なつかしの好短篇(3)(近代将棋昭和63年3月号)

今回の更新は、「なつかしの好短篇」(3)です。
 プロ棋士の中で詰将棋を創作される方は少ないようですが、解く力はさすがにどなたも、優れているようです。
 先日も、拙作を、どうも余詰の危険がありそうと、棋友数人に見てもらっていた。しかし、余詰は発見されずに、大丈夫かなと思っていた矢先、棋友のひとりから、「淡路仁茂八段が、余詰を見つけてくれた」と連絡がはいった。安全と思っていた収束部のアナで、修正も困難でしたが、発表間際の指摘で大変ありがたく思った次第です。
 若手プロの中では、村山聖四段が凄く、次々に、解いていき、「この詰将棋は、駒が余る」と言って、師匠の森信雄五段から「素直に余詰があると言え」とたしなめられているそうです。仲々ユーモラスなプロです。

 第十七番 長谷 繁蔵氏作
第17番 長谷繁蔵氏作
 1966年4月「詰将棋パラダイス」
 第十七番 長谷繁蔵氏作
1七馬 2九玉 1九金 同玉 1八飛 2九玉 3九馬 同玉 3三飛 4九玉
3八飛成 まで11手詰
 長谷氏は、「詰将棋パラダイス」を主舞台にして、手順重視の難解好作を創っておられた。
 本作、2手目、3八玉は、2七馬、同玉、3七飛、2八玉、3九金、1九玉、1八飛以下。その他、複雑な変化、紛れを含みながら、飛車、角を派手に舞うように使って、最後は二枚飛車だけで詰め上げる清涼詰。
 作者の持ち味が出た傑作で、上半期賞受賞。



 第十八番 山中 龍雄氏作
第18番 山中龍雄氏作
 1966年5月号「詰将棋パラダイス」
 第十八番 山中龍雄氏作
4二角 2四角合 3三桂不成 3五角 4一桂成 4二銀 2五金 まで7手詰
 その頃、「詰パラ」では、半年ごとに七手詰コンクールを催していて、傑作・好作が集まった。又、それらをまとめて、「七手詰傑作集」として、作品集を続々出していた。
 本局、コンクールでトップになった作だが、超短篇作で、このような構想は、初めてだ。ただ類似構想の、小林譲氏作と、偶然にも同時発表になり、形のまとまりの良い本作が得点でも上になった。
 2手目の変化も、色々あり楽しめる。



 第十九番 海老原辰夫氏作
第19番 海老原辰夫氏作
 1966年7月「詰将棋パラダイス」
 第十九番 海老原辰夫氏作
2七桂 2六玉 3七銀 1六玉 3六飛成 同桂 3五桂 1五玉 1六馬 同玉
2六金 まで11手詰
 プロボクサーで、海老原博幸という世界チャンピオンがいたが、切れ味鋭いパンチは、「カミソリ・パンチ」と名付けられていた。
 私は、本作者の作品を見るたびに、「カミソリ・パンチ」を思い起こし、その鋭角的な作風に魅かれていたのでした。
 成角の効きを消す、桂打から、大駒を奇麗に捌いて捨てる収束まで、まさに、ボクシングのKOシーンのような鮮やかさである。



 第二十番 北川 邦男氏作
第20番 北川邦男氏作
 1966年8月「将棋世界」
 第二十番 北川邦男氏作
1四歩 同桂 4三飛 3三歩 同飛成 2三歩 2四龍 同玉 2五歩 1三玉
2二馬 まで11手詰
 ふつう構想作品は、構想を抱いて、それをいかに図式化していくか、あれこれ苦労して、作品化した時は、かなり使用駒数もふえ、形も乱れてしまったものになりがちです。
 ところが、構想作家北川氏は、どのように創作していたのか、実にスッキリした好型作ばかりなのです。本局でも、中合から、龍を合駒の歩の頭に捨てる構想を、簡潔に表現。
 なお、北川氏は、81年、突然亡くなられた。



 第二十一番 加藤 俊介氏作
第21番 加藤俊介氏作
 1966年8月「将棋世界」
 第二十一番 加藤俊介氏作
9四飛 9三飛 同飛成 同桂 8二金 同玉 8四飛 8三桂 同金 同銀
9四桂 7三玉 7四金 同銀 8二飛成 まで15手詰
 この頃、「将棋世界」で、大活躍していた作者です。
 初手と、7手目の飛車打、それに対する合駒選びと、実戦的な感覚を要する作で、詰キストには、非常に新鮮にうつる手順です。形も、崩れ美濃と実戦そのままで、何故こうも巧い順が出来たのか、不思議な位の傑作である。



 第二十二番 渡辺 三郎氏作
第22番 渡辺三郎氏作
 1966年9月「将棋世界」
 第二十二番 渡辺三郎氏作
1八香 1七歩 同香 同玉 3五角 1六玉 1七飛 2五玉 2六歩 3五玉
1五飛 2六玉 3七角 まで13手詰
 ちょっと変わった感覚の持ち主の作者でしたが、発表作は、少なかったと記憶している。
 本作、飛び道具ばかりで、非常につかまえにくい玉です。まず、初手、1七香に対して合駒を選び、5手目、3五角と据えてやっと玉をつかまえたかと思うと、9手目、2六歩として、その角を玉で取らせ、意外な収束を迎える。異色の心理作品である。



 第二十三番 斎藤 忠氏作
第23番 斎藤忠氏作
 1966年10月「将棋世界」
 第二十三番 斎藤忠氏作
2二桂成 同銀 3一桂成 同銀 2二角成 同銀 3三歩 同銀 3一飛 同玉
4一馬 2二玉 2三馬 3一玉 4一歩成 まで15手詰
 本作者は捨駒を連発する手筋物を得意としていた。
 本局でも、初手、2二桂成から、9手目、3一飛まで、次々に駒を捨てていく。こぢんまりした初型からは、信じられない位に、いい手が続く。
 最近では、全く名前を見なくなった作者、どうなされているのでしょうか。



 第二十四番 桑原 辰雄氏作
第24番 桑原辰雄氏作
 1966年12月「将棋世界」
 第二十四番 桑原辰雄氏作
2五桂 同角 3二飛 2三玉 1四金 同玉 1二飛成 同香 1三金 同香
4一馬 2三合 2六桂 まで13手詰
74年「妙義図式」発行。詰将棋作品集としては、ケタ外れの売れゆきで、瞬く間に売り切れ。この度、第二集「赤城図式」発行予定。
 桑原氏ほど明確な作風を持つ作者は、ほかにない。豪快で一本気な棋風から生まれた詰将棋は、プロの詰めの研究にも使われているそうです。
 本局、作者が、「好きな作品」という作。

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