卒業試験懸賞問題〈解答発表〉(近代将棋昭和46年7月号)

村山隆治氏の連載「続・詰将棋の能率的勉強法」、最終回で出題された「卒業試験懸賞問題」の結果発表です。
ささやかな企画に対して、読者の皆さんから沢山な解答と賞賛の言葉を頂き、厚く感謝しています。解答者総数は220名でした。
私の拙稿が意外と人気があったことを知らされ、中にはもっと続けて書いてほしいとか、是非一冊の本にまとめて刊行して下さいなどのお便りもあり、筆者として望外の喜びに浸ったわけです。いづれ機会を見て、一本に集大成したいと考えています。
総じて、大ベテランの人には物足りなく感じたことと思いますが、あくまでもごく初級者を対象にした問題を選定しましたので、その辺の所をお含みおき願います。
残念なことに、里見氏の作品に早詰が生じてしまい、粗選をおわびします。
――解 説――
―A―
東京 堤 計夫氏作
卒業試験懸賞問題A

――A―― 堤 計夫氏作
4二金・2二玉・3一銀・同飛・3二金打・同飛・同金・同玉・4二飛・3一玉・4三桂まで11手詰
堤君は、たしか3・4年前に一度だけ「将棋世界」に作品を発表し、その異常感覚な筋が記憶に残っていましたので、今回登場して貰ったわけです。
俗手の4二金より、3一銀と捨て、飛を呼び戻しての3二金打が、実にドロ臭い手。感覚からいけば、3二金と寄って捨てたい所ですが、同玉と取られて詰みません。
今後の活躍を期待したい、ヤング・パワーの一人です。
 ◎正解率=94%



―B―
愛知 中田 章道氏作
卒業試験懸賞問題B

――B―― 中田章道氏作
3四金・同銀・4二飛成・2四玉・3五銀・同銀・3三竜・1三玉・2四金・同銀・2二竜まで11手詰
高校生から棋界入りした棋士の卵ですが、詰将棋の腕は確かなもので、相当作品を創っています。
2四から1五への逃げをもっている玉なので、この順を消し乍らアミをしぼっていくことがコツです。そのために初手3四金と捨てて敵銀を移動させ、上部に出てきたときに、3五銀・2六金の形を用意しておくことが大切です。これさえわかれば、あとは平易でしたが、収束3三竜に同玉と取って、9手詰の解答が大部ありました。玉方は最長手順に逃げるのが正解ですので、よく注意して下さい。
 ◎正解率=82%



―C―
埼玉 柏川 悦夫氏作
卒業試験懸賞問題C

――C―― 柏川悦夫氏作
2二金・同玉・4四角・同竜・3二飛・2三玉・1五桂・1四玉・3五飛成・4一竜・2六桂まで11手詰
作品集の名著『駒と人生』の作者であり、超ベテラン作家。そのユニークな短篇は定評のあるところで、形や筋に少しの妥協もみせない厳しさを具えています。
2二金・同玉に3二飛が映ります。でも2三玉(ここ1一玉なら4四角でよい)・1五桂・1四玉・3五飛成・2三桂合で不詰、もし2六角がなければ、この点に桂打が生じて詰みます。即ちこの形では2六角が、ジャマ駒であったわけ。そこで3二飛とする前に、4四角と消しておけばよいのです。
いきなり4四角の強烈手をもってこずに、おだやかに2二金とすべり出すところに、ベテランの味がにじみ出ています。
 ◎正解率=97%



―D―
埼玉 村山 隆治氏作
卒業試験懸賞問題D

――D―― 村山隆治氏作
1三金・同玉・2五桂・同歩・1二飛・同銀・3五馬・1四玉・2四馬まで9手詰
甚だ手前味噌で恐縮ですが、この『詰将棋の能率的勉強法』を卒業されたツメキストは是非自著の『詰将棋教室』を読んで下さい。
初手2六桂では、この打った桂がジャマになって失敗します。また2三馬にも指が動きますが、同桂と取られて僅かに詰みません。
1三金から2五桂として、玉のコビンをあけての1二飛がキメワザです。ほとんど全員が正解であり、この作が一番素直だったことでしょう。
軽いオーソドックスな作品でした。
 ◎正解率=99%



―E―
大阪 里見 義周氏作
卒業試験懸賞問題E

――E―― 里見義周氏作
8四桂・同歩・7三銀・8三玉・6五馬・9三玉・8五桂・同歩・8四銀成・8二玉・7三金・9一玉・9二馬・同玉・8三成銀・9一玉・8二金まで17手詰
これが作意でしたが、9手目8四銀成とせず、8二玉・8三銀不成・9一玉・9二銀不成・8二玉・8三馬まで15手詰の早詰がありました。
この銀不成は選者にとって全くオドロキの手であり、むしろこの手を活かした方が面白い作品になりそうです。京都の武田安弘氏は「純生ではないようだ(成っても詰む)」というユーモアな寸言を呈して呉れました。
里見氏は、筆者にとって詰将棋開眼の恩師の一人であり、現在奈良の薬師寺の近所に住まわれて、俳諧の道にいそしんでいます。



当選者発表― (氏名のみ掲載)
原 敏彦
秋元龍司
横山真弥
宮井朗
毛内敏雄
熊倉昭一
森山昌彰
明石顕治
大西正剛
篠原 新
(以上10名敬称略)

――お願い――
私の棋友で、昭和16年頃鎌倉市の極楽寺に住んでいました『佐賀聖一君』の、その後の消息を知っている方が居りましたら、是非御連絡願えれば幸甚の至りです。(村山)



Cは、3手目3四桂以下でも詰んでしまうようです。



以上で、村山隆治氏の連載「詰将棋の能率的勉強法」正続の掲載が一段落した形になりました。なお、この連載は手を加えた上で「詰将棋をたのしむ本」として出版されています。私は持っていませんが…。
ここまでお読み下さった皆様、そして村山氏のご遺族に深く感謝申し上げます。
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