第29期塚田賞発表(近代将棋昭和42年9月号)

予定よりも一回分遅れましたが、第29期塚田賞決定の模様を載せたいと思います。
新進、谷口均氏の初受賞
恒例の塚田賞は塚田九段と編集部で選考。熟慮をかさねた結果、左の通り決った。
今期は新進谷口氏の初受賞が光り、今後の活躍が期待される。

受賞作家
短篇賞 谷口均(四月号7手詰)
中篇賞 柏川悦夫(新年号19手詰)
中篇賞 北原義治(新年号29手詰)
長篇賞 小林正美(二月号49手詰)


選後評 九段塚田正夫
<短篇>有力候補作(15手以内)
一月号 金田秀信 有田辰次
二月号 中野和夫
四月号 谷口 均 柏川悦夫
五月号 柴田昭彦 北川邦男
最近の短篇作品を拝見して思うことだが、これはという作が少ない。技術的には巧いのだが、個性があるというか、迫力があるというか、そんな作品が少なくなってきている。今期いささか低調の中で谷口作の7手詰が面白い。不動駒多く、作品的に未熟な処もあるが、まぎれあり金すてから最終手の軽妙な味を買って決定した。
他では、有田、中野の二作「何かがある」詰将棋と言える。印象に残った。
<中篇>有力候補作(17~35手)
一月号 柏川悦夫 北原義治 林 節八
二月号 有田辰次 北川邦男
六月号 北原義治 有田辰次
何んと言っても一月号の柏川、北原の両作がケタ違いの出来。両作全く質の違った作品だが、両氏の作風がはっきり表われている。
柏川作、構想の妙もさることながら、19手と短くまとめた処などひそかに感服している(。)作りようによっては長くなる危険性があるからである。
北原作、完成された図と言える。巧妙の一語につきるが、柏川作とまた違った美的な雰囲気がある。
他に北川作がやや印象に残った。
<長篇>有力候補作(37手以上)
三月号 小林正美 五月号 有田辰次
六月号 近藤 孝
三作共すばらしい出来ばえだが、作品のユニークな点で小林作に軍配が上る。二枚馬の趣向は新手と言うわけではないが、無仕掛図で構成された点、高く評価出来る。個々の手としては21手目の7七金が妙手。これで手の継続をはかった処など本作成功の因である。
有田 近藤両作、飛不成の主題で巧みな構成ぶりだが、何かうったえるものが不足している様に思う。
来期に期待したい。

短篇賞 谷口均
これまで、入選を唯一最大の目標として掲げ取り組んで来ただけに、この度の受賞は望外の幸運に恵まれたといえるでしょうが、今までの苦心が花を咲かせたのかとも思うと、初入選当時のそれより感激する次第です。
さて本作、最終手からの逆算法で比較的簡単に完成しました。(簡単に出来たためこのような作は、自分では余り良いとは感じないものですが、人選するのは若心した作よりはるかに多いようです(ママ)。) 39角という割に新鮮味のある手から逆に出発し、二枚金の打ち捨てでもってまとめたわけですが、この5手目の金捨てが持駒を使い果たすという事で次の39角と呼応して、心理的に指しづらい一手となったようです。又、初型は、7手としては駒数の少ない入玉実戦型(新語?)に仕上げられました。(今、7手としてはと書きましたが、普通7手詰だとそれより長いものより駒数が少なくてすむと考えられがちですが、最近では超短篇の手順は既成化しつつある為に、創作するに当たって手順に新鮮さ奇抜さを加味しようとし、自然に駒数もふえてくるようです。従って本作、割に簡潔な初型と言っても良いと思います。)
これからは、このような心理的盲点をつく作品の他に、主に中長篇でしか見られない構想の一手を導入した短篇作も作っていこうと思っています。もちろんこれからも第一目標は、”入選”という事に変りありません。では今後共よろしくお願い致します。
たにぐちひとし
昭和21年2月3日生
省略
初入選 38年3月号本誌
省略
初受賞


中篇賞 柏川悦夫
新年号拙作、入賞との事、有難うございます。本作、中篇としては小味な作品ですが、全体としてすっきり纏っているところが受賞の対象になったものと思われます。この図は私好みの作品で、或はと言う気も少々あっただけに喜んでおります。
最近、皆様にはすっかり失礼いたしておりますので先ず誌上をかり深くおわび致しておきます。実はこの四月から当所(身障更生指導所)に入所一年職能(時計)その他色々な訓練を受けることになり非常に忙がしく、創作の方も目下休業?状態ですが、各誌で皆様の活躍ぶり、作品など拝見、結構楽しんでおります。ここしばらくは手持の作品だけでも時々発表して行きたいと思いますのでよろしく(。)
かしかわえつお
大正15年2月2日生
省略
塚田賞七度目


中篇賞 北原義治
前期(長篇賞)がまさに苦心のかたまりであったのに較べれば、まるで簡単にできちまった作です。着想~完成が約一か月、延べ時間にして一時間くらいだったでしょうか。幸いに運の神の味方を得るあたり、やはり僕の最も住み易いのは中篇なのかも知れません。
現在、心身ともに乱れて最低の状態にあって人間にガタが来ていますが、この受賞が果たして立ち直る転機となってくれますか。
でも、もうこれが最後の受賞になるかも知れぬ予感もあります。それが幸か不幸か?
きたはらよしはる
省略
昭和10年5月31日生
塚田賞九度目


長篇賞 小林正美
昭和10年生、31歳、多作家ではないが、塚田賞三度目という実力作家。
又、指将棋も強くアマ五段。アマ戦の代表にもなったことがある。



特筆すべきはやはり谷口氏の受賞でしょうか。
氏は当代随一の短編作家。
質の面では看寿賞・塚田賞・半期賞など受賞歴は優に20回を超えます。
量の面では近代将棋では昭和57年に入選100回を達成、詰将棋パラダイスでも入選100回を超え、将棋世界・詰将棋サロンでも入選100回へ秒読み態勢に入っております。
詰将棋解答選手権にも毎年出題を続けていますね。
当時は大学生でいらしたようです。

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