塚田賞作品の魅力(18)(近代将棋昭和53年12月号)③

森田銀杏氏の連載「塚田賞作品の魅力」、第18回の続きです。
今回は第31期の受賞作の内、長篇賞・特技賞作を掲載します。
長篇賞 八巻広丞作


第31期八巻氏作

八巻広丞作(43年2月号)
2三歩 同玉 3二角 1二玉 2一角成 同玉 3一飛 1二玉 1三歩 同玉
1一飛成 1二金合 1五香 ㋑1四飛合

途中㋑図(14手目1四飛合まで)
第31期八巻氏作1

2五桂 同銀 1二龍 同玉 1四香 1三歩合 2二金 同玉 3二飛 2三玉
1三香成 同玉 3一馬 2三玉 2二飛成 3四玉 3二龍 3三金合 同龍 同玉
3五香 ㋺3四角合

途中㋺図(36手目3四角合まで)
第31期八巻氏作2

4三銀成 同玉 5四金 3三玉 2二銀 2三玉 1三銀成 3三玉 4三金 同玉
5三馬 3二玉 3四香 同銀 3三歩 2一玉 4三角 1一玉 2二成銀 同玉
3一馬 3三玉 3二角成 4四玉 5三馬 4五玉 5四馬右まで63手詰
塚田九段「一見して指棋力の旺盛な方と予想した通り、五段の実力とのこと。全体にゆるみのない手がこれだけ持続するとは、実戦型においては奇蹟的ですらある」
序盤いろいろな手が目につきますが、角と飛で桂香をばらし、1二金合、1四飛合をさせたあたりで、ようやく筋に入った感じがします。この1四合(途中㋑図)は、3一馬から1二龍の筋を妨げる強防です。この金と飛を奪って、今度は三筋へ移り、3三金合と3四合(途中㋺図)。これは2二銀、5四玉、5三馬、5五玉、5六歩の早詰に対するものです。続いて4三銀成から5四金と打ちかえて、再び4三金と捨てるのが粋な手順。収束も4三角打から2二成銀、3一馬と軽快に捌いて、5五の都で見事に詰上ります。
ともかく、そんなに駒数の多くない実戦型で、繰返し手順も含まないで60手をこえるというのは、まさに驚異です。取り立てていうべき主眼手はありませんが、5回の合駒をはじめとする変化・紛れと、金銀の打替えから珍しい捌きの収束まで、粘りのある好手順が続き、出色の実戦型力作といえましょう。
作者「本作の原作は十数年前に出来あがっていたもので、最近になって、これに多少手を加えたに過ぎない。しかし自画自讃すれば、形・紛れ・捌き・手順など、いずれも不満のないところで、自作品中でも自信作の一つである」


特技賞 田中鵬看作「恋路」


第31期田中氏作

田中鵬看作(43年4月号)
8六金 同玉 7七金 9六玉 9五馬 同玉 9四と 9六玉 9五と 同玉
9四飛 同玉 9三桂成 9五玉 8五と 同玉 Ⓐ7六銀上

途中Ⓐ図(17手目7六銀上まで)
第31期田中氏作1

9五玉 9四成桂 同玉 8四と 同玉 7五銀右 9四玉 8五銀 同玉 8六金 9四玉
9三と 同玉 8三と 同玉 7四銀右 9三玉 8四銀 同玉 8五金 9三玉
8三銀成 同玉 7三と 同玉 6三歩成 9三玉 7三と 同玉 6四と上 8三玉
7四と 7二玉 6三と右 6一玉 5一桂成 同玉 4一歩成 6一玉 5一と 同玉
4二と 同玉 3二香成 5一玉 4二成香 同玉 Ⓑ2三香成

途中Ⓑ図(65手目2三香成まで)
第31期田中氏作2

4一玉 3二成香 同玉 3三歩成 3一玉 2一香成 同玉 1一香成 同玉
1二歩成 同玉 2四角 2一玉 1二飛成 同玉 1三角成 同玉 2四と 同玉
3四と上 1四玉 2五銀 1五玉 2六金 同玉 2七金 1五玉 1六金まで93手詰
塚田九段「何といっても”全駒使用無防備玉”という記録的な面を無視するわけにはいかない。駒配置もすっきりしており、作者の技術的天分は大したものだ」
本作は、本誌創刊十八周年記念”珍品詰将棋”と題して4月号に特別出題されたもの。その直前に、毎日新聞・サンケイ新聞・中国新聞・週刊文春に紹介され、テレビの”11PM”にも作者自ら登場したという、史上初の”全駒使用無防備玉”の第一作「ひとり旅」に続く、第二作目です。「恋路」という題が象徴するように、いずれも一人で寂しくさまよう作者の片想いの心境を、玉一枚に託して表現したということです。
前半は8・9筋のと金と6筋の銀を捌きながら6八金をすり上げていく軽趣向。後半は1~4筋の香歩を捌いて飛角を世に出し、最後は小駒による詰上りです。全体に小駒煙のような味ですが、駒捨ての順序や玉の逃げ場所が全て限定してあるという苦心の跡も見られます。
作者「何年ぶりかにヒョッコリ出て、すぐ受賞とは気がひけます。しかしこの作は不完全でない限り、受賞の自信は絶対的なものでした。何しろ詰将棋史上、私の一号局(前述)以外例のない珍品なのですから……。前半の軽趣向も面白いと思いますが、小駒の自陣成駒、銀桂香の成駒も置かず、持駒なしで、大駒も前半、後半と二枚づつ捨てるようにバランスを取って我ながらうまく創作できたものと満足感にひたっています」



八巻氏作、62手目は4五玉となっていますが、解説のように5五玉もありますね。


次回の更新は「詰将棋パラダイス ちょっとした感想」の予定です。
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