詰将棋の能率的勉強法(10)(近代将棋昭和44年11月号)②

村山隆治氏の連載「詰将棋の能率的勉強法」、第10回の後半部分です。
(第5図)
第10回第5図

第5図。趣向詰を最も得意とする優雅な作風の異色作家、北川邦男氏が、『詰将棋パラダイス』(昭和44年3月号)に掲載した作品です。
持駒が角か歩以外なら、1四歩、2三玉、2四xまでか、3五桂までで詰むことがわかります。xの持駒は何でもよいわけです。
このヒントから、持駒の角を他の質の駒に変えることに気付きます。しかしいきなり4六角では、すんなり2三玉で以下1四銀としても、また2四銀としても、3四玉で切れてしまいます。この逃げを防止する準備工作が必要ですが、それには1二と、同金として、いつでも1二馬で金が入手できる形を、つくっておくことが大切です。こうしておけば、4六角で2三玉なら以下、1四銀、3四玉、1二馬、4四玉、5五金まで、キレイに詰上ります。これが本手順のように思われますがこれこそ作者の計略した変化順の落とし穴、不正解になります。
4六角に対しては、3五に中合いする手段が残されています。もし前に効く駒(例えば歩)ですと、同角、2三玉、2四歩、1三玉、1四歩までですので、3五桂合よりありません。これを同角と取り2三玉で、途中図です。

(途中図は2三玉まで)
第10回第5図途中図

途中図になりますと、3五角が”ジャマ駒の将来型”になりました。これがなければ3五桂で詰みます。そこで1三角成と直接に捨てる手は、勉強済みですネ。原型に戻り、持駒も角から桂に変換されましたので詰上ります。
第5図。1二と、同金、4六角3五桂合、同角、2三玉、1三角成、同玉、1四歩、2三玉、3五桂まで、11手詰。
質の交換を要求する主眼手を、いきなり持ってこずに、1二と、同金とする前奏曲を投入したところに、この作品の持つ高い格調とキメこまかい味があります。この辺が詰将棋を創作するときのコツになります。
B 量の変換形
“量の変換”というのは、詰方に与えられた駒不足という障害に対して、それぞれの駒の機能を活用させ、重複を避け効率化を計って、不足分を補充する手段をいったものなのです。
物の価値とは働きのことであって、その物が何らかの存在理由をもって、初めて価値が現われます。将棋では、存在理由を失った駒のことを”遊び駒”と叫んで嫌っています。
量の問題も機能の効率化ということですから、遊び駒を残さない攻め手順が肝心ということになります。



(第6図)
第10回第6図

第6図。初級者に詰将棋というものを理解させるために、提出する絶好の問題です。詰将棋入門の第一歩ともいうべき例題の一つでもあります。

(参考図)
第10回第6図参考図

平凡な並べ王手では、参考図のように銀が三枚必要ですネ。ところが提出された問題は銀が二枚なのです。そこで”量の不足は駒の効率化”でという適応手段が、想定される訳ですが、その前に参考図を見て下さい。
3二銀、2二玉、2三銀打、1一玉、1二銀打まで、の詰上り図ですが、持駒は銀三枚が必要です。この図を見ていえることは、詰方の1二銀と2三銀が玉を詰める役割りを果しているだけで、3二銀および4三との存在価値が失われているということです。そこで更に考えられることは、この二つの遊び駒を残さずに、機能の効率的活用を計れば銀三枚が二枚になっても不可能ではないということです。
第6図。3二銀、2二玉、2三銀打、1一玉、2一銀成、同玉、3二と、1一玉、2二とまで、9手詰。(詰上り図)

(詰上り図)
第10回第6図詰上り図

参考図と詰上り図とを、よく比較して下さい。2一銀成捨てが、4三とを活用するための効率的使用法であり、最小限で最大限の効果を生む詰将棋経済学の第一歩なのです。



(第7図)
第10回第7図

第7図。金三枚あれば並べ詰みです。すなわち、2二金、1三玉、1二金打、2四玉、2五金まで、参考図となりますが、いかにも攻め駒がダブついて、非効率的使用法なのが歴然としていますネ。第一これでは、4二とが全然不必要なのです。

(参考図は2五金まで)
第10回第7図参考図

ムダ、ムリを排し、金三枚でなく二枚で詰め上げるところに、詰将棋の面白さと魅力があるわけです。
第7図。1一金、1三玉、2二銀不成、同玉、1二金打まで、5手詰。
3一銀の活用を考えた1一金が軽妙で、駒の効率を悪くする2二金とよく比較して下さい。2二銀不成に対して、2四玉、2五金まででも正解ですが、取れる場合には取る手順が、正しい応手となります。



(第8図)
第10回第8図

第8図。駒不足という量の問題には、駒の効率を考えた運びによって、2段活用を企図し、遊び駒を残さない方法を説明しました。
平凡な並べ王手ですと、3一銀、1二玉、2二金、1三玉、2五桂、2四玉で参考図

(参考図は2四玉まで)
第10回第8図参考図

この図に至る途中の1三玉ですが、この形にするために金と銀を使用しています。大変に効率の悪い駒の使用法に、気づかれたことでしょう。いきなり初手で1三金と打てば、一枚の犠牲で同じ目的に達することができる筈です。つまり1二玉と寄り道をさせると、ムダなつき合いを強いられ、損をすることになります。
野球で外野手が、抜かれた球をフェンスのクッションを利用して巧みに処理し、ランナーの進塁を阻む場面がよくあります。はね返ってくるという球の運動を計ったところに、プレイの機敏さがうかがわれます。
はね返ってくるボールの動きのように、2二玉にも動きがあります。1二玉と寄り道をさせないように、1三金と捨てる手段がそれを避けた運びであり、銀一枚に経済が計れるのです。要は駒の効率と同時に、相対的な玉の動きをも考えて頂きたいものです。
第8図。1三金、同玉、2五桂、2四玉、1四金、同香、1三銀まで、7手詰。





第8図は、4手目2二玉として9手詰が正しい解答となりそうです。
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