詰将棋の能率的勉強法(2)(近代将棋昭和44年3月号)①

村山隆治氏の連載「詰将棋の能率的勉強法」、第2回の前半部分です。
守備駒のある形(その1)とタイトルの下にあります。
秘術の公開
詰将棋を解く秘術公開といっても、「西遊記」における孫悟空のように、”金と雲”に乗って一瀉千里と上達したら、こんなに巧い話はありません。こと詰将棋に関しては、そんな甘い雲は浮いておりません。といってただ手当たり次第のやみくもに飛びついても、労多くして功少ない結果になるばかりです。要は”形と筋”の基礎(原理・原則)――如意棒――を、組織的・系統的に習得し、少しでも能率的にこの”如意棒”を自由に振り廻わすことができるようにしてあげるのが、この講座です。
詰将棋とは、詰方に困難を与える障害が置かれてあって、詰方がその障害を解明するパズルともいえます。そこでこの障害の形態を分析し明らかにして、その適応方法を解説していくわけですが、詰将棋の障害基礎形態のうち、最も初歩的な「守備駒のある形」から勉強しましょう。

1 守備駒のある形
A 単数形
(第1図)
第2回第1図

第1図は、守備駒が1個だけ存在する場合の、玉方の味方である障害形態の一つです。したがってこれを単数形と称します。この形に適応した解決方法を説明しましょう。
玉の味方である守備駒2二金が、玉頭の金打ちを妨害していますので、詰方にとってはジャマな存在となります。この処理方法が基本手筋です。
 ①回避(さける)
 ②排除(どける)
 ③清算(取り払う)
この3手段が、守備駒に対する三つのオマジナイであって、これにより問題を判断し解決を見通すことができます。
これは丁度鉄道建設工事に似ています。仮りに大きな山に突き当ったとします。工事者にとってこの山はジャマなはずですが、この場合にどんな方法を採用するでしょうか。
1、山をさけ、遠回わりして工事(回避)
2、山にトンネルを掘り、土をどけて工事(排除)
3、山に爆薬をしかけて、平らにくずし土をとりはらって工事(清算)
このうち、いづれの方法を採用するかは、山の状態と地形・地質を研究し、工事者の経験によって実施されるわけです。
さて、第1図・第2図・第3図、共に2二金が守備力を持った、「守備駒のある形」ですが、見た通り形と条件が違いますので、その適応方法も異なってきます。
第1図 4一飛・同玉・4二金まで、3手詰。①のジャマ駒を避けて、からめ手から攻めた例(回避)。



(第2図)
第2回第2図

第2図 2三桂・同金・3二金まで、3手詰。②のジャマ駒を、捨て駒によってどけた例(排除)。これぞ詰棋忍法”金頭の桂捨て”という有名な基本手筋なので、よく覚えておいて下さい。



(第3図)
第2回第3図

第3図 3二銀・同金・同と・同玉・3三金・2一玉・2二金打まで、7手詰。③のジャマ駒を取り払う手段で解決する例(清算)。



この方法は、詰将棋的感覚からながめますと極めてセンスの悪い手段(俗手)なのですが近年この種の感覚の盲点をとりいれた詰将棋が、創作されています。塚田九段や二上八段などが、よくこのような作品を発表しています。以上三つのオマジナイを唱えて次に進みます。
① 守備駒を避ける方法(回避手段)
“避ける”とは、詰めを妨害している玉方の守備駒に対し、直接行動を起こして移動させることも、また取り払うこともできない場合に適応する、間接的な手段です。

(第4図)
第2回第4図

第4図 玉方の3二金が守備駒ですが、この金に対しどのような行動をとったらよいのか、三つのオマジナイで見究わめることが知的動作といえます。説明の順序として、迷路のまぎれをとりあげてみます。
3二金に直接行動を起こす4二金打ちは、同金なら同龍までと巧いですが、軽く2二玉と逃げられて以下、3二金・1三玉で失敗します。といって3二龍と守備金をはがしてみても、金二枚では2一桂が効いていますのでこれもダメです。そこで残された方法は”避ける”よりないことになります。
ここでもう一度図面をよく観察してみましょう。3二金の守備範囲の限界と、詰方の5三歩配置から、からめ手の4一馬攻めが思いつけばしめたものです。(参考A図)

(参考A図は4一馬まで)
第2回第4図参考A図

もう一つの考え方として、玉を2二から1三へと逃がしては絶望の形になるので、詰方としてはとに角そうさせない手をまづ試行して見るのが、案外正着の発見に連がるものです。4一馬に対して2二玉なら以下、3二龍(馬でいくとダメ)・1三玉・2三龍までとなりますが、これは金が二枚も余ってしまいますので、正しい手順ではないことがわかります。4一馬に対し同玉と取る手が残されています。(参考B図)

(参考B図は4一玉まで)
第2回第4図参考B図

この局面になったら、ピッタリ5一龍で詰め上げて下さい。合駒をさせてなどと6一龍と欲ばれば、4二玉でビックリ仰天です。まして5二龍や5二歩成など論外です。
第4図 4一馬・同玉・5一龍・同玉・5二金まで、5手詰。



守備金を避けての4一馬の痛打と、十字効きを活用する5一龍の鬼手との組み合わせが要点でした。
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