なつかしの好短篇(2)(近代将棋昭和63年2月号)

今回の更新は、「なつかしの好短篇」(2)です。
 先日、京都の地下鉄烏丸丸太町近くの喫茶店で、コーヒーぜんざいなるものを食べた。
あんともちがはいったカップに、コーヒーを注いだものだが、変わった味がした。
 「古都と地下鉄」「コーヒーとぜんざい」意外な組み合わせながら、不思議に合っているように思えた。
 短篇詰将棋も、普通の手筋と手筋でも、組み合わせ次第で、まだまだ風変わりな味がする新鮮な作品が、できるような気がした。
 さて今回は、一九六五年頃に発表された短篇作品の中から、選りすぐった作をお見せしたいと思います。

 第九番 古内 正孝氏作
第9番 古内正孝氏作
 1965年4月「将棋世界」
 第九番 古内正孝氏作
1四飛 1三飛合 2二銀成 同玉 2四飛 2三飛 3三銀打 1三玉 1四金 1二玉
2三金 同銀 3二飛 同銀 2二飛成 まで15手詰
 作者は、ちょっとした狙いのある中長篇を創り、塚田賞も獲得されたこともある実力者であるが、近年は、全く名前を見なくなった。
 本作、5手目、2四飛と攻方飛車を再活用したのに対して、玉方も2三飛と飛車の移動合で受けるのが面白い。6手目、3二玉とかわす変化が、ピッタリと奇麗に詰むので、誤解者が、かなり出たようである。



 第十番 二田 達夫氏作
第10番 二田達夫氏作
 1965年5月「将棋世界」
 第十番 二田達夫氏作
2四桂 3三玉 4四角 4二玉 5三金 5一玉 3三角成 同桂 4一飛成 同玉
6三角成 5一玉 5二馬 まで13手詰
 この頃、塚上正也氏とか、棋村迷人氏とか怪しげな作家が、各誌を横行していた。
 本作、作意もかなり奇怪な手順で、素直な筆者など、かなり悩まされた覚えがある。3手目、一旦、自分の飛車道を止めて打つ、4四角から、玉を広い方へ追っていき、しかも持駒も使い果たし、その後で、ようやく詰将棋らしく、大駒を連捨てして収束する。



 第十一番 森 敏宏氏作
第11番 森敏宏氏作
 1965年9月「将棋世界」
 第十一番 森 敏宏氏作
1三銀 3二玉 3一飛 同金 4三銀 4一玉 5一銀成 同玉 5二銀成 まで9手詰
 本誌編集長の作ですが、寡作家で推敲しつくした作を少しずつ発表しているようです。
 その中でも、ヒトケタ物となると非常に珍しいのではないでしょうか。
 初手、打診の1三銀に対して、軽い変化を読み、次の3手目が眼目の一手である。2二飛とか、4三銀の筋が見え、3一飛捨ては、相等に見えにくい。コクのある玄人受けする傑作である。



 第十二番 岩井 則幸氏作
第12番 岩井則幸氏作
 1965年12月「将棋世界」
 第十二番 岩井則幸氏作
1四香 2二玉 1二香成 3一玉 2三桂 同金 2二角 同金 同成香 同玉
2三金 3一玉 3二金打 まで13手詰
 作者は、詰将棋ではやりにくい駒取りを、巧みに含めた作を、得意としていた。
 本作でも、7手目から単純な駒交換があるが、逆に心理的に指しづらい。もちろん、前手が巧妙な創りだからでもあるが……。
 本作者は、三桂小僧・岩井銀吉他のペンネームでも知られていたが、一九七九年五月、四十四歳の若さで亡くなられた。



 第十三番 松本 勝秋氏作
第13番 松本勝秋氏作
 1965年10月「将棋世界」
 第十三番 松本勝秋氏作
2四桂 同馬 1六香 1五馬 同香 1四銀 1三金 同桂 2一角 2三玉
3二角成 2四玉 4二馬引 まで13手詰
 実戦型から、二段移動中合が飛び出す。
 4手目、1五桂合は、2二金、1三玉、2一金以下。6手目、1四歩合は、1三金、同桂、2一角まで。
 このような構想をまとめるには、相等な苦労がある。筆者の作品集「孤愁の譜」第三十九番と第九十八番では、大駒の二段移動中合を実現している。



 第十四番 小西 逸生氏作
第14番 小西逸生氏作
 1965年12月「将棋世界」
 第十四番 小西逸生氏作
4一角 3三玉 4二馬 同玉 3二飛 5三玉 5四飛 4三玉 3五桂 同歩
5三飛成 同玉 6三角成 同玉 6二飛成 まで15手詰
 5二馬も含めて大駒四枚の強力な威力で、玉を捕獲しようとするが、あちらこちらに逃げ道があり苦労する。初手、1二飛が筋に見えるが、3三玉と立たれ逃がれ。4手目、4四玉の変化も、5三馬、5五玉、5七飛と実に厄介。小西氏としては、異色の超難解作。
 作者は、近く第三集の個人作品集を出される。大いに期待しています。



 第十五番 山田 修司氏作
第15番 山田修司氏作
 1966年1月「詰将棋パラダイス」
 第十五番 山田修司氏作
2七飛 同桂不成 1九角 同桂成 2六龍 同玉 2七金 まで7手詰
 中・長篇界のナンバー・ワン作家として、大活躍した北海道の巨匠の超短篇作。長篇作家の中には、短篇は、ひどいのしか創れない作家もいるが、スーパー・スターの本作者、短篇作でも一流の腕を見せてくれる。
 構想派らしい、華やかな玉方桂馬の二段跳びがテーマですが、攻方も大駒による攻撃の色々な紛れがあり、迫力ある入玉作である。
 今、最もカムバックが期待される作家の一人である。



 第十六番 細田 強氏作
第16番 細田強氏作
 1965年1月「近代将棋」
 第十六番 細田 強氏作
6五龍 7七玉 6七金 8六玉 7六金 同銀 9六飛 同玉 9五龍 まで9手詰
 細田氏は、センスの良い短篇作家だが、特に中段模様の好作を、数多く発表している。
 本作、初手、ぼんやりと6五龍と寄り、以下6七金と打ち、7六金と金がすり上がる。そして、フィニッシュに9六飛と、大駒捨てでまとめ上げる。徐々に加速をつけ、最後に全速でかけ抜けて見せる短篇技術である。
 5手目の7六金からの収束5手は、本局以降、捨駒の慣用手筋にもなったと思える。




第十四番は、初手41角のところ42飛、23玉、22飛打、14玉、41馬、15玉、25飛成、同玉、45飛成、35桂、14馬、同玉、34龍以下の順でも詰むようです。
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