続・詰将棋の能率的勉強法(6)(近代将棋昭和45年12月号)①

村山隆治氏の連載「続・詰将棋の能率的勉強法」、第6回の前半部分です。
両王手の形(その2)とタイトルの下にあります。
詰めのハプニング劇
すべて勝負の世界では、その幕切れがドラマチックであればある程、拍手喝采を受けるものです。九回裏の逆転満塁ホームランなどは、野球などに余り興味を感じないご仁でも、思わず手を叩きたくなることでしょう。
あらゆる詰将棋は、それこそ数多くの手筋の活用で詰上ります。そのなかでも、最終の両王手でご臨終となる作品こそ、まさに”詰めのハプニング劇”といえるのではないかと思います。
同時に二つの方向から切り込まれては、いかに剣豪眠狂四郎といえども、これを切り返す円月殺法の術は通じないはずです。とに角身をひるがえして、逃げるよりありません。鬼より恐い両王手で、玉が逃げ切れなくなったとき、即ち玉の終焉となります。
今月はこの詰めのハプニング劇ともいうべき”最終に両王手の形”について、学習しましょう。
② 最終に両王手の形

(第1図)
続第6回第1図

第1図。最も単純な形におけるサンプル作品です。
実戦ですと、こんな形でも結構あわてて詰みを逃がすのではないかと思います。といいますのは、実戦では1二飛成の手に誘惑されがちだからです。動いた香のあとに穴があくのに気が付かず、ビックリ仰天しても後のまつりとなります。ツメキストなら、キッパリ1四銀と打ってほしいものです。
第1図。1四銀・同玉・1二飛成まで、3手詰。(詰上り図)

(詰上り図は1二飛成まで)
続第6回第1図詰上り図



なお、初手3三飛成も誘い手ですが、同金と取られて、この金が守備に効いてきますので失敗します。

(第2図)
続第6回第2図

第2図。原田八段著『新しい詰将棋百題』にある第16題です。
前題をチョッとひねくったような感じの詰将棋ですので、軽く詰めて下さい。(解答末尾)

(第3図)
続第6回第3図

第3図。小駒による両王手を主眼にした詰将棋です。
初手飛の王手では3三玉と逃げられ、あと桂一枚ではとても詰みません。どうしても1六桂の着手よりありませんネ。この手は香の効きを重くして、いかにも田舎臭い異筋のような手に思えますが、これが正着なのです。1六桂・3三玉なら、4三飛・3二玉・4二とまで、したがって1六桂に対しては、1三玉と落ち込むのが正しい応手で、途中図となります。もし1四玉なら1五飛の一発です。

(途中図は1三玉まで)
続第6回第3図途中図

途中図では詰方の手段が窮したかに見えます。飛車を打つ点がはっきりとせず、どこに打てもムダに思えるからです。ここで必殺のK・O・パンチ、1二飛という鬼手があります。1二同玉の一手ですし、その決定的瞬間をとらえた2四桂とびが、桂と香の名コンビによる両王手で、アッと驚くタメゴローのなってしまいます。詰上り図をよく見て下さい。

(詰上り図は2四桂まで)
続第6回第3図詰上り図

まさにハプニングとは、このことです。両王手の恐怖を如実に示した詰将棋といえましょう。
第3図。1六桂・1三玉・1二飛・同玉・2四桂まで、5手詰。



(第4図)
続第6回第4図

第4図。拙著『詰将棋流鏑馬』の第7番です。詰方の飛と角が斜めに並んでいますので、両王手のねらいらしいことは想像がつくことと思います。玉がもし6三か7四の点にはいりこめば、両王手の接点となって解決しそうです。5五玉と逃がしてはダメですから、5三銀または6二飛成というような手は成立しません。
初手7三銀の焦点打が正着なのです。7三同玉なら、8四銀・6四玉・7四金という奇手で、同玉でも同龍でも5四飛成までとなります。この7四金の名手は、実はこの作品の生命であり、本手順においてもこの一手により解決するのです。
第4図。7三銀・同桂・7五銀・同歩・7四金・同玉・5四飛成まで、7手詰。(詰上り図)

(詰上り図は5四飛成まで)
続第6回第4図詰上り図



7五銀と捨て、逃げ道を封鎖しての7四金をよく味わってほしいものです。詰上り図を見ますと、玉は丁度クモの巣に引掛ったように、飛と角の糸の目から抜けられない様子がよくわかります。7手詰の好作と自負しています。

(第5図)
続第6回第5図

第5図。『将棋の詰め方ABC』の第39番です。
この詰将棋が両王手の作品とは思えませんが、手が経過するにしたがってそのような形になってきます。
上部には玉方の守備駒が堅固に並んでいますので、うっかり上部に追い出しますと、入玉されてしまいます。したがってその用心が肝要です。
そこで4三馬などの手は最も悪手になります。考えるヒントとして、玉が2四に逃げたときには詰むような形にしておかなければいけません。
3二飛の手が、いかにも筋のような感じですが、果してどうでしょう。同銀なら退路封鎖の3四金捨てから、4二馬の一発。また同玉なら4三とでソレマデ。ところが軽く2四玉と上部に逸走されますと、金やと金がよく効いてきて詰みません。ここで手順に3四飛成と馬筋に結びつけば、面白いことに気づきますネ。そこで3二飛の前に、まづ3四金と打ち捨てて、玉方の金を馬筋の効きに誘っておくのが、切れない攻めを企図する巧い前提工作です。敵駒を味方の駒の効き筋に、呼び戻す捨て駒の手筋は、実戦でもよくでてきますので忘れないように記憶しておいて下さい。かくて、3四金・同金・3二飛で途中1図となります。

(途中1図は3二飛まで)
続第6回第5図途中1図

3二飛に対し、同玉も同銀もないことは既に述べましたので、2四玉と逃げだすよりありません。飛で3四金を取って攻めが続行できます。玉は入玉を目指して1五玉と更に上部に抜けだすのは当然、1三玉なら1四金・1二玉・2三金まで簡単。1五玉で途中2図となります。

(途中2図は1五玉まで)
続第6回第5図途中2図

この形は、第2図の途中の形とよく似ている筈です。したがって、第2図の宿題を完了した皆さんは、途中2図における1六金の発見は至極たやすかったと思います。ここ2五金などの俗手では、軽く1六玉と逃げこされて、それこそ入玉行進曲となります。
第5図。3四金・同金・3二飛・2四玉・3四飛成・1五玉・1六金・同玉・1四龍まで、9手詰。(詰上り図)

(詰上り図は1四龍まで)
続第6回第5図詰上り図



(第6図)
続第6回第6図

第6図。芹沢博文八段著『詰めの基本と応用』の第35番です。
特別のケースを除き2三金のような俗手で詰む図式は辞典にはありません。ポイントは4五馬の活用いかんですが、その前に歩を使用して玉の形を決めたいところです。それには1四歩よりありません。これに対し同玉なら、2三角(離して打っては詰まぬ)・2五玉・3四銀・同歩・同角成・1四玉・1三金・同玉・2三馬までの詰みですので、1四歩には2二玉と逃げます。下辺に落としてヤブヘビみたいですが安心して下さい。ここで2三馬という強烈なパンチがあるのです。ただしこの手は、先の見通しがないと指せませんので、読みの裏付けが必要となります。1四歩・2二玉・2三馬で途中1図です。

(途中1図は2三馬まで)
続第6回第6図途中1図

これで2三同玉と呼び、”合い効かず”をねらう4一角が手筋の寄せで、読みの裏付けとはこれを指しているのです。この形における4一角は、詰めのパターンとしてよく覚えておいて下さい。4一角で途中2図となりますが、3二に合駒ができず2二玉と逃げます。

(途中2図は4一角まで)
続第6回第6図途中2図

これに対して、1三歩成が軽い手で以下、同玉・2三金・1四玉・2四金の両王手で攻略です。
第6図。1四歩・2二玉・2三馬・同玉・4一角・2二玉・1三歩成・同玉・2三金・1四玉・2四金まで、11手詰。

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

hirotsumeshogi

Author:hirotsumeshogi
少ない知識をフル活用させています。
当ブログはリンクフリーです。
相互リンクは詰将棋関係のものであれば原則受けさせて頂きます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR