塚田賞作品の魅力(9)(近代将棋昭和53年3月号)②

森田銀杏氏の連載「塚田賞作品の魅力」、第9回の続きです。
今回は田中氏作以外の第15期受賞作を掲載します。
中篇賞 小峯秀夫作


第15期小峯氏作

小峯秀夫作(35年1月号)
1四銀 同桂 2四飛 同玉 2三金 2五玉 2四金 同玉 1三角 2五玉
3五角成 1六玉 1七歩 同玉 1八金 1六玉 3四馬左 同銀 同馬 2五合
1七銀まで21手詰
塚田九段「見事なさばきの作品。ちょっと必要と見える1三の金を捨てて角打ちを作る。駒数が少なく、形も無難。詰め上がりは玉方の銀まで消えて上部が一掃される。巧妙」
捌きの中篇。内容的には1三金を押し売りするだけというだけのもので、塚田賞受賞は幸運でした。後年、構想派作家として活躍した作家には珍らしい軽快作といえます。
作者「本局、制作当初、攻方1三金はなく手順中、1三角を同玉とし、2三金までの詰みの短篇を目指して作っていた所、余詰が生じたので、それを消すため21手に手数をのばした。比較的良形で、手順も軽快だが、私としては期待していなかった。それが塚田賞とは幸運至極」


短篇賞 北原義治作


第15期北原氏作

北原義治作(35年1月号)
3七馬 同飛生 1九桂 1六玉 3八馬 同と 2五銀 1五玉 2七桂 同飛生
2四竜 同と 1六歩 2六玉 3六金まで15手詰
塚田九段「作品価値からいえば、16手以下の中では、これが断然一位だが、短篇とは言い難い感じがする。つまり、濃密な手ばかりで質量が大きすぎ、手数15手という事を知らずに鑑賞すると、中篇作と思いそうな、変な作だ。16手までが短篇賞の範囲であることに疑問を持たせた、そういう作品だ」
収束の打歩詰を回避するために、初手に3七馬と捨てておく――この中篇詰将棋のような伏線構想を15手の短篇で実現した素晴らしい作品です。2回の飛生をあしらった味つけにも、当時、油の乗り切った作者の腕の程がしのばれます。
作者「長篇を濃縮したような短篇……は一つの夢ですが、初手の伏線はちょっとしたインスピレーションで、形は悪いけど快心の構想といえます。この種、古典的プラスX――の短篇には、まだ分野広く、野心もあります」


佳作賞 竪山道助作


第15期竪山氏作

竪山道助作(35年2月号)
7三金 同桂 8四金 同歩 8六桂 8五玉 9四角成 7五玉 7六馬まで9手詰
塚田九段「右に述べた中篇的短篇の北原氏作が受賞したため、典型的短篇の竪山氏作を何とか表彰しよう、ということになった。佳作賞に決まった。これが短篇の好見本だ。こういう風に9手で新鮮味を出すのは、極く稀にしか出来ない」
この形で初手7三金は、いかにも発見し難い新感覚の妙手で、現在にも通用する新鮮さがあります。金二枚を先に使ってしまうのも意表をつく構成の佳作です。



本年の更新は今回の記事が最後となります。
新年は元日から3日間、塚田賞作品の魅力とは異なる記事を掲載したいと思います。
皆様、よいお年を…。
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