塚田賞作品の魅力(4)(近代将棋昭和52年10月号)①

森敏宏氏の連載「塚田賞作品の魅力」、第4回です。
今回は第6期の受賞作を掲載します。
第六、七期の受賞作

第六期は本誌昭和30年7月号より12月号までに掲載された詰将棋鑑賞室36題、特別室6題中より選出されたもの。

第六期受賞作
短篇賞 石阪久吉
中篇賞 該当なし
長篇賞 近藤 孝
新人賞 何 敦美



短篇賞


第6期石阪氏作

石阪久吉作(30年7月号)
5四角成 2二玉 3一銀 2三玉 4五馬 3二玉 2四桂 同馬 2三馬 同馬
4二金まで11手詰
塚田九段評「本作はまぎれはあり、型もよし、力強いのでこれをとった。手順などは玄人っぽい」
作者「主眼手の2三馬は、前半に捨駒がないため、きわ立った好手になっていると思います。好きな作家は柏川悦夫、金田秀信、植田尚宏の各氏。低棋力のためと、時間の問題で長篇は敬遠してましたが、受賞を機会に取組んでみたく思います」
本局はまず実戦型なのがよい。塚田九段が玄人っぽい手順といわれたのは、初手5四角成をいうのだろうか。これが3手目の3一銀から始めたのなら作品の質は低下したものと思われる。
ネライの2四桂から2三馬の飛び込みは素晴らしい手で、応用の広い高級手筋である。


長篇賞


第6期近藤氏作

近藤 孝作(30年11月号)
1七歩 同玉 1八金 同角不成 2六銀引 1六玉 2七角 同角不成 1九飛 1八角打
同飛 同角不成 2七角 同角不成 1九飛 1八角打 同飛 同角不成 1七銀 同玉
2六角 1六玉 1七歩 2五玉 5三角不成 2八と 2六歩 3四玉 3五歩 4三玉
5四と 同角不成 5二銀 同玉 4二と 6三玉 6四歩 7四玉 8六桂 8四玉
6二角不成 7三桂合 同角不成 9三玉 8五桂 同香 9四歩 8三玉 9五桂まで49手詰
塚田九段「角を九回不成として働かすところが優れている。終りがあっけないが、終始角不成を続けるのは大したものである」
作者「夢ではないかと驚きました。苦心しただけに嬉しさは格別です。作品自評――手順は平易だが角の双方不成9回とあいまって3五歩打ちを可能にする2七へ再度の作すては妙手だと自負している。好きな作家――北原義治、黒川一郎、植田尚宏」
角不成9回は当時の新記録。大駒不成の作品は今でこそ珍らしくもないが、当時はその希少価値があった時代だから、筆者などは本作品をみたときは驚いたものである。不成のほかに3九飛と4九飛を消し、打ち歩詰めを解消する構想を取り入れてあるのが、この作品の優れたところだ。ちょっと面白いことに気がついたのだが、最終局面で詰め方7一と金がないと以下7二玉 6三歩成の面白い手順がある。塚田九段が「終りがあっけない」といわれたのも、この辺のところに気がついてのことと思う。一工夫の余地があり惜しい感じがする。
変化 4手目、1六玉なら2七金 同角 同角 2五玉 2六銀上まで。
また1八角成なら2六銀引 1六玉 1七歩 同馬 同銀 同玉 1九飛まで。
12手目の不成を成ると、1七歩 同馬 2五角 同歩 同銀まで。
41手目、6二角不成とする所、解答者の十二、三名が「成」と誤った。すなわち、6二角成は7三桂合 同馬 9三玉で打ち歩詰めの局面となる。と、当時の駒形駒之介の解説に記されている。


新人賞


第6期何氏作

何 敦美作(30年8月号)
3三角 9七玉 4二角成 8八玉 7七銀 9九玉 8八銀 8九玉 9八銀 同玉
9七馬 8九玉 6九飛 7八玉 8七馬まで15手詰
塚田九段「一風変わっていて面白く、型も簡素であるのもいい。短篇賞を石阪氏にゆずったので新人賞をおくる」
5手目7七銀から8八銀のさばきが面白い。最後は8七銀もさばいてキレイな詰め上り。このような形からよくぞ巧い手順が現われたものだ。
6手目8九玉は7八銀 9九玉 6九飛 9八玉 4三馬 9七玉 8七馬まで。
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