簡素図式精選(10)(近代将棋昭和55年2月号)②

第10(最終)回の続きです。
第九十七番 小寺秀夫氏作

昭和53年6月「近代将棋」

第九十七番 小寺 秀夫氏作
2五銀 同玉 1六銀 同銀 3五飛 2四玉 4四龍 3四歩合 同龍 1三玉
1五飛 2二玉 2三歩 2一玉 1一飛成 同玉 3一龍 1二玉 2二龍まで19手詰
今や短・中篇界に於て確たる地位を築いた感のある作者の、センスある好小品。
初手、3手の連打の銀打がやり難い。残り駒飛一枚で詰むのか、という不安感を抱かせるからだ。而し5手目3五飛と打ってみると意外に狭く、以下3四歩の捨合を織込み、収束に飛を捨てて詰上る辺り、流石。


第九十八番 金成憲雄氏作

昭和53年6月「詰将棋パラダイス」

第九十八番 金成 憲雄氏作
4六角 3五歩合 同角 2四歩合 2三金打 1四玉 2四金 1五玉 2五金 1六玉
1五金 同玉 2六飛成 1四玉 1三角成 同玉 1四歩 同玉 1五歩 1三玉
2二龍まで21手詰
玉方5六馬の横腹にハッシと打つ4六角の限定打の捨駒。これに対し、3五歩、2四歩と連続に打つ中合と捨合。虚々実々のかけ引きは詰将棋の醍醐味充分である。以後の手順も打った金を捌き捨て、初手に打った角も捨てて鮮やかな出来栄え。


第九十九番 天地道人氏作

昭和53年9月「近代将棋」

第九十九番 天地 道人氏作
2九香 2六桂合 同香 2五桂合 同香 1四玉 1六飛 2五玉 2六金 2四玉
3六桂 2三玉 1三飛成 同玉 2五桂 1四玉 1五銀 2三玉 3三銀成 1二玉
1三桂成 同玉 2四銀 1二玉 2三銀成 1一玉 2二成銀まで27手詰
この初形とこの手順。ベテランのペンネームでないとのことなので末恐ろしい新人が出現したものだ。この単発だけで終らないことを祈っている。
初手は飛か香で上から押えねばなるまい。飛は後で使えそうだから、初手2九香と打ってみる。この変化が些か面倒である。単に2四合では2二飛、同玉、3三銀打以下。では2五の地点へ歩の中合をしてむる。以下2二飛、同玉、2五香、2三歩合、3三銀打、1二玉、1三歩、同玉、2四金以下詰。2五桂合の中合はどうか。以下4三飛、2四玉、1五銀、同玉、2六金以下で詰む。かくて、2手目2六桂合、4手目2五桂合の二段中合をせざるを得ない様になってくる。
5手目に2五香と強引に攻め、1四玉に1六飛の限定打が好手。1六飛を発見すれば、峠を越した感じだが、2六金から3六桂と押さえての1三飛成が画竜点睛の好手で、中合で得た二枚の桂を巧みに駆使し、1三桂成の軽い捨駒で収束となる。
この簡素な初形から、内容のある好手順を引き出すのは一種の発見の作業が必要なわけだが、並みの棋力では好手順を引き出すことが困難である。この意味で、本作者はかなりの棋力の持主と思われるし、又詰将棋のセンスも充分あると判断せざるを得ない。始めに述べた様に本作だけの単発に終らず、後続作をどしどし発表して頂きたい。
第52期塚田賞中篇賞受賞作。


第百番 岡田 敏氏作

昭和53年11月「近代将棋」

第百番 岡田 敏氏作
4四角 2三玉 3二銀 同玉 3三金 4一玉 6三角 5一玉 5四香 5三金合
5二角成 同金 同香成 同玉 5三金 5一玉 4二金右 6一玉 6二金まで19手詰
最後に筆者の作品を一局だけ紹介させて頂くことにした。
盤面玉と銀のみ。盤面二枚というのは極めて数が少なく、又好手順を伴っているのは更に少ない。裸玉崩れで玉方二枚というのは時々見るが、攻方一枚というのは数える程しかない筈である。
さて、詰手順に入って、初手に結構紛れがあるが、4四角と限定打を放つと意外に局面が狭くなる。この変化が少々うるさく、2手目1三玉では1六香、1五歩合、2二角打、1四玉、1五香、2五玉、2六金、3四玉、3三角行成(好手)(、)4五玉、5五馬、3四玉、3三角成迄。又3三合では、1一角、1三玉、1六香、1五歩合、1二銀成以下詰。かくて2手目は2三玉となるが、3手目3二銀が局面打開の好手。ここは3二角打とか、上部から香で押える等の手がちらつくだけに3二銀の捨駒が光る訳だ。5手目3三金と押えてからは、大道棋に出てくる例の金中合の筋で無難の収束であろう。

(結び)
永々とご愛読ありがとうございました。
この”簡素図式精選”は昭和53年末迄の作品から選びましたが、その後かなりの数の簡素図式の好作が発表されており、又従来の作品の中でも選定洩れがあったりしておりますので、近々”簡素図式精選補遺50局”をまとめたいと思っております。ご希望、ご意見を編集部迄申し入れて下さる様お願いします。



「簡素図式精選補遺50局」、私は存在を把握できておりません。
近代将棋誌または別の場所で発表されているのであれば、ご教示頂けると有難いです。

1回分の連載を2つに分けて掲載してまいりました。ご覧いただき、御礼申し上げます。
何回かの更新を挟み、別のものを取り上げる予定です。
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お疲れさま

簡素図式精選、大変参考になり、楽しめました。
お疲れさまでした。

金子義隆さんへ

反響があるというのが嬉しいです。載せた甲斐がありました。

それほど更新の題材は持っていないのですが、これからもできる範囲で頑張りたいと思います。
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Author:hirotsumeshogi
少ない知識をフル活用させています。
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相互リンクは詰将棋関係のものであれば原則受けさせて頂きます。

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