自画自賛 森田正司氏(近代将棋昭和41年7月号)

詰将棋作家の自慢の一局を紹介する昭和41年の近代将棋誌連載「自画自賛」、本日の更新分は森田正司氏のものです。


森田正司

(詰パラ 38.8表紙)


総発表作品がまだ百題にも満たない小生に自画自賛の機会が与えられるとは、何という幸運でしょうか。とはいえ詰棋歴十数年ともなれば、自分では詰棋マニアのつもり。まずは自惚れの一くさりを……。
薄よごれた自選集から取り出しましたのは詰将棋パラダイス誌(38年8月号)の表紙に採用された作品で、古関茂氏の「この次の表紙コンクールは取止めのこと。本作が出た以上はページが勿体ないだけ。」という予言通り圧倒的多数で年間首位を得たものです。もし本作をご存知でない方は、次を読む前に少くとも30分は盤に並べて考えてみて下さい。

さて本作、25香、15玉、14と、16玉(同玉は13金以下13手)までが導入部で、17銀から16銀捨てによって25香を除去するのが主題、以下18金を置いて主駒の角を34へ捨てて収束するという、たった15手の短篇ながら序中終をわきまえた手順の演出に目をとめて戴きたい。単なる邪魔駒消去ならもはや短篇の主題とはなり得ませんが、何気なく打った駒が邪魔駒となり、しかもその効果が最後の角捨ての好手によって現われるところに構成の妙味がある訳です。そして老練の作図家なら26桂という渋い脇役の演技を見逃さないことでしょう。
詰将棋の生命は何か。「難解」というだけでは数学の問題のように味気がない。手順の意外性や新鮮味も勿論重要ではあるが、これらが詰手順全体と調和してこそ解く人を魅了させることができる。さらにこの詰手順を表現する駒がその機能を極限まで発揮するとき私たちは詰将棋の中に「美」を見出すことができる。
本作は短篇においてこのような詰将棋の本(解読不能・後で付け加えます)作品です。
僅かに不純物(29と)が残りましたが、前述のような詰将棋観を表現することができた作品としてご紹介いたしました。

住所は省略
昭和9年9月7日生 会社員
初入選 29年11月号詰パラ
第11期塚田賞(短篇)受賞
(一時、昌弘の名で発表したことあり。)


詰研会報や詰棋めいと、近代将棋図式精選を世に出した名解説者というイメージがありますが、作家としても一流だった森田氏でした。
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