詰将棋の能率的勉強法(3)(近代将棋昭和44年4月号)①

村山隆治氏の連載「詰将棋の能率的勉強法」、第3回の前半部分です。
守備駒のある形(その2)とタイトルの下にあります。
“どける”形態の成長
詰将棋には玉の状態にそれぞれの形態があり、詰方にはそれに適応した手段のあることは、すでに述べました。
ところが形態とは、一つの姿であって固定したものです。この固定されたいくつかの姿が複合されたときに、複雑な動作を表現するのです。それを学びとることによって、詰将棋の面白さは、いくつかの形態が有機的に結びついたときに、構成されるものであるということを、よく認識してほしいと思います。

(第1図)
第3回第1図

(第2図)
第3回第2図

(第3図)
第3回第3図

第1図・第2図および第3図を見て、詰将棋が次第に複雑化していく経路を、形態の発展と動作(詰手筋)の組合わせといった面から、ながめてみましょう。
最も形の発展した第3図は、3二金・同金(第2図になります)・4二金・同金(第1図になります)・4三桂・同金・3二金までの7手詰で詰上ります。



第1図での4三桂は、すでに学習した詰棋忍法金頭の桂捨てという手筋、”どける”手段でもあり、そして最も単純で平易でもあります。これが第2図となり、やがて第3図と発展したときに、第1図の原型がイメージに画かれるでしょうか。しかも桂すての手段は第1図の形になって、はじめて成立するという点も、”形と筋”を知る上に重要なことです。
守備力の差はあっても、それを崩すに必要な持駒が必ず付加されていますので、巧くだまされないでほしいと思います。逆に第1図のような局面で、玉方が金を打って詰めをさけるためには、2二金と打つのが最も守備力の強い受けになるわけです。これは実戦に役立つ受けの手筋なので、覚えておくと便利です。

(第4図)
第3回第4図

第4図。二上八段の作品で、第1図の”金頭の桂捨て”手段が更に発展したものです。すでに第1図から第3図まで、よく理解された皆さんには恰好な練習問題のはずです。
いきなり3一飛成では、同玉と取られてねらいの2三桂も2一玉と寄られて失敗します。
なお3一飛成に1二玉と逃げたらどうでしょう、これは詰んでしまいますから考えて下さい。3一飛成の前に玉の形を崩しておく一手が必要なのです。
その手は1二銀捨てで、同香と取らして1一の点をあけておくのが巧いのです。もし同香と取らずに同玉なら、1三金・2一玉・2二飛成・同銀・3二金まで、また1二同金なら3一金までとなります。したがって1二銀に対しては同香と取る一手です。(参考図)

(参考図は1二同香まで)
第3回第4図参考図

(基本図)
第3回第4図基本図

ここで3一飛成が成立し、見事に基本図が現出したことになります。そして例の金頭の桂になるわけです。
第4図。1二銀・同香・3一飛成・同玉・2三桂・同金・3二金まで7手詰。



初手の1二銀捨てを同香と取らしておくのは、5手目の2三桂に対し、同金と取らずに2一玉と逃げる変化に、1一金と打つためのです。
③ 守備駒を、取り払う方法(清算手段)
“取り払う”とは、詰方の対象である守備駒を相殺して清算し、つぎの手筋のための打開策をたてる積極的手段です。これは守備駒のある問題で、回避および排除の両手段が、効果のない場合に用いる非常手段でもあるわけです。
清算とは、敵と味方の駒で行う相殺行為ですから、無計画にこの手段を用いますと折角の玉への掛り駒を失い、また玉に脱出される恐れが多分にあります。
要は敵玉の守備駒を適確に奪い、詰方の有力な拠点を玉の押さえに残すことでなければいけません。

(第5図)
第3回第5図

第5図。5筋からの逃げを牽制している点から考えても、詰方の4四角は主駒であることがわかります。
詰将棋で、敵駒と清算する手段は手筋として余りにも俗手であり、とかく筋が悪いとのことで敬遠されがちなものです。それが返って盲点になりやすく、筋のよい上手な人はついこのような手を見のがすことになります。むしろ筋の悪い初心者の人が、簡単に発見することが多いようです。
図でまず俗に2一飛とする手が清算の手段です。もし4二玉と逃げるなら、5四桂・5一玉・6二角成までなので、玉方はこの2一飛打に対しては同銀と取るよりありません。そこで詰方も同銀成りと清算しますが、以下同玉となり2二銀・1二玉・2四桂・2三玉・3三角成まで9手詰で詰上ります。



(第6図)
第3回第6図

第6図。よみうり詰将棋・塚田正夫九段の出題図です。玉方3二金の守備駒に対する処置法が難かしいようです。4二金・同金・同馬・同玉と清算してしまうのが正解です。ほかに3一金、あるいは4二銀の手もありますが、いづれも2一玉と寄られてとどきません。
さて、きれいに清算して以下、4三金・3一玉で参考図となります。

(参考図は3一玉まで)
第3回第6図参考図

参考図では、3二銀がいかにも実戦的ですが、かえって4三金のさばきを悪くし、飛が重くなって詰まなくなりますから気をつけて下さい。3二銀・2二玉・3三金・1三玉・3四金(開き王手)・1四玉・2三飛成・1五玉の不詰手順が示す通りです。
この場合、効率の悪い銀の使用法と思われる4二銀が巧妙な手筋となります。なぜかは2二玉のときに3二金と軽く捨てる手が生じて、飛が活用されるからです。この味のある手をよく玩味して下さい。
第6図。4二金・同金・同馬・同玉・4三金・3一玉・4二銀・2一玉・3二金・同玉・3三飛成・2一玉・3一龍まで、13手詰。



(第7図)
第3回第7図

第7図。同じ”取り払う”手段でもチョッと風変わりな方法を紹介しましょう。
図面、手掛りを失わないで玉方の守備金を清算する手段を考える必要があります。こんな形はよく実戦にでますので、寄せ手順を覚えておくと棋力の上達に役立ちます。
まづ5二金と打って、3一玉に4二金とまたも打込むのが好い手です。(参考図)

(参考図は4二金打まで)
第3回第7図参考図

この4二金打を「合わせの手筋」と称します。以下は4二同金・同金寄(5二金が動く)・2二玉・3二金・1二玉・2二金打までとなります。手掛りを失わないための、5二金打という厚い攻めのあることも承知しておいて下さい。

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