続・詰将棋の能率的勉強法(8)(近代将棋昭和46年2月号)②

第8回は3分割と書きましたが、これまで通り2分割とすることとしました。
前回の記事を既読の方は、③香の遠打法を追加しましたので、先にそちらをお読み頂ければと思います。
B 短打の形
飛・角・香は、目標より離して打てば打つほど、その効果を発揮することは当然です。ところが常にこうとばかりは限りません。そこに詰将棋としての面白さがあり、解く者にとっては、感覚の盲点になるものです。
① 飛の短打法

(第7図)
続第8回第7図

第7図。金田秀信著『実戦型詰将棋百題』の第16番です。
一段目に飛を打つ王手よりありませんが、あとの活用を考慮に入れての位置となれば、おのずと決定されたようなものです。
詰方の角の効きが、3四に及んでいます。これに照準を合わせる3一飛の短打が正着となります。同玉は4一飛成の一発、また3一同角なら2三飛成・2二角・4三角成・3一玉・3二馬まで、かくて1二玉の逃げに2三飛成と捨て、3四角成はすぐに映ったことでしょう。あとは1四歩で形をきめ、2四馬で詰上りです。
第7図。3一飛・1二玉・2三飛成・同玉・3四角成・1三玉・1四歩・同玉・2四馬まで、9手詰。



最も初級向きの限定打例題でした。

(第8図)
続第8回第8図

第8図。『詰将棋パラダイス』(昭和43年9月号)・広島市・山中龍雄氏の作品です。
いかにも龍筋が重いので、2五桂を捌きたくなります。では1三桂成とするとどうなるのでしょう。もし同桂と取って呉れますと、1五飛でオシマイですが、1三同玉とされますと、2三飛と追い討ちをかけても、柳に風と1二玉でどうもダメです。このとき守備金を2三の点に呼び戻しておけば、2三歩成という手が成立しますので、玉が1三には下がれなくなることが判ります。
そこで初手は2三角が正着、同金なら今述べた1三桂成がきびしいので、2四玉と歩を取って逃げることになります。ここで途中1図です。

(途中1図は2四玉まで)
続第8回第8図途中1図

さて次の一手が難解ですが、発見できるでしょうか?思い付く手としては、1三桂成と3四飛位ですが検討してみましょう。
1三桂成は同玉と取られても、また3三玉と逃げられても詰みません。3四飛は2三玉・3三桂成(両王手)・1二玉・2三成桂・同金・同龍・同玉・2四金・1二玉で、これもダメです。いずれも失敗に終わりました。これで読みをあきらめてはいけません。3四飛の紛れ手段で、3三桂成と両王手をしましたが、3三桂不成という開き王手も考えられるのです。もし1二玉なら2一龍の一発、でもこんどは3四玉と飛を取られて失敗です。それなら飛を取られない位置に打てばよいことに気づくでしょう。そうです。4四飛が巧妙な限定打なのです。これによって、玉の4筋逃げも封じています。4四飛・2三玉で途中2図となります。

(途中2図は2三玉まで)
続第8回第8図途中2図

この形になれば、3三桂不成の妙手が光彩を放ち、同玉・2四龍までとなります。
第8図。2三角・2四玉・4四飛・2三玉・3三桂不成・同玉・2四龍まで、7手詰。



4四飛から3三桂不成はシビレる手段、短編の傑作と思います。
② 角の短打法

(第9図)
続第8回第9図

第9図。北村昌男七段著『強くなる詰将棋二百題』の第43番です。
玉の4三からの逃げを防ぐことが先決ですが、それには斜め効きの角打ちよりありません。ただウカツに攻めますと、2三玉という逃げもありますので、その辺を考えに入れての角打ちを選定しなければいけません。
大駒は離して打てという格言はあります。でもこの局面で6五角とでも打ちますと、軽く2三玉で失敗します。そこでこれらを考慮して、4三角という短かく使用する限定打が妙着となります。(途中図)

(途中図は4三角まで)
続第8回第9図途中図

わざわざ逃げを助けるような手ですが、4三同龍と取れば3一龍・2三玉・2二龍までですし、また2三玉と逃げれば3四角成が生じて詰みます。
第9図。4三角・同玉・5二龍・4四玉・5四龍まで、5手詰。



(第10図)
続第8回第10図

第10図。清水孝晏四段著『新選詰将棋二百題』の中の詰将棋です。
1七玉の入玉を防止しなければいけませんが、角の打ち場所が問題です。
こうした局面では、だれもが5三角と遠角を打ちたくなるのではないでしょうか。すなわち、5三角・1六玉・1七歩・2五玉・3五角成の詰みと速断したくなります。ところがそれは落とし穴なのです。5三角のとき、一たん、なんの効きもないところに4四歩と中合いされ、同角成に更に3五桂合とし、同馬・1六玉で打歩詰に誘われてしまいます。そこで3五角とつけて打つのが盲点の短打となります。あとは手順の追い詰めです。
第10図。3五角・1六玉・1七歩・2五玉・1四飛成・同玉・2四金まで、7手詰。



② 香の短打法

(第11図)
続第8回第11図

第11図。『詰将棋パラダイス』(昭和44年12月号)の自作品です。
上部の逃げと、下辺へのもぐり込みとを防ぐには、3筋に香を打つよりありません。最も効率のよい使用法としては、3九香と打つところでしょう。下にもぐれば3二飛で簡単です。それならば2四玉とでればどうなるでしょう。2六飛・2五歩合のとき、3五金でよさそうなのですが、この金打ちによって香筋が消えたので、3三玉と戻られますと逃れ筋になってしまいます。余りにも香の柄が長すぎて、効力が発揮できなかったのです。最も短かく使用する3四香が意表を衝く妙手なのです。(途中図)

(途中図は3四香まで)
続第8回第11図途中図

取れば3五飛で簡単、2四玉には2六飛の限定打が好手となります。2五に合いをすれば、こんどこそ3五金がピタリです。そこで香をパクッての3四玉の逃げに、4五馬の毒マンジュウでおダブツです。
第11図。3四香・2四玉・2六飛・3四玉・4五馬・同玉・3五金まで、7手詰。



この位の短編ですと、詰後感もバツグンでしょう。

(第12図)
続第8回第12図

第12図。内藤国雄八段の作品です。
形からの直感で、1三香・2二玉・1二香成てまでは一直線、スラスラといった筈です。1二香成をスンナリ2三玉と逃げられて、さて巧い考えもでず、この筋の誘いのまぎれかとあらぬ迷いが行きづまりをきたし、振り出しに戻って、2一歩成・同玉・2三香等の順に頭を悩ませたことでしょう。
2三玉の形で、2筋に香を打って詰まなければ、作品がおかしいのです。ただ「香は下段から打て」という格言に忠実すぎますと、例えば2九香では2五に歩合いなどされて逃れ筋になってしまうのです。2三玉に2四香と、じかに打つ手が名手です。(途中図)

(途中図は2四香まで)
続第8回第12図途中図

この一手をよく味わって下さい。2四同馬は2二金まで、同玉と取れば3四金以下平易な順です。
第12図。1三香・2二玉・1二香成・2三玉・2四香・同玉・3四金・2五玉・3五金まで、9手詰。



“私の好きな作品の一つです……”と作者が書いているように、盲点の2四香が大変に面白く、軽作品と思います。

まとめ
限定打の形
飛・角・香を、盤面の限定された点に打たないと不詰に終わる詰将棋の形をいう。
そしてこれは、
A 遠打ちの形
B 短打の形
に分類されます。
遠打ちの目的
1 敵駒の効き筋を、遮断する、そらす
2 必要な駒を入手する
短打の目的
1 打歩詰の回避
2 働きの二段活用
3 不詰の回避
いずれの場合でも、感覚の盲点を衝いてくるので、思考の飛躍が解法のコツです。したがって常識では考えられない手も、一応読んでみることが発見に繋がることになります。
                                    ――限定打の項おわり――
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