塚田賞作品の魅力(6)(近代将棋昭和52年12月号)①

森敏宏氏の連載「塚田賞作品の魅力」、第6回です。
今回は第10期の受賞作を掲載します。
第十、十一期の受賞作

第十期受賞作(32年7~12月号)
短篇賞 小西逸生
中篇賞 北原義治
佳作賞 藤井国夫
新人賞 曽根康夫

長篇は発表作なし


短篇賞


第10期小西氏作

小西逸生作(32年10月号)
3四角 同金 3二飛 同飛 2三桂生 1三桂合 同角成 2一玉 1一桂成 同玉
3一馬 1二合 2三桂まで13手詰
作者「嬉しさで胸がいっぱいで何もいえないというのが正直なところです。本作は作後感ではやや気に入っているといった程度でしたが、棋友諸兄に検討をお願いしたところ、よくできているとの御返事を頂くに及んで、(それじゃひとつ……)と野心を持った次第です。さて受賞と決ると急に一世一代の会心作に思えてきたのですから人間というものは勝手な動物です」
作者は30年頃から活躍された短篇専門の作家で、その洗練された鋭い感覚は定評があった。本作の3四角、3二飛とすてて2三桂不成と入り、同玉 1三角成までという解答もかなりあったと思う。それを1三桂という受けの名手があって、手数内容がガラリと変ってくる。巧いものだ。


中篇賞


第10期北原氏作

北原義治作(32年7月号)
8三飛 8四桂合 同飛成 7六玉 7九飛 7八角合 同飛 7七馬 6八桂 6六玉
8六竜 同馬 7六飛 同馬 8八角 7七馬 7八桂まで17手詰
作者「再度の入賞の報に接し、恋人を待ち合せでもしているようなそぞろな、ホンワカとした心持である」
これは当時の感想の一部であるから、現在の心境とは異なるかも知れない。
本作2手目ただちに7六玉では7八飛 7七馬 6八桂 6六玉 6三飛成まで。このための8四中合だが、歩の合駒では同飛成 7六玉 7八飛 7七馬 6八桂 6六玉 6七歩 同馬 8六竜以下詰み。
2手目の桂合い、6手目の角合いを飛車二枚消すことによって活用するという、手なれた手順はさすが。
盤面八枚のうち、不動駒が六枚とは「さばきの北原」にとっては珍らしいことだ。


佳作賞


第10期藤井氏作

藤井国夫作(32年9月号)
2四銀 同玉 2一飛 1五玉 1四金 同香 2四飛成 同玉 3三角成まで9手詰
作者「佳作賞受賞の報に接し、事の重大さに驚きました。詰棋は大分コシラエましたがいまだに模倣の域を出ず、非力と努力不足にて度々不完全作を出している現在、全く赤面の至りと申す他ありません。該作は遠飛車の想を得て簡単にまとめました。遠飛車といっても、質駒を得るための平凡な筋ですが……」
小西逸生と同様に短篇専門。実に軽快な作風で、筋のよいことでは無類。必死図を作らせても妙腕をふるうという作者の本作品は軽快というより、妙腕をふるったという感じである。3手目3三角成とした場合1四玉で詰まないようにするため2八飛を置かなければならないところにこの作品の悩みがある。


新人賞


第10期曽根氏作

曽根康夫作(32年12月号)
4一飛成 3一金打 2一飛 1二玉 3二竜 同金 1一金 1三玉 2五桂まで9手詰
作者「入賞の通知に接し、ウソではないかと幾度も読み返しました。私は詰将棋を始めてから日が浅いので、実際の出来ばえが自分によく分りません。入賞など考えておりませんでしたので、実に意外で全身喜こびでいっぱいです」
本作品はすて駒が一手もないという、一風変った詰将棋で、そこのところが考えにくかったようで解くのに手こずった記憶がある。




リンクを張らせていただきました。コメント欄を汚すことはためらわれましたので、こちらでの報告にて失礼します。
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