塚田賞作品の魅力(24)(近代将棋昭和54年6月号)①

森田銀杏氏の連載「塚田賞作品の魅力」、第24回も2つに分けて掲載します。
今回は第42期の受賞作を掲載します。
"新進、岩城氏が短篇で連続受賞”

第42期塚田賞受賞作家
短篇賞 岩城博哉
中篇賞 山本 進
長篇賞 該当なし
昭和48年7~12月号


この年の9月に、黒川一郎氏の「将棋浪曼集」が出版されました。”浪曼派”と呼ばれる趣向詰の新境地を開拓された”詰棋詩人”の名作百番のほか、同氏の流麗な筆による文芸篇も収められており、詰将棋の本としては空前の、文字通り”超豪華版”でした。
奇しくも同じ月、関西では壮棋会員の作品集「あさぎり」が刊行されました。これは、昭和31年から続いている関西詰将棋ファン・グループを母体に、田宮克哉氏の音頭で47年に結成された同会の発足記念出版です。壮棋会は、ともすれば沈滞がちになるベテラン作家連に絶えず鞭を入れようという趣意で発足し、隔月に開かれる例会は、課題作を持ちよる”創棋会”として、またワイワイガヤガヤと楽しむ”騒棋会”として現在も続いています。今年は、現在の代表的作家20人による第二作品集「凌雲」の編纂を行うなど、その活発な活動ぶりは、最近の詰棋界をリードする集団として瞠目されています。
閑話休題。この期の塚田賞候補作品はやや不作で、長篇賞は、山中龍雄氏の大作(12月号、ダブル馬鋸の165手詰)に余詰が出て、ついに”該当なし”となりました。


短篇賞 岩城博哉作


第42期岩城氏作

岩城博哉作(48年11月号)
2二銀成 1三玉 1二飛 同香 同馬 1四玉 1六香 1五合 2三馬まで9手詰
塚田九段「短篇は、寸分のスキもない作図技術の北原義治作(8月号、15手詰)と本作の争いとなり、かなり迷わされたが、岩城作の初手および3手目の玄人っぽさを買ってこれに決定」
初手、2二馬や2四銀成などの紛れは底が浅く、2二銀成はこの一手というところですが、何となく指しにくい感じの手。続いて香頭に打つ1二飛も、なんとなく妙な感じの手ですが、こうして奪った香で1六香と蓋をすればおしまい。ただ、2手目に1四玉の変化のときにすでに1六飛と蓋をして詰ませる筋が出てしまっているのは弱いところです。
紛れも変化も殆どないので考え物としての面白さは少ないのですが、2二銀成から1二飛という詰み形が珍らしく、玄人うけするということが受賞の理由のようです。
作者「ああ、ビックリ。入選でもしたら結構と思って投稿した作品が塚田賞とは!恐らく、短篇では表現しにくい新鮮さがあるということ、ただそれだけで受賞できたのだと思いますが、今もって、これより優れた作品が数多くあったと思います」


中篇賞 山本 進作


第42期山本氏作

山本 進作(48年12月号)
2四桂 同歩 4五角 3四歩合 同角 1三玉 1二金 1四玉 1五歩 同玉
2六銀 1四玉 2三角成 同玉 2二馬 3四玉 4四金まで17手詰
塚田九段「中篇では有力な作品が多く、選定に手間どったが、本作の簡潔な構図と角を重ねて打つところと、それに対する応接の巧さを評価してこれに決めた」
初手2四桂は誰もが試みる打診の手。1三玉には2二馬、同玉、3一角(2二馬に1四玉なら2三馬、同玉、4一角)の筋があります。続く4五角打とそれに対する3四歩の中合いが本局の主眼。中合いをせずに1三玉なら2四銀、同玉、3四馬……となる訳です。3四角と中合いの歩を取って1三玉となったところで2四銀や2三金打でなく、1二金と尻から打つのが、ちょっとした味。これによって2三角成捨ての軽手が生じます。2二馬から4四金までの詰上りは多少あっけない感じですが、このようにアッサリ仕上げたのが主題の印象をよくしたともいえます。
ところで作者は主題である3手目の4五角を”限定打”といわれましたが、これは5六~8九までどこでもよいので、いわゆる”以遠打”というべきです。ともあれ3四歩の捨合いを含む軽快な手順を簡潔な形で実現したあたりが買われたのでしょう。
作者「本作は捨駒も乏しいし、薄味で底が浅く、今回の場合、至極幸運であったとしかいいようがありません。作り方によっては、もっといろいろな方向に持っていけそうですが、手短かに、少数の駒配りでまとめたのがよかったのかもしれません」
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