簡素図式精選(1)(近代将棋昭和54年5月号)②

第1回の続きです。
第四番 望月仙閣作

元禄8年「象戯記大全」8番

第四番 望月 仙閣作
3三角 同桂 2二銀 同玉 3一角 同玉 3二銀 2二玉 2三桂成 1一玉
2一銀成 同玉 3二桂成 1一玉 2二成桂まで15手詰
盤面桂四枚と玉のみ。而も詰上りも桂四枚(成桂を含む)と玉のみという珍品。盤面桂四枚と玉のみという作品で、詰手順も水準を維持している作品は五指にも満たないのではなかろうか。詰手順ではこれという難手はないが、初手3三角と退路封鎖した後、2二銀3一角と軽手が続き、収束は例の手ということになる。素人作家活躍の先駆的好作。


第五番 渡瀬荘治郎作

明治2年「待宵後集」5番

第五番 渡瀬 荘治郎作
1五飛 2三玉 3五桂 2四玉 4二角成 3四玉 4四角成 同玉 4三桂成 5四玉
5三馬まで11手詰
第二番同様角二枚と玉のみの美しい形であるが、これは久留島喜内「妙案」20番の改作図。改作というより「妙案」20番と全くの同一手順であり、「妙案」20番の玉方1二香を省いた図である。1二香は不要駒故本作の方が作品価値が高くなっている。
1五飛の左への利きを消している3五桂が収束に、4四角成に続いて4三桂成とし、瞬時に玉をとらえて、鮮烈な印象を与える。


第六番 松本明雅作

明治38年1月29日「東京二六新聞」

第六番 松本 明雅作
1三香 1二金合 2一金 同龍 3三馬 2二龍 2三桂 2一玉 3二銀 同龍
1二香成 同玉 1一桂成 1三玉 2四金まで15手詰
歩を除いた駒一式の図式。初手1三香に対し1二飛合なら、収束1一飛で2手早い。3手目2一金と捨て、龍を下げてから3三馬とゆくのは、この形の常套手段。簡素な形に合駒2回を盛込み、手順も無難にまとめてある作品と言えよう。
作者には81格全部に玉位置を配した「将棋万象」という作品集がある。


第七番 堀 半七作

明治44年「将棋雑誌」第1巻7号

第七番 堀 半七作
2四飛打 1五玉 1六歩 同玉 2六飛引 1七玉 2七飛行 1八玉 2八飛 1七玉
2七飛引 1六玉 1七歩 1五玉 2五飛 1四玉 2四飛 1五玉 2五飛行まで19手詰
パズル性豊かな名局。本局のポイントは3手目1六歩としてから、5手目2六飛と引き更に7手目2七飛行とする所である。こうすることにより9手目2八飛、1九玉の変化を詰めし得る訳。この操車を間違うと絶対詰まないから面白い。玉方1一桂の代わりに2二歩の図もあるが、敢て原図を紹介した。


第八番 三上 毅氏作

昭和16年5月「将棋月報」

第八番 三上 毅氏作
3三歩 2一玉 5三馬 4二香合 3二歩成 同玉 4三金 3一玉 4二馬 同銀
3二香 4一玉 6三角 5一玉 5二角成まで15手詰
3手目5三馬に対し4二歩合なら、1三角、4一玉、3二歩成、同玉、2二香成、3三玉、4四馬迄11手。
右の変化に備えて、4手目4二香合と頑張って延命策を図るが、3二歩成から4三金と頭から攻められ、あえなく陥落してしまう。
初手3三歩から5三馬が判明すれば、後は容易。作者は月報以来の大ベテランである。


第九番 沢田洋太郎氏作

昭和21年2月「将棋研究」

第九番 沢田 洋太郎氏作
5二銀 同金右 4三桂 同金右 5二銀 同金 6三桂 同金 5二金まで9手詰
持駒がやや多いとは言え、オール捨駒で気持が良い。而もリズム感がある。銀を同じ個所に2度、桂を左右に打ち捨てる辺りは、何ともいえぬ心地良さを感じる。盤面が左右対称であり、詰上りも左右対称の珍品。
「まえがき」に述べた様に二重衝突があった。昭和27年1月米津正晴氏が「詰将棋パラダイス」に同一作を発表したが、悲しき偶然の一致の下に、本作の優先権に涙をのんだ。
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