塚田賞作品の魅力(4)(近代将棋昭和52年10月号)②

森敏宏氏の連載「塚田賞作品の魅力」、第4回の続きです。
今回は第7期の受賞作を掲載します。
第七期は31年1月号から6月号まで掲載された40題の中から左の諸作品が塚田九段及び編集部によって審査され選ばれた。

第七期受賞作
短篇賞 津野山呆烏
(本名 渡辺憲司)
中篇賞 町田伸二
長篇賞 北原義治


31年8月号に発表された賞の選定を前に塚田九段は次のような言葉を述べている。
塚田九段「塚田賞もこれで第七期だという。つい、この間創立されたと思ったが、まったく月日のたつのは早いものだ。さて選題にあたり創作家にはちょっと耳いたい言葉であるが、最近の創作には、これはすばらしいと思うほどの傑作がごく稀れにしか見られないのはどうしたことだろう。以前には各賞に多数の力作、佳作がせりあったものだが、選者としていささか淋しく思う。創作家の奮起を切望する」
当時のこの言葉はそのまま現在の詰棋界にもあてはまると思うので、再録した次第。


短篇賞


第7期津野山氏作

津野山呆烏作(31年5月号)
3七角 同竜 3八金 同竜 7三角 2七玉 3八竜 同玉 3七角成 2九玉
2八飛 1九玉 3八飛 2九玉 2八馬まで15手詰
塚田九段「3七角から3八金と竜を手元に呼んでおいての7三角は新鮮味ある手順で、また、いろいろとまぎれもあり、他とくらべ文句なく第一位に推す」
この作品をみたときに非常に解きにくかったことを憶えている。九段の言われた「まぎれ」がかなりあり、それがいい所までいく。
初手から、7三角、3八金など。
7三角は4六歩合 3七角 同竜 3八金 1九玉 3七桂 2九角合 同竜 同玉 3九飛 1八玉で不詰。また初手3八金では、1九玉 3七角 2八歩合とされてこれまた不詰。
作意の3七角。3八金。7三角という三手一組の手順はまことに難解かつ巧妙。他の候補作をふり切って独走。全員好評のうちに決定というのもうなずける。2四と金の配置は11手目2八飛のところで2三飛とする別手順を消したもの。このと金がいわくありげで、作品をより難解なものにしている。


中篇賞


第7期町田氏作

町田伸二作(31年3月号)
2五金 同馬 1七飛 1六馬 同飛 同玉 3四角 2五飛合 同角 同玉
3六金 1五玉 2七桂 同香成 2四角 同玉 2三飛 1五玉 2五飛成まで19手詰
塚田九段「これだけの力作を創った人が初入選とは……。そのねらいは終始ひきしまっており、その手順の妙はまさに驚くべきもの。新人の傑作」
玉方の応接が作品の主眼になるというのは塚田賞では目新しいことで、本局の2五飛合(8手目)が、中心になる一手。手順は最初から緊張を要するもので、収束の2七桂から2四角すてはすばらしいタッチである。
なお、前期短篇賞を取った石阪久吉作の中篇も好手順で、本作と最後まで争ったが、わずかの差で次点。惜しくも連続受賞を逃がした。
参考までに図と手順を掲げておく。



第7期次点石阪氏作

石阪久吉作(31年5月号)
3四飛 2三玉 3二角 同飛 2四馬 2二玉 3二飛成 同玉 4一銀 2二玉
3二銀成 1一玉 3三馬 同桂 2一飛 1二玉 2二飛成まで17手詰


長篇賞


第7期北原氏作

北原義治作(31年3月号)
1六飛 1四角合 同飛 同玉 1五金 1三玉 2二角 同金 1一飛生 1二角合
同桂成 同金 3一角 2二角合 同角成 同玉 5五角 4四角合 同角 同歩
3三角 1三玉 1二飛成 同玉 2二金 1三玉 2三金 同玉 2四金 3二玉
4三と 同玉 3五桂 3二玉 2三金 4一玉 4二角成 同玉 4三桂成 5一玉
5二成桂 同玉 6三銀生 4一玉 4三香 3一玉 4二香成 同玉 3三歩成 5三玉
5四歩 6四玉 7四とまで53手詰
塚田九段「一言にしていえば巧妙という。主題は角の反復打ち合であろう。とりわけ5五角と打って4四角と収束に味をもたせたあたりは巧い。また終りに6三銀不成とするなども芸の細かいところを見せている」
作者「本局、着想――完成まで約二年余を費しました。特に後半に苦心し、初期のねらい、”全体を重厚に”をガラリと変えてグッと軽くしました。これが成功したか」
北原義治の作品をみていつも感ずることだが、詰将棋を実に丹念に創るということである。完成まで二年余という言葉に作者の詰将棋に対する並々ならぬ姿勢がうかがえる。発表時の図では玉方3七と金があり、詰め方5四と金が銀になっていたが、作者からの連絡で図のように修正。成程こちらの方が優っているのは明白である。
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