詰作家三十人一局集 私の快心作(下)(近代将棋昭和46年8月号)①

「詰作家三十人一局集 私の快心作」、今回の更新分から(下)に入ります。
現代の代表的な詰将棋作家を選定し、その代表作の紹介と作家の近況などを語ってもらいました。(掲載到着順。解答は末尾にあります。)

本誌 昭30.11
⑯近藤 孝氏作
16 近藤孝氏作

近藤 孝こんどう  たかし
現在の私がこの作を発表したとしても誰も驚かないだろうが、デビューまもない頃に作ったところに意義がある。どうしてこのような大作が出来たのか今だに不思議で仕様がない。思えばこの頃(30年から36年ころ)が一番創作意欲が旺盛だったように記憶している。この作品、双方角不成を、十回以上にすべく苦心したが、どうしても出来なかった。(今なら出来る)今つくづくながめてみると、無理に全駒使用作にしたフシがある。初手17歩は不用だし(これより王手の仕様がないから)最低五枚は除けそうだ。収束はだらだら長くならずに、ピタリと出来たのでまずまずと思っている。




本誌 昭43.6
⑰山中 龍雄氏作
17 山中龍雄氏作

山中 龍雄やまなか  たつお
本作は「連続合駒最多回数」(七回=一個の駒の王手に対して)実現第一号局。
軽いタッチ(終始最小限の移動)のリズミカルな駒の動きに美しさがあり、詰上りは還元玉。序、中、終盤共一種の駒と駒との一連の接近戦で、恰もプリズムを通して見たスペクトルの如く色分けが鮮明。
序――主題の七種合、歩を取り払いつつ横這いする飛。中――捨て歩と基礎歩、連打の歩に攻撃されジグザグコースを辿る王。終――玉の横這い、同調する金。
玉方、攻方の捨て歩箇所と飛、金の横這い箇所の一致も面白い。




本誌 昭43.6
⑱田中 鵬看氏作
恋路
18 田中鵬看氏作

田中 鵬看たなか ほうかん
煙詰をさけて、より創作困難といわれる無防備玉を登場させた。
本作、自陣に小駒成駒はなく身ぎれいな形をしている。”恋路”は一号局”ひとり旅”の弟であるが内容が秀れているので選んだ。
創作の動機は数年前、私が入院中、ある看護婦を愛したが、悶々の日を送り遂に破局。
私は地平の果てに一人佇んでいるような孤独感にさいなまれ、その寂しい心境から”ヒント”を得て完成したもの。
喜怒哀楽を詩った作品は数あるが、一身上に起きた事柄を詩いあげた作品は極めて希だけに、本作の作品価値は一段と格調高いものと自負している。




詰パラ 昭41.4
⑲田中 至氏作
19 田中至氏作

田中 至たなか  いたる
無仕掛作品では宗看の61手詰がこれまでの最長手数でした。それを100手近く破ったことになり、記録をネラった作品となっています。
単調に流れ勝ちになる竜の追い廻しですが、7六竜として金を入手しこの金を直ちに9八金と打ちすてる。
次に6六竜として銀を入手し7六に歩合を強要。さらに5六竜として香を入手し、以下75玉 65竜 86玉 66竜とする四手の変調を取り入れ、76に桂合を強要。
右の三点によって、やや新味が出たものと思います。しかし、本作はあくまでも、無仕掛作品の最長手数をネラッたものです。




詰パラ 昭40.8
⑳棋村 迷人氏作
20 棋村迷人氏作

棋村 迷人きむら めいじん
完成後、攻方37桂を加えて45桂とスリ替える伏線を入れたために穴があきましたが、37桂を除けば完全と思います。
本作収束のキズと58歩の飾り駒が気になりますが、伏線を取り払っても尚あちこちに遅効手が散在して仲々密度の高い手順と自負しています。完成迄に約二年を要しています。46金と金を取る手が創作上のヤマで、この手を入れたために玉が5、6筋方面に来て、ぐんぐん手が伸びました。片カナの炙り出しで50手を超える作品は2、3局しかないはずです。
◎本名 二瓶誠。他に鳥越九郎の名で有名。




詰パラ 昭42.11
㉑柴田 昭彦氏作
21 柴田昭彦氏作

柴田 昭彦しばた あきひこ
昭和42年度看寿賞中篇賞受賞作。本誌42年8月号に発表した作品もすて難いが、代表作となると、やはり本作を選ぶことにした。
構想物の少ない私としては珍らしい構想物、効かすための不成、歩詰回避の不成、中合、移動合等、盛沢山の内容で、適度に難解性もあり、まずは申し分のない出来と自負している。
43桂生の前に前奏がはいればなお良いが、それは欲ばり過ぎと自らなぐさめている。
◎昭和10年11月28日生。





田中鵬看氏作は4月号が正しいようです。
無防備煙詰が発表されたのはもう少し後のことでした。

田中至氏作は「ヒマラヤ」として知られている作品ですね。
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