長編詰将棋の鑑賞 第8回

「長編詰将棋の鑑賞」、第8回は七條兼三氏の作品を紹介いたします。
氏は大正6(1917)年生まれ、平成元(1989)年に亡くなられました。
解答強豪から作家へ転身、デビュー時48歳でした。
当初は短編、後に大型作を次々と発表。条件作の作図にかけては屈指の実力があったそうですね。
看寿賞は1回、塚田賞は13回受賞されました。


「新旅路」七條兼三氏作 近代将棋昭和53年12月号
将棋墨酔(※1)拾遺集第35番
近代将棋図式精選長篇の部第150番

香を入手しては9段目に打っていき、金やと金によって玉を追うという見ていて楽しめる作品です。
初形、詰上がり共に美しさが感じられ、さらに還元玉も実現しています。
本来の七條氏の作品群とは一線を画しているようですが、好作だと思います。

本局、「新」とあります。
残念ながら余詰が発見されているようですが、黒川一郎氏の作品「旅路」も掲載させて頂きます。



「旅路」黒川一郎氏作
将棋浪曼集(※2)第39番
昭和詰将棋秀局懐古録上巻(※3)第73番


※1 将棋墨酔
七條兼三(ペンネーム墨江酔人)氏の作品集。100+76局収録。
墨酔の字は、谷干城の漢詩「雲井龍雄を懐う」より取られているそうです。

※2 将棋浪曼集
黒川一郎氏の作品集。100+?局収録。
「浪漫派」と称された数々の作品が収録されているとか、いつか見てみたいものです。

※3 昭和詰将棋秀局懐古録上巻
田邊重信氏による出版。100局収録。
上巻は昭和30年に、下巻は昭和62年に出されました。
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墨江酔人・蓮湖吟人

『将棋墨酔』の手数調査(2013/09/09の記事へのコメントに対するレス)ありがとうございます。そちらに対しても、七條氏の長編作家としての「量的偉大さ」についての追加コメントを準備していますが、今回は、こちらの記事に対するありがち(?)な疑問について――

>>墨酔の字は、谷干城の漢詩「雲井龍雄を懐う」より取られているそうです。

普通、
  書名「墨酔」は棋名「墨江酔人」の短縮のはず
と考えますので、
  漢詩に由来するのは「墨酔」か、それとも「墨江酔人」か?
という疑問が湧きます。なので、もとの詩に直接あたって調べてみました。
私が参照した資料では、「亡友・雲井龍雄を憶(おも)ふ」という題名になっており、その頭聯は
  墨田 花は酔ふ可く
  蓮湖 月は吟ず可し
です。「蓮湖」とは上野・不忍池(しのばずのいけ)を指し、隅田川(唐名は墨江)の堤は花見の名所、とのこと。
この対句に拠り、上野公園に邸宅をかまえていた七條氏が、身近な地名と自身の趣味(お酒・詩吟)を組み入れた1対の棋名として「墨江酔人」「蓮湖吟人」を採用されたようです。
また確かに、「墨酔」の二字は、詩句から直接取ったものと(編者は)主張できますね。
(続く)

(#2:最多被引用作)

更に
 墨=書道、酔=愛好:西東書房(書道用レファレンス「五軆字類」の版元)社主で能書家
という含意も考えられましょう。
尚、墨江酔人は「ボクコウスイジン」と読むのでしょうが、私のような岡山の人間は「ボッコウゑひひと」と読みたくなります。「ボッコオエエヒト」は、岡山弁で「すごく善い人」という意味なのですから。

ちなみに、T-Baseにおける名義別作品数は、

  名義 作数
 七條兼三 187
 墨江酔人 120
 七条兼三  2
 蓮湖吟人  1
(不完全作を含む。同一図は排除したが、同一作でも改良・修正・誤図等による異図は重複計上。)

詩よりお酒の方に偏し過ぎ、のように見えますね。
しかし、吟人名義の唯一の作品
 [1]蓮湖吟人7手・詰パラ1971.12東西対抗
  攻方:36銀44龍
  受方:14歩15玉19馬24歩37と
  持駒:飛金
は、T-Baseに実に11回も登場する「名作」です。
これが、七條氏の(現在のT-Baseでの)「最多被引用作品」となります。
ちなみに、第2位は
 [2]墨江酔人77手・近将1975.5
  12玉/24金54香99馬/歩18
の登場8回です。

――川崎弘「ペンネーム分類学」(「北斗」所収、初出はパラ1977.7の由)の記述と微妙に吻合していないようなモヤモヤ感もあったので、調べた結果を書留めてみた次第です。

谷川さん

漢詩は詳しくありませんので、言及は避けたいと思います…。
詰パラ発表作は七條兼三名義が多く、近代将棋発表作は墨江酔人名義が多いという印象です。
7手詰は塚田九段が悩んだという逸話で知られる作品でしょうか。
盤面4枚・持駒歩18枚の作品は「将棋墨酔」第1番に収録されていますね。
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Author:hirotsumeshogi
少ない知識をフル活用させています。
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