順に、気付かなくてはいけないからだ。
 7手詰としては、仲々の好作である。



 第五十四番 北 香悦氏作
第54番 北香悦氏作
 1968年11月「近代将棋」
 第五十四番 北 香悦氏作
1四角 同香 2五飛 1三玉 2二飛成 同金 1四角成 1二玉 1三香 2一玉
3二馬 同金 1二香成 まで13手詰
 本作者は、意外にペン・ネームを使うのが好きなのでしょうか、結構色んなペン・ネームで発表されています。
 さて、本局、3手目、2五飛と打ち据えるのが、この頃、作者が常用していた一手ですが、初手の角捨て、5手目の即飛車の成り捨てと、前後を引き締め、9手目、重い感じの手から、一転収束馬捨てで決める。巧妙作。



 第五十五番 宇山 英気氏作
第55番 宇山英気氏作
 1968年12月「将棋世界」
 第五十五番 宇山英気氏作
2二銀不成 1二玉 1三銀成 同玉 4三飛 1二玉 2二桂成 同玉 3一角成 1二玉
2一馬 同玉 2三飛成 2二合 3三桂 まで15手詰
 2手目、2三玉、3三飛、1二玉、2一銀不成、同玉、2三飛成まで。
 6手目、2三金合は、3一角成、1二玉、2一馬以下。
 ジャマな3三銀を消した後の5手目、4三飛の限定打を放つ。もちろん6三飛なら、5三合の焦点への中合が用意されている。
 11手目、2一馬がとどめの好手。



 第五十六番 田中 至氏作
第56番 田中至氏作
 1969年1月「詰将棋パラダイス」
 第五十六番 田中 至氏作
4六香 同と 3三角成 3五玉 4五飛 同玉 5四龍 同銀 5五金 同馬
3四馬 まで11手詰
 「詰将棋パラダイス」で、入選三百回を超え詰将棋王位を贈られていた作者ですが、昨年、亡くなられた。どちらかと言えば、形にこだわらない手順本位の短篇を多く創っていたが、一方では、全駒使用の曲詰創作という独自の世界に浸ってもいた。
 本局、3手目、3三角成が、少々指しづらい一手で、とにかく捨駒を続け、オール捨駒作品である。



 第五十七番 柏川 悦夫氏作
第57番 柏川悦夫氏作
 1969年1月「将棋世界」
 第五十七番 柏川悦夫氏作
1三角 同玉 3一角 2二角合 1四歩 2四玉 2五歩 同と 4四飛成 同角
4二角成 同龍 3四金 まで13手詰
 2手目、1三同香は、4四飛成、3四合、3五金まで。
 4手目、2二角合以外は、1四歩、2四玉、4四飛成以下。
 柏川氏は、実戦型という普通の形から、狙いのある構想作品を創り出すのが得意である。
 本局でも、合駒をからめて、ジャマな飛車を消去する素晴らしく高級な作。



 第五十八番 高木 秀次氏作
第58番 高木秀次氏作
 1969年1月「詰将棋パラダイス」
 第五十八番 高木秀次氏作
4四銀 同玉 3五角 5五玉 5四と 同金 5六銀 同桂 4六銀 同歩
4四角 同玉 5三飛成 同玉 4三金 まで15手詰
 当時、難解派の驍将として恐れられていた高木氏の作。
 気の弱い解答者なら、初型を見ただけで逃げ出しそうな強面。「詰将棋パラダイス」以外では、入選も無理な悪型である。
 流石に手順は、強烈な紛れの綾があり、ひとつ間違えば、脳ミソがウニになる。
 作者の実力発揮の短篇作であった。



 第五十九番 藤江 和幸氏作
第59番 藤江和幸氏作
 1969年3月「詰将棋パラダイス」
 第五十九番 藤江和幸氏作
5五銀 5六玉 4八桂 同と 4五銀 同玉 3五飛 同と 3四角成 同玉
4四金 まで11手詰
 2手目、5五同歩は、3八桂、5六玉、6五銀、6六玉、7六金まで。
4手目、4八同馬は、4五銀、同玉、5四角成以下。
8手目、5六玉は、3四角成まで。
焦点への駒捨てを連発し、それに伴ない小刻みな変化も続いていく。一般受けする鮮やかな手順である。そして3手目、4八桂は、と金を動かし最終変化に備えた伏線手である。



 第六十番 近藤 郷氏作
第60番 近藤郷氏作
 1969年4月「将棋世界」
 第六十番 近藤 郷氏作
6二飛 5三玉 4三桂成 同桂 3五角 同桂 4二角 4四玉 3三角成 5四玉
5五歩 5三玉 4四馬 同玉 6四飛成 まで15手詰
 ギリギリの配置から、ギリギリの綱渡りのような手順が現われる。
 4手目、5四玉は、7六角以下。
 6手目、5四玉も、7六角、5五玉、6五飛成まで。(この変化のための5手目、3五角限定。)
 7手目から、狙いの角の半回転が見られる。最後は、龍による見事な空中キャッチ。




第五十三番は、初手26角成のところ、35角成、14玉、13金、同歩、同馬、同玉、33飛成、14玉、34龍、15玉、33角、16玉、36龍、17玉、44角成以下、詰みがあるようです。
谷口氏は、42歩→42香とする修正案を提示されています。

第五十七番は、発表図より32飛→32龍となっています(「詰将棋半世紀」盤上流転第67番修正表)

第六十番は、発表図より2手及び45香追加となっています。

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