塚田賞作品の魅力(2)(近代将棋昭和52年8月号)①

森敏宏氏の連載「塚田賞作品の魅力」、第2回です。
今回は第2期の受賞作を掲載します。
第二、三期の受賞作

第二期受賞作は28年7~12月号までの本誌掲載の作品から選ばれ、受賞者は次の通り。

第二期受賞作
短篇賞 湯村光造
中篇賞 該当なし
長篇賞 山田修司
新人賞 菅谷春雄



短篇賞


第2期湯村氏作

湯村光造作(28年10月号)
3八飛打 1九玉 1八飛 2九玉 1九飛 2八玉 3三飛成 4六香 3九竜 2七玉
2九飛 1八玉 2八竜まで13手詰
塚田九段評「形がすっきりしておりまぎれもある。初手4八飛としたい所を3八飛とつけて打ち1八飛とすてるネライが鋭い。最後までゆるみのない手順」
この頃の短篇作家ではこの人の他に金田秀信、柏川悦夫、植田尚宏の三人が特に活躍していた。
本作は入玉図ながら簡素な形をしているので好感の持てる作品だ。手順は原形のまま玉を1九へさそうところ、なかなか味がある。4五香も最善の配置であろう。


中篇に該当なし。


長篇賞


第2期山田氏作

山田修司作(28年7月号)
7八金打 8六玉 7七金右 9六玉 8七金行 9五玉 8六金右 同と 9六香 同と
同金 9四玉 8五金 9三玉 9二桂成 同金 8四金 8二玉 9二馬 同玉
9三金打 9一玉 9二歩 同飛 同金 同玉 9三飛 8二玉 8三金 7一玉
6一と 同竜 同桂成 同玉 7二金 同玉 7九飛 6二玉 6九飛 5二玉
5九飛 4二玉 4九飛 4七桂 同飛 3二玉 4四桂 4二玉 5二桂成 同玉
4三飛行成 6一玉 6三飛成 7一玉 4一竜 8二玉 5二竜引 9一玉 9三竜まで59手詰
塚田九段評「手順がごたごたしていない、やさしいところに好感が持てる。
7七金とすてて7九飛を作るのがおもしろいところ。二枚飛車で追うのは伊藤看寿の作にもあるが、7九飛を作る構想はやき直しとはいえない。それと玉方4七桂の中合、その桂を4四に使う所もおもしろい。盤面の駒もあらかたさばけるし、傑作といってよいでしょう。」
いよいよ大家山田修司の登場である。山田は柏川悦夫と共に北海道が生んだ、戦後詰棋界のスター。柏川が短・中篇作家とするなら山田は中・長篇作家。
塚田九段の評にあるように二枚飛車で追う筋は看寿の作にある。右図がそれだが、本局は序盤軽い伏線を取り入れ、後半二枚飛車で追撃したあと「4七桂中合」という予想外の応接があり、ひとつ立派な作品として昇華されている。
昭和三十年前後の長篇作家をあげるとすれば山田の他に黒川一郎、巨椋鴻之介、駒場和男などがいる。おっともう一人「幻の作家」といわれた奥薗幸雄(八七三手の最長手数作品の記録を持つ)の名も忘れてはならない。


近代将棋新人賞


第2期菅谷氏作

菅谷春雄作(28年11月号)
4二角 2二玉 3一飛成 1二玉 3二竜 2二桂合 2一竜 同玉 3一金 1二玉
2一銀 1三玉 2五桂まで13手詰
塚田九段評「桂香のある形が私の好きな形。初手から3二飛成の銀を得るまでは手順だが、2二桂合と、2一竜と桂をとるのがおもしろい今までにない筋で、その新しい所を採る」
6手目、桂合以外では1三金 同玉 1四銀 1二玉 2三銀成まで。
2一竜(7手目)から3一金と打つあたりがいかにもプロ好みの手順。すて駒らしき手がひとつもないが、筋の目新しさが評価されたものとみている。



山田氏作、44手目4七桂よりも4四桂(駒余らず、余詰あり)を早く詰める方法が見つかりませんでした。
氏の作品集「夢の華」第28番に収録(「駅馬車」と命名)された際には下図になっております。


第2期山田氏作補足


菅谷氏作の塚田名誉十段コメント、「3二竜と銀を得るまでは」が正しいと思うのですが、修正いたしませんでした。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

hirotsumeshogi

Author:hirotsumeshogi
少ない知識をフル活用させています。
当ブログはリンクフリーです。
相互リンクは詰将棋関係のものであれば原則受けさせて頂きます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR