簡素図式精選(2)(近代将棋昭和54年6月号)①

岡田敏氏の連載「簡素図式精選」の第2回です。
第十番 相原千人氏作

昭和22年4月号「将棋評論」

第十番 相原 千人氏作
2四飛 1三玉 2七飛 1二玉 3四馬 1一玉 1七飛 1三桂跳 同飛成 同角
3三馬 2二角引 2三桂 1二玉 1一飛 同角 同桂成 1三玉 3五角 2四歩合
同馬 2二玉 4四角 3一玉 5三角成 3二玉 4二馬左 2二玉 3三馬引 3一玉
3二歩 4一玉 4二馬まで33手詰
驚異の作品である。僅か三種類の駒(飛、角、桂)でよくもまあこれだけの長手順を生み出したものと感心せざるを得ない。
本作は玉方の受けを主眼にした作品で、初心者が間違う個所が随所にある。8手目1三桂跳の移動合、12手目の2二角引に移動合、20手目2四歩合とする捨合等は、うっかりすると見逃して、簡単に詰めてしまう恐れが充分でスリル満点といった所。これらの要素が大道棋に適していると判断されたのか、大道棋のバイブルと言われる「秘手五百番」の第四九七番に収録されている。
さて詰手順に入って、初手2四飛から2七飛と引くのは、玉方1七飛を質にして当然やるべき手。玉方1二玉とかわした時に、一旦3四馬と玉を1一の地点に追込んでから1七飛とするのが肝要。この時に先程述べた退路開けの1三桂跳及び2二角引の移動合が連続して出てくるのが面白い。以下は手順に玉を追って19手目3五角と打ってこれ迄と思えたが、玉方もしぶとい。2四歩合と捨合をしてねばる。以下二枚馬の挟撃に合って、丁々発止の攻防は33手をもって終焉となる。
攻方の手に目をみはる好手がないとは言え収束3五角と打った角が4四-5三-4二-3三-4二と動く軌跡が実に面白く、解図者を楽しませてくれる。所謂「切れんとして切れない」作品の代表的なものと言えよう。


第十一番 村越俊治氏作

昭和25年4月「将棋評論」

第十一番 村越 俊治氏作
2五桂 2三玉 4五角 3四桂合 1三桂成 同飛 3二角 1二玉 3四角 1一玉
1二角成 同玉 2四桂 1一玉 2一角成 同玉 3二桂成 1二玉 2二成桂まで19手詰
3手目4五角に対し、3四歩合なら、のちに1二歩を打てるので簡単。頭の丸い桂合が最善となる。一旦打った桂を、5手目に1三桂成と捨てるのが味の良い手。9手目3四角に金又は飛合も考えられるが、何れも同角引成とされ早い。盤面に出現して働いた二枚角を収束きれいに捌き捨てるのは気持が良い。


第十二番 山田修司氏作

昭和25年9月「詰将棋パラダイス」

第十二番 山田 修司氏作
8八角 同金 9八金 同金 8九金 同玉 7九金 9九玉 9八馬 同玉
8八金打 9九玉 8九金まで13手詰
簡素な棋形に幾何学的な駒配置は実に鮮やかで美しい。詰手順に難手はないが、軽手の連続で、心地良いリズムを感じる。この様な軽手順の方が、この図柄にマッチしており、初心者に詰将棋の楽しさを教えるのに、絶好の作品と言えよう。金と角のみの構成なので「金角寺の和尚さん」と評された。
趣向、構想作の大家の好小品である。


第十三番 草柳俊一郎氏作

昭和26年1月「詰将棋パラダイス」

第十三番 草柳 俊一郎氏作
6五角 4三角合 同角成 同金 3二角 2二玉 4三角成 1三玉 2三金 同玉
3三馬 1四玉 1二龍 1三金合 同龍 同玉 2三金 1四玉 2六桂 同と
2四馬まで21手詰
普通に攻めても手が続かない。6五角で角合を強要して、玉方5三金を4三の地点へ移動させ、質駒にするのが本作を解く鍵。以下3二角と打ち、空王手で金を入手。直ちに2三金と捨て、習いある収束である。
作者は旧パラ時代に活躍した実力者。



山田氏作は「夢の華」第6番に「金閣寺の和尚」という題名で収録されています。
実に63年前の作品ということになります。
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No title

最後の草柳さんのを4手逆算したのを最近若島先生の詰将棋でみました。最後の上級20です。
http://www.kyoto-minpo.net/html/syougi/jokyu02.html

ぽこりんさんへ

コメントありがとうございます。

確かに4手逆算した形になっていますね。
若島氏のことですから、偶然の一致でしょうね。
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