塚田賞作品の魅力(3)(近代将棋昭和52年9月号)②

森敏宏氏の連載「塚田賞作品の魅力」、第3回の続きです。
今回は第5期の受賞作を掲載します。
第五期は王将誌が前期で廃刊になったので本誌30年1~6月号までに発表された36題の中から選定された。

第五期受賞作
短篇賞 桑原辰雄
      河辺昭光
      黒柳徹和
中篇賞 岡田富行
長篇賞 該当なし



短篇賞


第5期桑原氏作

桑原辰雄作(30年6月号)
2五桂 1二玉 3二飛成 2二金合 1三桂成 同玉 1二金 同香 2五桂 2四玉
3三竜 同桂 3五銀まで13手詰
塚田九段評「実戦型がまずよい。最初平凡に追っていき、だんだんすて駒が出てくる。 1二金ですぐ詰みそうにみえて詰まないのも新鮮である」
作者は今も活躍しておられる、実戦派の雄で、その力強い作風はユニークである。
1二金すての筋は塚田九段の作品にもみられるが、そのニユアンスはヤヤ異る。
作者「一度は受賞の喜びを味わいたいと思っておりましたが、又格別な味がするものです。今後共私の力の範囲において新から新へと進むつもりです。本作、豪快な手順は見当りませんが、形のよさと共に駒さばきも軽くあるいはとも思っていました」


短篇賞


第5期河辺氏作

河辺昭光作(30年1月号)
2八香 1七玉 1八馬 同玉 2七香 同玉 3七馬 1七玉 1八飛 同玉
2八馬まで11手詰
塚田九段評「2七香と上がる手が心地よい新鮮さを持っている」
この2七香が当時話題を呼んだ一手。2六香などとすると、1七玉から2六玉とかわされる。作者は短篇作家としてすばらしいセンスの持ち主で筆者が最も高く評価して(いる)作家の一人。参考まで左図も考えられる。これは筆者の好みで左図(次頁)をこしらえてみただけであるが、とにかく塚田(賞)短篇賞の中では上位に入る作品である。

第5期河辺氏作案

作者「入賞の報に接しあまりの嬉しさに胸おどるものを感じました。玉を2七へさそうまでのアヤ、手順の妙は自分として今までを通じて最高の作と思います」


短篇賞


第5期黒柳氏作

黒柳徹和作(30年1月号)
6七銀 同歩不成 3八馬 4七桂打 同馬 同桂不成 4八桂 同飛不成 5八飛 同飛成
5七歩 同竜 6五馬まで13手詰

(詰め上り図)
第5期黒柳氏作1

塚田九段評「不成を多くとり入れ、しかも曲詰(エの字)としてはしっかりした構成。
4七桂の防ぎもよく、すぐ3八同飛と取らぬところは巧妙」
黒柳徹和とは誰あろう、北原義治のペンネーム。名前を変えたとたん受賞とは皮肉。作者の詰棋テクニックを見事さを表わした作品である。
作者「曲詰(あぶり出し)には不成作品が少い、と思いついてフト作ってみたものです。妙手らしい手は一つもありませんが、玉方3回不成、不動玉、と重なって、曲詰として移植ではないでしょうか?」


中篇賞


第5期岡田氏作

岡田富行作(30年4月号)
3八桂 同と 1八桂 3五玉 2五飛 3六玉 2六飛 3五玉 3六飛 2四玉
2六飛 3五玉 2五飛 3六玉 2三飛成 1四銀 2七竜 3五玉 2六竜まで19手詰
塚田九段評「3八桂に3五玉と逃げる変化もおもしろく、作意の2四玉を玉に取らすネライは一応成功しており詰将棋らしい詰将棋。軽い。文句なし」
3八桂に3五玉なら2五飛 3六玉 4五飛右 1四銀 4八桂まで。また、1六玉なら2七角 1五玉 1六飛 2四玉 2五歩 3三玉 3二角成 同玉 5四玉 2三玉 1五桂 1四玉 3二角成以下。
右のややこしい変化をヨミ切ってしまえばあとは軽快な手順でさすが巧まい。
作者「私の好みの作品だが、入賞するとなどとは思っていなかった。塚田賞は私達のユメですが、このユメがかなえられてこんな嬉しいことはありません」



桑原氏作は「妙義図式」第8番に収録されています。
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