塚田賞作品の魅力(6)(近代将棋昭和52年12月号)②

森敏宏氏の連載「塚田賞作品の魅力」、第6回の続きです。
今回は第11期の受賞作を掲載します。
第十一期受賞作(33年1~6月号)
短篇賞 森田正司
中篇賞 近藤 孝
新人賞 浮寝鳥

長篇は該当なし


短篇賞


第11期森田氏作

森田正司作(33年6月号)
3七金 同竜 3九歩 同玉 2八銀 同竜 6九飛 4九金合 同飛 3八玉
3九飛 同竜 3七金 同玉 4七馬まで15手詰
作者「詰将棋の魅力にとりつかれて、すでに五年にもなるが、未だにヒットを放ったことがない。このたび塚田賞を得て、一人前になったような面映ゆい感がある。これを機に今後一層、独創的な作品の創作に励みたい」
塚田九段「入玉型としてむずかしさもなく割合いに手順がすっきりしている。私はいたずらにむずかしいのはきらいで、この忙しい世の中に、やたらに頭を悩ますことは反対だ。4九金合は巧く、しめくくりが迫力あってよい」
森田正司の一連の作品をみて感じることはそれぞれにひとつのネライを秘めているということである。本作の場合も盤面の飛車を金にすりかえてあざやかな収束に持っていくというハッキリしたテーマを左程ムリなく作っている。4七金は図ではジャマ駒になっており、これを消すことによって変化における4七馬を可能にしている。


中篇賞


第11期近藤氏作

近藤 孝作(33年5月号)
2九銀 1九玉 3八銀 3九角合 同飛 2八玉 3七銀 3九玉 9三角 2九玉
3八銀 同玉 4八角成 2九玉 3八銀 1八玉 2九銀打 1九玉 2八銀引 同歩成
同銀 1八玉 1九歩 2八玉 2九歩 1九玉 3七馬 1八玉 2八馬まで29手詰
作者「昭和29年創作開始。この頃毎月本誌に解答を出し、同時に作品も投稿したが、一題も入選せず。だがあきらめず投稿、王将誌29年6月号に初入選。30年11月号にあこがれの本誌に入選。これが長篇賞。それにつづき二度目の受賞です。本局は比較的短時間で出来たもの。自分では大したことはないと思っていたが、棋友諸氏にはわりと評判がよかった。長、中篇と受賞したので、今度は短篇を取りたいと思っています」
塚田九段「駒数が少いのに、これだけの手数がありしかも最後までよくさばける。しかし一番すぐれているのは形の良いことで、これと同時に発表された珍形詰将棋の中でも、傑出した良形。3九角の合駒も面白い」
この作品は当時特別出題として5題発表された中の一作。すばらしいの一語につきる。


新人賞


第11期浮寝鳥氏作

浮寝鳥(本名河内○(のぎへんに喜)夫)(33年6月号)
7四角 同桂 9三銀生 9一玉 8四銀成 9二金 8三桂 8一玉 9二香成 同玉
9一金 8二玉 7三とまで13手詰
塚田九段「9三銀不成から8四銀は新鮮である。新鮮さは大きな魅力である」
作者「不成ものに興味、特に不成手の(効果)を表面化せず、変化手順中に潜在せしめる性質の作品を好みます」
8三桂をこしらえるための9三銀不成から8四銀のアキ王手は新手法ではないかと思う。このような新手が現われると詰作家はショックを受けるものである。



森田氏作解説中、「変化における」は原文においては傍点となっています。

浮寝鳥氏作は初手9三銀成以下でも詰んでしまうようです。

次回からは森田銀杏氏による文章となります。
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No title

浮寝鳥作の余詰は、普通の筋で詰んでいるのに、当時誰も指摘しなかったのは不思議ですね。作者への信用でしょうか。

解答欄魔さんへ

「近代将棋図式精選」の解説では、「紛れ――というより余詰筋のような手ですが、9三銀成、9一玉、8二成銀、同玉として6四角や7三角がまず目につきます。いずれもすぐに切れますが、(後略)」とありますね。
9三銀成、9一玉の後の8三桂が見えなかったのかもしれません。

氏は当時、少なくとも近代将棋誌においては新人ということを考えれば、検討されたとは思うのですが…。ちょっと不思議です。

見落としたのは

8三桂自体は真っ先に考えるごく普通の手なので、見落としたとは考えられません。
見落としたのは、8三桂、同飛、同成銀、9四合と進んだ後の8二成銀でしょう。
9四同香の1手と思い込んで読みを打ち切ったのではないかと推察します。

名無しさんへ

8三桂は飛車で取られてもすぐに取り返せますから、見落としではないですかね。
ただ、9三銀成、9一玉、8三桂、同飛成、同成銀の場合は9四に何合をしても同香で詰むようです。

9四同香

9四同香でも詰みでしたか。
9四同香での詰手順を発見できず、8二成銀以下で詰みだと思ったのですが。
(飛金合のときは8二成銀では詰まず、9四同香で詰み)

名無しさんへ

私が把握している余詰手順を書いておきますね。
初手から9三銀成、9一玉 8三桂、同飛成、同成銀、9四歩に同香、9二歩、同成銀、同金、7一飛、8一桂、9二香成以下です。
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