長編詰将棋の鑑賞 第7回

「長編詰将棋の鑑賞」、第7回は森長宏明氏の作品を紹介したいと思います。
氏は愛上夫などのペンネームでも発表され、看寿賞は1回、塚田賞は4回受賞されています。


「ペガサス」森長宏明氏作 近代将棋昭和54年7月号修正図
詰物語(※1)第47番
近代将棋図式精選長篇の部第157番

複合型三段馬鋸の作品で、現在においても独創性を失っていないと言えそうです。
銀二枚と歩による壁を壊し、徐々に玉へ近づく馬。
馬の雄大な動きが何とも印象に残り、塚田賞を獲っていても不思議ではないと思われるのですが…。
第54期塚田賞の選考では惜しくも次点でした。

発表時余詰で、修正図をもって賞候補であったためではありません。
長篇賞受賞作も修正図での受賞でした。

では、受賞作をご覧頂きます。



「モビール」上田吉一氏作 近代将棋昭和54年10月号修正図
第54期塚田賞長篇賞受賞
極光21第77番
近代将棋図式精選長篇の部第160番

初手と最終手が同じ手、序の12手を最終12手で再現という恐ろしい作品です。


私の文章ではとてもとても不足ですので、第54期塚田賞発表(近代将棋昭和55年4月号)を少し見てみることとします。
選考委員は北原氏・植田氏・柏川氏・金田氏・岡田敏氏・伊藤果氏・吉田氏と豪華メンバーでした。

<長篇>
上田吉一「モビール」対森長宏明「ペガサス2」の一騎打ちとなった。が、「序奏のメロディーが終曲にもう一度出てくる」「モビール」に軍配が上がった。次点の「ペガサス2」はツキがなかったとしか言いようがない。

<長篇>(丸数字は順位)
上田吉一作
北原① 植田① 柏川① 金田① 岡田① 伊藤① 吉田①
森長宏明作
北原② 植田② 柏川② 金田② 岡田① 伊藤② 吉田①

北原義治
修正図が受賞の前例があるそうだから、とすれば上田氏作が抜群。何を喰えばこういう構想が湧くんやろ?……。同じく修正図の森長氏作も、スケールは大きい。
純潔性(?)を買えば山崎氏作か、毎度おなじみ、今回はやや小粒ながら墨江氏作が受賞してもおかしくない。

植田尚宏
上田氏作と森長氏両作の一騎打となった。両作共100手を越すだけに大作に違いない。両者共甲乙付け難く好みで決まる事になった。
上田氏作は力試しとあるだけに仲々変化に富んだ力作。手順は最後迄たいくつさせない点良かった。森長氏作は面白い馬ノコ銀合等新しいのではないか?収束も良く駒が捌け或いは此の方が上かも知れない。
尚、両作共修正図を以って審査したが、大作に汚点を残す結果となった。

柏川悦夫
上田氏作と森長氏作、両作とも受賞に値する大作と思うも、新らしさと言う点で上田氏作を推す。これこそ上田芸術の粋。

岡田敏
森長氏作と上田氏作の二作は共に見事な趣向作で、いくら考えても優劣をつけ難い。両作を同位とする。

吉田健
上田氏作の駒の動きにリズムがあるのは当然だが、その上まろやかなメロディーさえ感じられた。いかにも現代の久留島喜内らしい佳品。森長氏作の躍動美にあふれるロマンチックな手順構成は氏独特のものであろう。構想もさることながら、表現力の卓抜さを買いたい。

伊藤果
上田氏作。超高等数学。次点は森長宏明氏作。


名作に惜しくも受賞を阻まれた名作の紹介でした。


※1 詰物語
森長宏明氏の作品集。50局+番外「万里の駒」+9局を収録。

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