簡素図式精選(7)(近代将棋昭和54年11月号)①

岡田敏氏の連載「簡素図式精選」の第7回です。
第六十三番 三吉一郎氏作

昭和41年1月「近代将棋」

第六十三番 三吉 一郎氏作
1三銀 同玉 3一角 2二桂合 2五桂 1二玉 1四飛 同桂 1三桂成 1一玉
2三桂 同香 2二角成まで13手詰
小駒図専門の作者にしては珍らしく大駒を駆使した作品。3手目3一角に対して2二香上るの応手は2五桂、1二玉、2三桂成、同玉、3三桂成、1二玉、2二角成迄。作意手順では1三桂成と捨てて詰め、変化では、2三桂成と捨てるのが面白い。妙防2二桂合に対し攻方も1四飛と捨て、1五桂を活用しての収束は鮮やか。


第六十四番 片岡貞夫氏作

昭和41年4月「近代将棋」

第六十四番 片岡 貞夫氏作
9五香 9四角合 7二飛 8二角合 同飛成 同玉 7三金 7一玉 8二角 6一玉
6二金 同玉 7三角成 6一玉 5三桂 7一玉 6三桂 8一玉 7二桂成 同角
9一香成まで21手詰
盤面桂四枚と玉のみの特異な形に驚かされるが、粘性のある手順が続き見事な作品。初手9五香は脱出を防いで当然だが、2手目9四角合の中合が味のある玉方の妙防。同香と取ってくれれば8三玉で逃れるし、取らなければ、7二の地点に利かして延命を図ろうという企みである。3手目7二飛に対して、又も8二角合。これは、8三金、同玉、7三桂成の詰を防ぐため。金、銀の合駒は早い。攻方止むなく、同飛成と切って落し、7三金、7一玉、8二角と続けるが、10手目6一玉と逃げられて不詰感が去来する。持駒は使い切ったし、玉方9四角の利きが威力を発揮しており、仲々思うにまかせない。ここで読みを打ち切り、元に帰る様では万事休す、で作品に兜をぬぐことになる。諦めずに精読を続けると、6二金という強手を発見して、思わず膝を叩くことだろう。6二金、同玉、7三角成で手が続くから不思議。7三角成に確信を持てば、以下5三桂、7一玉、6三桂と桂の追打ちをかけ、8一玉に軽く7二桂成と捨て、同角と合駒の角を動かせ、9一香成で見事な収束となる。
盤面桂四枚と玉のみの珍形作品は古来数少ないが、その中でも光彩を放ち、最も優れている作品であると確信する。
作者は、昭和28~29年頃、「風ぐるま」に好作を発表し、一部識者から注目されていた作家。その後四年ばかり冬眠していたが、突如本作を発表して、話題をまき、後続を期待されたが、不発に終った。


第六十五番 谷口 均氏作

昭和42年1月「近代将棋」

第六十五番 谷口 均氏作
3七金 1五玉 1四金 同玉 2三銀 1五玉 2四馬 同と 2六金打まで9手詰
短篇作家として縦横の活躍をし、今や短篇界のナンバー・ワン的な存在になった感のある谷口氏のデビュー間もない頃の作品。
初手3七金と手がかりを作ってから、1四金、同玉、2三銀と収束のお膳立てを作る。よくある手段だ。そして最後に2四馬と待望の捨駒で終る。この手筋を簡潔な形にまとめた代表作。尚、持駒金四枚にする案もあるが作者は捨駒の味を取って銀にしたのだろう。


第六十六番 吉田 健氏作

昭和42年3月「近代将棋」

第六十六番 吉田 健氏作
9八金 同玉 8九銀 同桂成 9七金 同玉 9六飛 同玉 9五飛まで9手詰
入玉図を作らせては当代随一。”そこのけそこのけ、吉田が通る”の感がある作者の入玉小品である。
初手9八金と捨ててから、8九銀の捨駒。ここに詰将棋の本道を歩む作者の姿を垣間見る様な気がする。以下9七金、9六飛の連続捨てで、最終9五飛迄、ドンピシャと決る。最終図で、当初の図面と同じ駒が残っているのは作者のご愛嬌であろう。



吉田氏作は「嬉遊曲」遊第15局に収録されています。
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