初心者のための詰将棋入門③ どんとこい‼合駒2(近代将棋昭和57年3月号)

今回は、近代将棋昭和57年3月号に掲載された編集部「初心者のための詰将棋入門③ どんとこい‼合駒2」を取り上げたいと思います。
(第1図)
ど2第1図

手筋の捨駒
詰将棋には、手筋の捨駒いわゆる「詰手筋」というのがあることはご存知と思います。最も有名なものは「金頭桂」(第1図)でしょうか。詰将棋に強くなるためには、この詰手筋を多く知っている必要があります。多く知っていればいるほど詰将棋に強いと言えます。
ではどうすれば「詰手筋」を覚えられるかという質問は当然でてまいります。その答えは――3手詰、5手詰、7手詰が沢山のっている、プロ棋士の書いた「詰将棋」の単行本を買って読んでみることだと思います。解く必要はありません。「手筋物」詰将棋を百題見て、その詰手筋を記憶すれば、それだけで、詰将棋に相当強くなれると信じます。

グループ思考法
今回は、前回(2月号)で少し述べた「グループ思考法」で詰将棋の合駒問題を解いてゆきたいと思います。
「グループ思考法」とは、七種類の合駒を一つ一つ調べないで、
1 七種類の駒を二つくらいのグループに分ける。
2 二つのグループのうち一つを捨てる。
3 残ったグループから正しい合駒を一つ見つけ出す、方法です。
グループの分け方は色々あります。また同じ問題を解く時にも人によって分け方が違ってくることもあります。ごく普通には――
①<角桂歩>と<それ以外の駒>
これは、打歩詰問題に多く登場します。
②<角桂>と<それ以外>
頭のまるい駒とそうでない駒です。
③<角金銀>と<それ以外>
斜め上に効く駒と効かない駒です。
④<角銀>と<それ以外の駒>
斜め下に効く駒と効かない駒です。
⑤<飛金>と<それ以外の駒>
縦と横に同時に効く駒と、そうでない駒。
⑥<飛香>と<それ以外の駒>
一見以上先に効く駒と、効かない駒。
⑦<飛角金銀>と<それ以外の駒>
これは特殊なグループ分けです。入玉詰将棋で九段目の合駒に<桂香歩>は使えず、この<飛角金銀>しかありません。

(第2図は4三龍まで)
ど2第2図

よく現われる分け方を以上に示しました。いうまでもなく、「グループ思考法」を使わず合駒はこれと決まる場合もあります。たとえば第2図で3三に合駒をする時、
 「2五」に効く駒は桂だけ
 「1一」に効く駒は角だけ
 「3一」に効く駒は飛だけ
です。このような場合は「グループ思考法」は不要です。

応用例
先に、手筋の捨駒=「詰手筋」があると言いました。合駒にも、手筋の合駒というのがあります。詰将棋によく登場する合駒というほどの意味です。今回は、各駒についてその駒が合駒に使われる典型的な問題を「グループ思考法」で解いてゆきたいと思います。

(第3図は詰将棋イ)
ど2第3図

飛合の例
第3図は2二飛成にもし歩合なら1六桂、1四玉、2六桂まで。合駒は2六地点に効く駒=<飛・香>のどちらかです。香合は、2六桂を同香と取れますが、次2五金までで詰み。正しい合駒は飛合とわかれば以下の詰手順は「詰手筋」の連続です。
(正解詰手順) 2二飛成、2三飛合、1六桂、1四玉、2六桂、同飛、2五金、同飛、2六桂、同飛、3六角、同飛、2四龍まで13手詰。

(第4図は詰将棋ロ)
ど2第4図

角合の例
第4図で4四馬に対し歩合ですと3四桂、1二玉、1一龍、同玉、3三馬、2一玉、2二馬までの駒余り9手詰。正しい合駒は1一に効く駒=角です。
(正解詰手順) 4四馬、3三角合、3四桂、1二玉、1一龍、同角、同馬、同玉、3三角、2一玉、2二角成まで11手詰。この例では、角合によって玉方は二手長く逃げのびたわけです。

(第5図は詰将棋ハ)
ど2第5図

金合の例
第5図。3三龍に対し、たとえば2三香合ですと2二龍まで。合駒は2二に効く駒=<飛・金>のどちらかです。ところが飛合は同龍と取って3三飛打までの詰です。正しい合駒は金です。
(正解詰手順) 3三龍、2三金合、同龍、同玉、3二金打、1三玉、1二角成、同玉、2二金寄、1三玉、2三金まで11手詰。

(第6図は詰将棋ニ)
ど2第6図

銀合の例
第6図で2一飛成とします。この例では七種類の合駒のうち二種類は不可能です。2四歩があるので歩合はできません。また角は二枚とも使われていますので角合もありません。(2一飛成に2二角引とする移動合は可能ですが、それは2四馬までの一手詰みです)1三玉の逃げは2四銀以下詰みです。合駒の一手ですが、五種類のうちたとえば2二香合ですと以下、3四馬、1三玉、1一龍まで。この1一龍とさせない駒は、斜め下に効く駒=<角・銀>です。角は品切れですから銀合となります。
(正解詰手順) 2一飛成、2二銀合、3四馬、1三玉、1二馬、同香、1四歩、2三玉、1五桂まで9手詰。

(第7図は詰将棋ホ)
ど2第7図

桂合の例
第7図で2一飛成に1三玉は3一角まで。角は品切れなので合駒は六種類です。2二歩合ですと3二角、1三玉、1四角成までの詰み。この1四角成を防ぐ合駒はなんでしょう。桂合ですね。
(正解詰手順) 2一飛成、2二桂合、3二角、1三玉、1四角成、同桂、2四銀、同角、2五桂まで9手詰。

(第8図は詰将棋へ)
ど2第8図

香合の例
第8図で1四香に対し、歩合は二歩禁でできません。六種類のうち横に効く<飛・金>は同銀成、同桂、2二飛(金)まで。斜め上に効く駒<角・金・銀>は同香成、同桂、2三角(金・銀)まで。残った駒は、桂と香です。桂合は同香成、同桂、2四桂までの詰みです。正しい合駒は香です。
(正解詰手順) 1四香、1三香合、同香合、同桂、2一銀、同玉、2三香、1二玉、2二香成まで9手詰。玉方1五歩の配置は、1三歩合とさせないためだったわけです。

(第9図は詰将棋ト)
ど2第9図

歩合の例
第9図。3一飛成に2一歩合が正しい合駒です。飛は品切れですから合駒は六種類です。まず頭のまるい<角・桂>は2二龍まで。また<金・銀>は同龍、同玉、2二金(銀)です。香合なら、同龍、同玉、3三桂、3一玉、3二香まで。歩合で今の筋なら3二歩が打歩詰になるわけです。
(正解詰手順) 3一飛成、2一歩合、2二龍、同歩、1二歩、2一玉、3三桂、3一玉、4一馬まで9手詰です。

(例題)
例題
<飛・金・銀・香>と<角・桂・歩>
正しい合駒()

練習問題
最後に「グループ思考法」の練習問題として、7題の詰将棋を出題いたします。例題の書き方を参考に、読者の皆様もぜひ鉛筆で記入してみていただきたいと思います。正しい合駒を発見されれば正解です。詰手順全部を考えなくても結構です。正しい合駒は161頁です。念のため、詰手順も示してあります。
2回にわたってのべたグループ思考法で、読者の皆さんが、「合駒よ! どんとこい」と思っていただければ幸いです。

(練習問題1)
練習問題1
< ・ ・ ・ >と< ・ ・ >
正しい合駒( )

(練習問題2)
練習問題2
< ・ ・ ・ >と< ・ ・ >
正しい合駒( )


(練習問題3)
練習問題3
< ・ ・ ・ >と< ・ ・ >
正しい合駒( )

(練習問題4)
練習問題4
< ・ ・ ・ >と< ・ ・ >
正しい合駒( )

(練習問題5)
練習問題5
< ・ ・ ・ >と< ・ ・ >
正しい合駒( )

(練習問題6)
練習問題6
< ・ ・ ・ >と< ・ ・ >
正しい合駒( )

(練習問題7)
練習問題7
< ・ ・ ・ >と< ・ ・ >
正しい合駒( )

161頁
どんとこい合駒「練習問題」解答
練習問題1
<角・金・銀>と<飛・桂・香・歩> 正しい合駒は
(詰手順) 2三龍、2二角合、3二金、1一玉、2二金、同銀、1二歩、2一玉、4三角、3一玉、3二角成まで11手詰。
練習問題2
<角・桂>と<それ以外> 正しい合駒は
(詰手順) 6一龍、2一桂合、同龍、同玉、1二歩成、同玉、2四桂、1一玉、1三龍、2一玉、1二龍、3一玉、3二龍まで13手詰。
練習問題3
<歩>と<それ以外> 正しい合駒は
(詰手順) 3一龍、2一歩合、同龍、同玉、1二歩、2二玉、3二角成まで7手詰。
練習問題4
<飛・金・銀>と<桂・香・歩> 正しい合駒は
(詰手順) 4九飛、3九銀合、1八馬、3八玉、4八金、同銀成、2七馬まで7手詰。
練習問題5
<飛>と<それ以外> 正しい合駒は
(詰手順) 4二龍、3二飛合、3一銀、1一玉、1二銀、同飛、同龍、同玉、3二飛、1一玉、2二飛成まで11手詰。
練習問題6
<飛・金>と<それ以外> 正しい合駒は
(詰手順) 3二龍、2二金合、2一龍、同金、1三歩、2二玉、3四桂、3一玉、4二角成まで9手詰。
練習問題7
<香>と<それ以外> 正しい合駒は
(詰手順) 3三飛成、2三香成、2二銀、1四玉、2四龍、同玉、2五金まで7手詰。(6手目同角も2五金まで。同飛又は同香は1三金まで)
例題 1五香、1四歩合、同香、同玉、1五歩、1三玉、1四歩、同玉、2五金、1三玉、1四歩、同銀、2四金まで13手詰。
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僕は合駒大好き人間なのでこういう記事は嬉しいです。
グループ思考法という言葉を初めて聞きましたが(単なる勉強不足)これは積極的合駒のときにのみ使えるんですね。

かめぞうさんへ

はじめまして、コメントありがとうございます。
推理小説と合駒が好きな若手作家の方ですね。ブログ、拝見しています。

グループ思考法についてですが、私もこの記事を読んで初めて知りました。
あまり知られていない解き方なのかもしれません。
コメントの中にある「積極的合駒」・「消極的合駒」が分からなかったので調べてしまいました(こちらこそ勉強不足)。

「○○とさせない」というのは、積極的合駒の意味合いでしょうか。
それに対し、ハの「ところが~」の一文と、への「六種類の~2三角(金・銀)まで」、トの「また~なるわけです」が消極的合駒の意味合いかな、と思います。
違っていたらすみません。

ブログ拝見ありがとうございます。
積極的合駒とかいう言葉は鈴川君が考え出したものです

積極的合駒の解釈は合ってますが、消極的合駒の意味はちょっと説明しにくいのですが、取られたときにすぐ詰まない合駒といことです。

かめぞうさんへ

そうでしたか>消極的合駒の解釈

ゆっくり飲み込んでいきたいと思います。
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