第27期塚田賞発表(近代将棋昭和41年8月号)

前回・前々回の記事とは目先を変えまして、第27期塚田賞の発表の模様を載せたいと思います。
発表から47年の歳月が流れています。

第二十七期塚田賞は、塚田九段と編集部の選考で始められた。今期は短篇にずば抜けた作品がなく、該当なしの話も出かかったが、再度の選考をかさねた結果、別掲のとおり決った。

受賞作家
短篇賞 棋村迷人(本名・二瓶誠)(5月号 11手詰)
中篇賞 山中龍雄(3月号 27手詰)
長篇賞 柏川悦夫(3月号 55手詰)
特別賞 北原義治(1~5月号曲詰”1”)


選評 九段塚田正夫
<短篇>有力候補作(16手以内)
1月号 有田辰次 3月号 小西逸生
4月号 浜田 博 松波太郎
5月号 有田辰次 5月号 棋村迷人
6月号 長谷繁蔵
残念ながら、これはと思うような作品が見当らず、選考に手間どったが、その中で5月号の、有田、棋村両君のが印象に残った。
有田作は良形であり、桂の二段ハネが面白い。一方棋村作は詰め難い味があり、ユーモラスな感覚がある。甲乙つけにくいが、競馬で言えば”ハナの差”で棋村君に決定したというところである。
他では浜田、松波、両君のも個性があって楽しめた。
<中篇>(16~36手)
2月号 海老原辰夫 山田修司
3月号 有田辰次 山中龍雄
4月号 桑原辰雄 有田辰次 片岡貞夫
6月号 北川邦男 森田正司
短篇に較べて、この部門は優秀作品が目白押しでこれまた選題に迷ったが、結局、山中龍雄作が作品的に秀れているので決めた。作者のねらいがこの位的確に表現できれば、文句のつけようがない。次点は有田辰次(3月号)以下森田正司、北川邦男の順とみる。私の好みから言えば有田作も入賞しておかしくない作品である。森田作も玄人好みのまとめ方をしていて好感が持てる。北川作は申し分のない主題であるが表現方法に難点がある。惜しまれる。
<長篇>(36手以上)
2月号 小峯秀夫(修正図)
3月号 柏川悦夫
有力な対抗馬であった駒場和男作が不完全でくずれてしまったので、柏川作の独走となった。構図にややくどいところもあるが、遠角の連打など、受賞に値すると思われるので決定した。
小峯秀夫作品も仲々の力作であるが、ねらいそのものにくどいところがある。
他に北原義治作のあぶり出し「1」シリーズも秀れた作品と思われるので、特別賞に決めた。立派な作品である。

短篇賞 棋村迷人
住所省略
昭和8年10月29日生
初受賞
感想
塚田賞どうも有難うございます。
ショウなんてものはストリップショウ位しか縁がないと思っていたら塚田賞に入ったとは驚きです。小西氏から「今年はカボチャの当り年ゆえヒョッとすると……」など葉書が来ましたが余りアテにしていませんでした。
本命の北川氏作?の脱落や名補正をして下さったM氏などなど多分に繰上げ当選的幸運の様ですので、奨励賞のつもりで今後共励んで行きたいと思って居ります。
小生の場合、構想派で形に構わず手順本位?に作るので近将では余り喜ばれない様で、「近将は面喰いだ」と放言したら森さんににらまれました。しかし不美人がいくら厚化粧しても所詮山本富士子になれぬのと同様、急に形の良いものをなどと欲を出しても無理と申すもの。自分の身についた創作法を以ってこれからも醜女の深情で妙手奇手を追い掛けて行くつもりです。
創作の苦心
本局やぶにらみの詰上りがねらいで収束からあぶり出し式に戻したもので十分位でバタバタと作ったもので苦心らしい苦心もしておりません。むしろ修正なさったM氏の方が苦心されたのではないかと思います。申訳ない次第です。
棋歴
中学三年の頃からはじめてもう十七年になります。自分でも驚くほどです。その間ひたすら後進に道を譲り続けて来たとは。人の好いのも良し悪し。


中篇賞 山中龍雄
住所省略
昭和11年6月1日生
塚田賞三度目
本作は序奏の階段状四香連打、収束の玉による四香消去の構想を、如何に結合させるかに随分苦心したもので、完成までには十時間位消費したと記憶している。
創作過程では龍馬による小型煙詰が有力で未練があったが、総合的観点から断念して二枚馬を選択した結果、詰上り歩の残留となった。作図に当っては構想の特徴から使用駒最少、初型美と持駒との調和、流動的な詰手順(、)綺麗な詰上りを外面的な目標としたところ金銀不使用で完成したため、最初の予想より以上に軽快となり、しかも簡潔にまとまったので典型的な構想趣向の快心作となった。
一方内面的にみると、変化順は適度と思うが棋形持駒からある程度黙殺できるのは確かである。二手目2二玉の変化を消す攻方2三歩の配置は香打を渋滞させない意味から当然考えられるが、小生の作風として置きたくない駒である。作品としての全体の均衡はとれているのでこれ以上の推敲はできない。
以前は候補に上ると思われる作品を発表した場合にはある程度の期待を掛けたものだが本作が受賞するとは不思議にも夢想だにしなかった。その理由としては山田修司氏の中、長篇における五期連続受賞(、)柏川悦夫氏の二十一期から二十六期にかけての四期受賞、最近作の質の向上が挙げられる。そして以前長篇に不詰作を出した事に対して自発的に行った本誌への一年余の投稿中止(覚悟してはいたがこの期間の何と長かったこと!)以後の張合い抜けが未だに大きく影響している。
とにかく作風にマッチした作品での受賞なので喜びも格別です。
これを契機にしてねらいを持った作品に力を注ぎたいと思っております。


長篇賞 柏川悦夫
住所省略
大正15年2月2日生
塚田賞六度目
はからずも私の”長篇作”が入賞したとのこと。何か初めて入賞した時に似た感激です。と申しますのはご存じの通り私は、長篇は最も苦手でして”長篇作”の受賞は後にも先にも、今回が初めて、それだけに喜びもまた格別というところです。本作は私の久方ぶりの長篇で苦心の作品ですが、構成の面では全然不満がなかった訳ではありません。発表時に解説の森さんも(収束を今少し凝縮出来たら)と書いておられましたが、真にその通りで、重い感じの左下辺で駒を二三枚残せれば、序の方ももう少し加味出来そうなところと約一か月ばかり推敲を重ねましたが、結局発表図以上のものは発見出来ず、やるだけはやったと一応満足はしておりましたけれど今受賞作として改めて見る時、多少心残りに思っています。


特別賞 北原義治
住所省略
昭和10年5月11日生
塚田賞 7回
「塚田賞」なんてもの、僕にはもう無縁?なんて思っていただけに、ちょっとにやにやっとしちゃいます。この前は第十七期が最近だから、一体何年ぶりでしょうか。
このシリーズ物の完成年月日は①30・6・5…②34・1・8…③40・8・16…④32・2・16…⑤35・12・19……と記録されていますから、僕の作図の歴史と同じようなものと言えましょうか。一局ずつ取り上げるほどのことはなくも、五局を一つの流れと見れば、割と粒の揃った可愛い子達であることに違いありません。
自分の「生活」を切りひらくためには作図とも詰将棋とも、また将棋ともだんだん疎遠になる昨今ですが、「趣味」として続けられるものなら……ってところでしょうか。どうも有難うございました。









浜田博氏は現在ご活躍の方とは別人のようです。

次回は、第28期塚田賞決定の模様を載せたいと思います。
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