塚田賞作品の魅力(1)(近代将棋昭和52年7月号)②

森敏宏氏の連載「塚田賞作品の魅力」、第1回の続きです。
近代将棋新人賞


第1期椿氏作

椿 春男作(28年6月号)
3四桂 同歩 1三金 同香 4二竜 3二飛合 3一銀 1一玉 1二香 同飛
同竜 同玉 3二飛 1一玉 2二飛成まで15手詰
塚田九段「3四桂、1三金の手筋の新らしさをとる。形の良い点も入賞の大きな理由。惜しむらくは4二竜以下が既成手筋である」
新人賞は文字通り新しい作家を発掘、奨励の意味でもうけられたもの。近年、この賞は消滅してしまったかに見えるが、該当者があれば、選定されるハズ。
作者「私の作品が新人賞とは、うれしくて全く夢のようです」
作者椿春男はペンネーム。本名は関英雄。指将棋アマ五段の強豪である。


特技賞


第1期柏川氏作

柏川悦夫作(28年6月号)
5五桂 4四玉 4五歩 同と 4三桂成 同玉 5二角成 5四玉 4六桂 同と
5五歩 5四玉 4五歩 同玉 6三馬 4四玉 5四馬まで17手詰(詰上り”上”の字)

(詰め上り図)
第1期柏川氏作1

塚田九段「”二上詰将棋”は無条件でよい作品である。曲詰(あぶりだし)にはめずらしく手順も悪くない。それにもまして柏川氏のたゆまぬ努力には感心させられる」

曲詰「二上」のできるまで 柏川悦夫
曲詰にもいろいろありますが、私は以前から”象形(最初形になっているもの)”と、”あぶり出し”を一局にしたもの(なにかよい名がありませんか、”立体詰将棋”とかなんとか)を作れないものかと思っておりました。約一年ほど前にはじめて作ってみましたのは”山川”という図でした。これはいま見るとほんの習作に過ぎませんが、当時はかなり苦心したように覚えております。この種の曲詰はよほど簡単で似かよった”文字”または”形”でなくてはむずかしいように感じました。その後、よい構想もなくすぎましたが先頃、新聞で”二上順位戦で全勝す”の記事を見ていたときです。ふと、「二」と「上」なら、という気がしました。さっそくいろいろな構想のもとに創作にかかりましたが、すべて失敗におわりとてもだめかと思ったくらいです。しかし、苦吟三日の後にはやっと次の仮想図を得ることができました。

(仮想図)
第1期柏川氏作2

が、仮想図では6五馬以下の余詰もあり、またそれよりもこれだけではあまりに俗で作品とは申せません。6六馬を銀または金に換えると、初手5二角成のとき、4四玉で詰まなくなります。しかし、ここが”工夫”のしどころと思いました。

(イ図)
第1期柏川氏作3

イ図の場合3六香を飛に換えて、3四飛と出る手が見えてきました。それには4五の逃げ道を閉鎖しておく必要があります。これは”カン”で成立しそうに思いました。そこで4六歩をと金にしてこれを4五にもどすことを考えたのですが、まず4五との図面を仮想しますと、5二角成に対して5四玉が絶対(4四玉は3四飛)になり、以下4六桂、同とというアヤもあり、さらに4四玉のとき4五歩の味も大へんよくなります。
さて問題は4六と金を、いかにして4五へ引かせるか、ということです。すぐ浮かんだ手は4五香でしたが、作意の5五桂から4五歩、4三桂成という、いわゆる詰将棋らしい手順を発見したときは、しめたと思いました。
ただ、不安だったのは3六香が飛に換ったのと、持駒が桂二枚と歩一つ多くなったため余詰が生じていないかということです。初手5二角成の手と、三手目4六飛の手はいずれもわずかに詰まずうまくいったものだと思っております。(昭和28年8月号本誌より)

作者柏川悦夫は戦後詰棋界の大御所的存在の方で、塚田九段が最も高く評価されていた作家の一人。現在やや”休火山”的状態にあるが、その復活がまたれるところである。
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