続・詰将棋の能率的勉強法(5)(近代将棋昭和45年11月号)②

村山隆治氏の連載「続・詰将棋の能率的勉強法」、第5回の後半部分です。
(第5図)
続第5回第5図

第5図。前題の第4図とよく似ている形ですが、両王手の筋が直接手順には現われないで、変化の中に含ませた例として、採用した詰将棋です。
これまでの学習で、要領が判ったはずですので、1一の点に玉を誘っての両王手という筋が、ねらいだなということが、図面を一目見てピンときたことでしょう。といっても短兵急に1一金としては、同玉なら2三飛成の開き王手があって面白いのですが、1三玉と軽く逃げらえて詰みません。即ち1一金・1三玉・2四銀・同玉・3五飛成・1三玉でいけません。また2四銀のところ2二銀は、同玉・2一金・同龍でこれも失敗です。
2三金の守備駒移動が、詰将棋理論にのっとった適切な方策となりますが、それには2四桂しかありません。常に力説してきた、持駒に桂がある場合には先づ桂打ちを考えよという金言が、ここでも生きています。
2四桂・同金と守備駒をどけ、2二金とワン・クッションおいたボヤケ金を打つのが巧妙、ここ1一金と、急いでねらいを実現させようとしても、2二玉で失敗します。
2二金・同玉として、つぎの1一銀が妙手です。(途中図)

(途中図は1一銀まで)
続第5回第5図途中図

1一同玉なら、鬼よりこらい1三飛成の両王手で、ハイ・ソレマデヨということになります。そこで1二玉とかわしますが、1三飛成の軽手で解決します。
第5図。2四桂・同金・2二金・同玉・1一銀・1二玉・1三飛成・同玉・2二角成まで、9手詰。



2二金の一手に、そこはかとなき渋味を感じる作品でした。

(第6図)
続第5回第6図

第6図。短編のオーソリティ・金田秀信氏の作品です。
ヒントに、
――「泣く子と両王手には勝てぬ」。筋は2四玉形にして1四角成の両王手だが、そこへ持ち込むまでが一工夫。――
とありますように、接点の2四に玉を誘いだす手段を考えだすことです。
ここで水平思考をしてみましょう。もし詰方の2四歩がなかったらどうでしょうか?1四角成の発見は容易ですネ。となるとこの歩がジャマ駒なのですが、さてこの処理方法に一工夫必要、1四銀・2四玉で途中1図となります。

(途中1図は2四玉まで)
続第5回第6図途中1図

これでジャマ歩は消えました。しかし接点におびきでましたが、3二角成の開き王手はありません。3五玉で逃れ筋、この逃げを警戒しつつ1四角成を実現させる手段でないと成功しません。
打った銀がこんどはジャマになりました。そこで途中1図で2五銀と、この駒の消しにかかりますが、これに対する玉方の応手に、滋味掬すべきものがあります。
2五同玉なら、1四角成・1六玉・2七金まで。また2五同桂も1四角成・3五玉・2五飛成まで。ここで1三玉と軽くいなす手が巧い受けです。
「ジャマ駒のある形」で、その解法のコツとして、原型を崩さずにジャマ駒を消去させればよいということを学びました。この要領を覚えている読者には、1三玉のかわしに2四銀という手が映ることでしょう。

(途中2図は2四同玉まで)
続第5回第6図途中2図

2二玉なら3二金の一発、2四同玉となって途中2図ですが、これでやっと目的を果して1四角成の両王手が実現します。
なお、途中1図で2五金の手が考えられますが、同桂・3二角成のとき、2二角と飛を取られて水泡に帰します。
第6図。1四銀・2四玉・2五銀・1三玉・2四銀・同玉・1四角成・同玉・2四金まで、9手詰。



両王手に持っていくまでの、ジャマ駒の消去法が面白く、ムダのない配置と共に佳作品と思います。

(第7図)
続第5回第7図

第7図。『将棋世界』昭和44・8月号、植田尚宏氏の作品です。植田氏は愛知県・刈谷市の人で、詰将棋作家としては無鑑査級のベテランです。
形からの判断では、両王手というイメージはわいてきませんが、上部に逃げ道をもっていることだけは確かです。したがって1四への逃げを封じながらの攻めでないと、ダメなことが判ります。

(参考図は2二同玉まで)
続第5回第7図参考図

3五馬が目に映りますが、2四○合・同馬・1二玉・2二飛・同玉(参考図)となり、ここで3三馬の両王手は、1三玉で上部に脱出されます。またこれを嫌う意味で参考図のところ、1四桂と打ってもこんどは1二玉で切れ筋です。ただ合駒の種類によっては詰んでしまいます。例えば歩合ですと、参考図で3三馬・1三玉・1四歩(好手)と打ち、いづれで取っても馬が動いて詰みます。
合駒は桂が最善で、したがって参考図での持駒は、桂・桂ということになります。
ここで考えられることは、もし1二の点がふさがっていれば、前記1四桂の手が生きて攻めが続くことです。そこでふり出しに戻って、1二の”穴ふさぎ”手段は、初手で1二飛と打つ好手よりありません。1二飛・同香・3五馬で途中1図です。

(途中1図は3五馬まで)
続第5回第7図途中1図

ここでの合駒は前記解説のように桂合いと決定します。2四桂合・同馬・2二玉で途中2図となります。

(途中2図は2二玉まで)
続第5回第7図途中2図

この局面で3三馬では、1三玉・2四馬・2二玉・3三馬・1三玉で千日手。先に述べた1四桂という”穴ふさぎ”の手段が筋というもの、何で取ってもこんどこそ3三馬で詰んでしまいます。1四桂に対し、軽く2一玉と肩すかしをくわせますが、ここで詰んだとばかり早合点して3三馬としないで下さい。2五龍と香を抜かれ、その上2二の点に龍が効いてきて見事に失敗します。

(途中3図は1三同香まで)
続第5回第7図途中3図

あくまでも両王手をねらうべく、更に1三桂と追い打ちをかけ同香と取らせるのが、玉の行動半径をせばめる好手で、途中3図となります。ここで実戦家は1三馬の手に引かれますが、以下2五龍・2二香・1一玉で僅かにとどきません。接点に呼びだす2二桂成で”技あり”を取り、3三馬の両王手が実現して見事一本になります。
第7図。1二飛・同香・3五馬・2四桂合・同馬・2二玉・1四桂・2一玉・1三桂・同香・2二桂成・同玉・3三馬・1二玉・2二馬まで、15手詰。



本局は誌上で、両王手の佳作品と賞賛されていますが、たしかに”穴ふさぎ”・”合駒の形”と多彩な手筋を挿入し、更に両王手でフィニッシュにもっていくなど、さすがにベテランらしく格調高い作品と思います。

(第8図)
続第5回第8図

第8図。新潟県・前藤浩氏の作品です。
ガリ勉で頭が大分疲れましたので、最後に軽い問題でオシマイといきましょう。暗算で解ければ卒業です。
この図を見て、3一飛成の手が映るようでは追試験の組、香頭に捨て駒らしいが、何を打つのがよいか位になってほしいものです。持駒を「銀・銀・歩」とせずに「角・銀・歩」として、解図者にセレクトさせるのが作者のねらいでもあります。こんな形のときは、頭の丸い角を使用してしまうのが常識です。1二角・同香と穴を埋め、2二歩・同銀まで一直線で途中図となります。

(途中図は2二同銀まで)
続第5回第8図途中図

ここで3一飛成の両王手が、ピッタリした手です。欲ばって4二飛成の開き王手では、1一玉で失敗します。
第8図。1二角・同香・2二歩・同銀・3一飛成・同玉・3二銀まで、7手詰。



画廊の片隅に飾られている、軽いデッサン風の小品でした。
                                         ――以下次号――
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

hirotsumeshogi

Author:hirotsumeshogi
少ない知識をフル活用させています。
当ブログはリンクフリーです。
相互リンクは詰将棋関係のものであれば原則受けさせて頂きます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR