簡素図式精選(9)(近代将棋昭和55年1月号)②

第9回の続きです。
第八十九番 太田勇喜氏作

昭和50年12月「近代将棋」

第八十九番 太田 勇喜氏作
2三桂 4二玉 5一角 5二玉 6三金 4一玉 4二角成 同玉 5三飛成 4一玉
5二竜まで11手詰
攻方3三飛の攻めに玉方が3二金打とはじき返して守った様な局面。初手2三桂から3手目5一角の攻めは当然。5二玉のかわしに次の6三金と控えて打つ手が好手。ここは手拍子に6二金と打ってしまう所。この6三金により次の4二角成の好手が生まれる。
簡素な形に、6三金から4二角成の新鮮な味を買われて、第47期塚田賞の短篇賞の栄誉を得た。


第九十番 野口益雄氏作

昭和51年9月「近代将棋」

第九十番 野口 益雄氏作
3一金 同角 2三飛 1二玉 2二飛成 同角 2三金 2一玉 1三桂 同角
3三桂 3一玉 4一とまで13手詰
3一金と軽く捨てて2三飛と打つ。1二玉のかわしに2二飛成と成り捨てる。この手、この味が本作の総てである。難易度から判断すれば”易しすぎる”との声が出るかも知れない、しかしむつかしいばかりが詰将棋の本質ではない。この様な軽快な、心地良い手順を味わうのも詰将棋の一面だろう。作者は駒形駒之介のペンネームで活躍した軽快派の元祖。


第九十一番 藤倉 満氏作

昭和51年10月「詰将棋パラダイス」

第九十一番 藤倉 満氏作
4四金 4二玉 5三角 3二玉 3一飛 2二玉 3三金 1三玉 2三金 同玉
3四飛成 1二玉 2四桂 1三玉 3一角成 2二歩合 同馬 同玉 3二竜 1三玉
1二桂成 同香 1四歩 同玉 3四竜 1五玉 2四竜 1六玉 2六竜まで29手詰
簡素な実戦型ながら内在する変化、紛れは相当なもの。非常に難解な実戦型作品。
手広くて着手に迷うが、初手は平凡に4四金と出る。この変化がややこしい。①2二玉は3四桂、1三玉、1五飛、2三玉、1四角以下。②3二玉は4三角、2二玉、3二飛、1三玉、2五桂、1四玉、3四飛成、1五玉、2四竜、1六玉、3三桂成以下。以上の変化により2手目は4二玉が正着となるが、以下5三角、3一飛と俗手のベタ打ちが続くのでこの俗手順の連続で良いのか?という疑問が起る。ここでサッと3三金の捨駒。巧い局面打開だ。同桂は3四桂、1三玉、1一飛成以下で詰むので、玉方止むなく1三玉と逃げるが、更に追打の2三金捨て、3四飛成を得てからは、3一角成で2二歩合を強要し、その歩を利用しての追手順の収束である。
解答者からは圧倒的な好評を得た本作であるが、作意手順だけを追って行った人は、その好評に疑問を感じるのではないだろうか。29手もの長い道中に、絶妙手もなければ、うーんとうなる様な好手もない。紛れ、変化が多いので正解手順を見付けるのに苦労をして煩雑な感じもする、といった意見も出てくる訳だ。その理由は29手の中で捨駒はたったの4回。それも軽い捨駒ばかりだからだと思う。
これだけ端正な実戦型から、奥深い変化、紛れをもたせて難解度を高め、パズルとしての面白さを感じさせたが故の好評だろう。


第九十二番 勝 亮三氏作

昭和52年7月「詰将棋パラダイス」

第九十二番 勝 亮三氏作
2七銀 1七玉 2八金 同玉 2九飛 1七玉 1八金 同と 2六銀まで9手詰
2七銀から3手目の2八金が良い味の捨駒である。同玉とさせて2九飛。これも取れない捨駒。1八金と退路を閉じて、チョンと出る銀の突き出しによる収束で終り。
終始一貫して軽い手の連続で難手はない。変化の底も浅い。しかし2筋に2七銀、2八金、2九飛と順次捨てていく手順にリズムを感じさせ、それが簡素な形と融和して好感のもてる作品になっている。



前回書きましたが、太田氏作の第47期塚田賞は第46期が正しい表記です。
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