塚田賞作品の魅力(1)(近代将棋昭和52年7月号)①

8月から11月の上旬にかけて、「続・塚田賞作品の魅力」を取り上げました。
「続でない方はどういう内容か気になる」という方もいらっしゃるのではないかと思い、少しずつ載せていくこととしました。
この連載を基に森田銀杏氏が「近代将棋図式精選」としてまとめられた本では受賞作はもとより、その他の好作も多く掲載されています。
途中で中断があるかもしれませんが、ご了承下さいませ。
全編森田銀杏氏の連載と思い込んでいたのですが、第6回までは森敏宏氏の筆によるものだという事を最近になって知りました。

以前に第54期までの受賞者一覧を載せておりますので、予習をしたいという方はどうぞ。
http://hirotsume.blog.fc2.com/blog-entry-29.html

なお、後に不完全であることが判明している作品も少なくありません。
出来る限り補足するつもりですが、漏れがありましたらご指摘いただけると幸いです。

前置きはこの位といたしまして、本編に入ります。



塚田賞からみた戦後の詰将棋

塚田賞が制定されてから25年、今年で第50期になった。そこで第1期からの受賞作品をふりかえって、その魅力をさぐってみたいと思う。
第1期は昭和28年新年号~6月号まで作品60余題の中から次の三氏が入賞。短篇・荒川善雄。中篇・川上泰晴。長篇・石井恵一。他に新人賞として椿春男。特技賞に柏川悦夫がそれぞれ選らばれている。


短篇賞


第1期荒川氏作

荒川善雄作(28年5月号)
2二金 1三玉 2三金 同馬 1四銀 同馬 3一角成 1二玉 2二飛成まで9手詰
塚田九段「鋭角的なものを持っている。良形の秀作」
二上六段(当時)「近代(詰)将棋の条件は、適当なやさしさと適当なまぎれであると思う。本題はこの条件にかなっていると思う。使用手筋も2二金から2三金と捨てるあたり。スマートな感じがする。なお、3四金を除き4一馬を1四馬としても良さそうに思われる」
2二金~2三金は当時としては新鮮味ある好手筋。これ以後の短篇作にこの手筋を使ったものがいくつか現われている。
4一馬を1四馬として3四金をはぶくという二上六段の言はさすがに慧眼である。
作者は昭和11年6月16日生まれ。当時高校二年という若さでの受賞。
作者「苦心しただけに塚田賞の選に入ったと聞いて、ほんとうにうれしく思います」と喜びを語っている。


中篇賞


第1期川上氏作

川上泰晴作(28年5月号)
3三銀 1二玉 1三歩 同桂 2二銀成 同銀 2四桂 2一玉 3二桂成 同玉
4二角成 2一玉 3一馬 同銀 2三飛成 2二銀上 3三桂 3一玉 4一とまで19手詰
塚田九段「形の整っている作品で、同時にまぎれの多きを求めることはむずかしいのだが、この作はそれをなしとげている。手順も悪くない」
二上六段「本作もやはり近代的感覚の詰将棋であろう。塚田賞となったのも当然と思われる。手順も流麗である。しかし私の好みとしては中篇物は今少しの難解さが欲しいと思う」
この作品も短篇同様、応用範囲の広い絶妙の手筋が出てくる。9手目3二桂成から4二角成 2一玉 3一馬の手順がそれで、何年か後の塚田賞にこの手筋を取り入れた作品が出てくるのである。
作者は昭和8年生まれで当時20才という若さ。「塚田賞に私のが選ばれたとのこと。意外なのに驚きました」と語っている。


長篇賞


第1期石井氏作

石井恵一作(28年3月号)
3一金 同玉 4三桂 同金 2二角 2一玉 3三桂 同金 1一角成 3一玉
4三桂 同金 2二馬引 4二玉 4三歩成 同玉 3四馬 同玉 4四馬 2三玉
3三金 1三玉 3五馬 1二玉 4五馬 3四歩合 同馬 2一玉 2三香 3一玉
3二金 同玉 4四桂 4二玉 5二桂成 3一玉 3二歩 同玉 3三香まで39手詰
塚田九段「二枚の馬の動きや玉方金を桂すてで動かすなど、手順のアヤのむずかしさがこの作の興味である。攻防の応接が見事で最後までひきしまっている。7三と8三の歩がなければ一層すぐれた作品であった」
塚田九段講評のように、三桂で金の移動をはかる細かい味がこの作品の骨子である。最後は3六の桂までさばいて見事な詰上り。
作者「まことに恥かしい作品ですが、これを機会に今後一層努力します」作者は昭和7年生まれ。第一期の受賞者三人とも新人。現在どうしておられるか、消息を知りたいものである。
候補に上った作家で現在も活躍されていた方は金田秀信、北原義治、野口益雄らわずか数人である。



荒川氏作、最終手2一飛成で駒余りとなってしまいます。
6手目同玉として1五飛までの7手詰、同馬で変化長手数といったところでしょうか。

第6回までは発表年月の記載はありませんが、私の方で付け加えました。
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