塚田賞作品の魅力(3)(近代将棋昭和52年9月号)①

森敏宏氏の連載「塚田賞作品の魅力」、第3回です。
今回は第4期の受賞作を掲載します。
第四、五期の受賞作

第四期は29年7月号~12月号の本誌と王将誌に発表された約百五十題の作品中より選定されたもの。

第四期受賞作
短篇賞 田辺国夫
中篇賞 金田秀信
      盧 閑子いおり かんし
長篇賞 植田尚宏



短篇賞


第4期田辺氏作

田辺国夫作(王将29年9月号)
5一角 6一玉 7三桂 同角 7一銀成 同玉 7三角成 4一飛 5三角 6一玉
6二角成まで11手詰
田辺国夫は現在でも活躍中の作家で、短中篇物が得意。本作品は作者の短篇中でも巧みなテクニックを発揮されたもので、特に7三桂ハネは見事な一手。まぎれの豊富なこともこの作品の価値を高めている。
作者「光栄の至りだが今後の駄作の発表に気がひける。できるだけ精進したい」


中篇賞


第4期金田氏作

金田秀信作(29年7月号)
3四金 同金 3五角 2五玉 2六飛 3五玉 3六飛 2四玉 3四飛 2五玉
2四飛 同玉 2三金 2五玉 3六竜 1四玉 3四竜まで17手詰
塚田九段評「中篇作は盧作と金田作が両横綱で、随分考えたが、どちらが優っているか判定できない。盧作は何だか専門棋士の作みたいだし、力強さがある。金田作は形が良いし、手数に比していろいろなまぎれ手がある。選定に迷ったので特に二本立の受賞とした」
作者は現在「新宿将棋センター」を経営しておられるが、詰将棋作家としても一流でとくに短篇物を作らせるとその名手ぶりを発揮する。本局は作者の数少ない中篇物の一作で、初手3四金から3五角の構想はすばらしい。
2手目、2五玉は2三竜 同角 2四飛 1六玉 2七金まで。4一角は諸々の余詰を消している巧妙な配置である。
作者「久しぶりに入選の喜びというようなものを感じました」


中篇賞


第4期廬氏作

盧 閑子作(29年9月号)
9三竜 9四金合 7三角 8五玉 8四角成 7六玉 6六馬 8七玉 8八馬 7六玉
6六金 8五玉 9六銀 7四玉 8六桂 同馬 6五金 同玉 6三竜 7五玉
6六馬まで21手詰
作者は本名須釜喜一郎。35才(当時) この人の作品は受賞作以外あまり知られていないようで、筆者も殆ど記憶がない。
消息通の話によると、現在東京の「大塚将棋センター」へときたま将棋を指しに来るとのことだがそれ以上は分からない。
本作品、塚田九段の評にもあるように仲々力感あふれる構成ぶりで、2手目の9四金合(、)次の7三角から8四角成など、実戦の方もかなり指すのではないかと思われる。中盤やや中だるみの感はあるが、終盤9六銀のあたりから再び雰囲気が盛り上がってくるという異色の作品に仕上っている。
2手目飛金以外の合駒では7三角 8五玉 8四竜 7六玉 6六金 7七玉 8八竜まで。
飛合は同竜 同玉 9三飛 8五玉 9四角 8四玉 8三飛成 9五玉 8五竜まで(。)
作者「塚田賞に入賞とは全く意外と申す他はありません。初入選でこの栄与(ママ)は恐縮の至りです」


長篇賞


第4期植田氏作

植田尚宏作(王将29年8月号)
8四と 同玉 7五と行 同と 同と 同玉 7六歩 同玉 8六と 同金
7七香 同金 同飛 同玉 8八金 同と 6八銀 同玉 8八竜 5七玉
4八金 4六玉 3六金 同金 同と 同玉 2六と 同と 同と 同玉
3七銀 1五玉 1六歩 同玉 2六金 1七玉 2七金 同玉 3八金 1六玉
2七金 1五玉 2六銀 1四玉 1五歩 2三玉 2四歩 同玉 3五銀 1五玉
2六金 1四玉 1三桂成 同玉 2四銀 同玉 2五金 1三玉 2四金 同玉
2八竜 3三玉 3七竜 4四玉 3四竜 5三玉 5五香 同成桂 6三角成 同玉
5五桂 7二玉 7四竜 8一玉 9三桂打 同馬 同桂 9二玉 8二歩成 同玉
7一角 9一玉 8一桂成 同玉 8三竜 7一玉 6一香成 同玉 5一と 同玉
5三香 6一玉 5二香成 同玉 6三竜 5一玉 4三桂 同銀 4一歩成 同玉
4三竜 3一玉 2一と 同玉 3二銀 1一玉 1二歩 同玉 2三竜 1一玉
2一竜まで111手詰
塚田九段評「長篇は選ぶことをしなかった。植田作の煙詰が完全作である限り文句なしに該当する。このような作を完成したことに敬意を表する」
煙詰は今でこそ百局以上発表されているが当時の詰棋界では最も希少価値ある作品で、この受賞作は第三作目と記憶している。一作目天才伊藤看寿の傑作。第二作は黒川一郎の落花で短篇作家と自他ともに認める作者が、いきなり煙長篇を発表するとは、当時話題になったものだ。
本局、自陣成駒を度外視してみると、かなり巧妙に作られている。いわゆる煙詰の「公式手順」を使用していない、オリジナルな組み立てになっている点、高く評価していい作品である。
作者「苦心作だけに入賞の喜びは格別です。今後共一層精進したく思います」 



※「塚田賞作品の魅力」とは全く関係ありませんが、備忘録を…。
倭建氏=竹下雅敏氏
大麻雅人氏=大崎善生氏
大井美好氏は1985年7月に逝去

追記(2015年6月2日)
盧閑子氏は、「廬」閑子が正しい表記となっています(塚田賞作品の魅力の原典が「盧」表記でした)。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

hirotsumeshogi

Author:hirotsumeshogi
少ない知識をフル活用させています。
当ブログはリンクフリーです。
相互リンクは詰将棋関係のものであれば原則受けさせて頂きます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR