簡素図式精選(1)(近代将棋昭和54年5月号)①

本日より、岡田敏氏の解説で近代将棋誌に連載された「簡素図式精選」を取り上げていきたいと思います。
「古作から最新作まで詰将棋の原(ママ)流をここに紹介」という副題が付いています。
1回分を2度に分けて更新する予定です。
まえがき
簡素図式――。確たる定義はないが、一般的に盤面駒数が五、六枚以内、持駒が四、五枚以内の詰将棋を簡素図式と称している。
見ただけで解いてみようという気を起させる簡素図式は、東洋的な淡彩画のおもむきがあり、日本人気質にマッチしているのか、愛好家が多い。
ここでは簡素図式を、一応、盤面五枚、持駒五枚以内の図式と定義して、江戸時代より現代迄の作品の中から百局を選んで、ご紹介したいと思う。又、紹介の図式は、或事情により、総てアマチュアの作品のみとし、「裸玉」と「飛角図式」は除外した。
簡素図式は、同一図又は多少図面が異っても、同一手順が出現する可能性が強い。先に発表している作品のプライオリティ(優先権)を確立させる為に、年代順に配列をし、解説をする事にした。
尚、作品の選定の責任は殆んど筆者にあり、ごく一部に本誌編集部の意向が入っている。筆者の資料が万全でない為に、或いは名作、傑作が洩れているかも知れない。お気付の作品があれば編集部迄御一報下されば幸甚。


第一番 古作


第一番 古作
5二馬 同銀右 6二銀(打)まで3手詰
これぞ詰将棋の真髄、ズバリ詰将棋の本質を表現している。
詰将棋とは何であるかを知らない初心者時代に、馬で銀を取ったり、銀を打ったりして鼻の頭に汗をかき乍ら、追っかけ回した苦い経験のある方が多いことだろう。
本作の図面は古来から種々のものが流布されている。3四馬の代りに、1六角や9六角になった図面や、5三銀の代わりに5三とになっている図面があるが、ここに紹介した図面が、紛れ、駒配置等で最も優秀図と思う。


第二番 古作


第二番 古作
2四金 1二金 2三金 同玉 3三角引成 1三玉 1四銀 1二玉 2三銀成 2一玉
2二馬まで11手詰
2四金と打って、直ちに2三金と捨てる。現在でもしばしば見られる手筋の原流がここにある。3三角引成を実現すればしめたもの。1四銀と軽手を放ち、玉方はこれを取れず、2三銀成と追打をかけ収束である。
盤面角二枚と玉のみの簡素な形。しかも一筋に等間隔を置いて配置され、美観を更に印象づける。最終図大駒の1五角が遊んでいるのが唯一の欠点と言えようか。


第三番 古作改作図


第三番 古作改作図
2四香 2三銀合 2二歩 1一玉 1二歩 同銀 2一歩成 同銀 同香成 同玉
3一歩成 1一玉 2一と 同玉 3二銀 1一玉 1二歩 同玉 2三銀成 1一玉
2二とまで21手詰
まづ本作をここへ持って来た理由を説明しなくてはなるまい。
本作は改作図であり、作者不詳として大道棋に使用されている図である。では原図はどれであるか、と言えば、元禄16年に出された「象戯力草」90番で、盤面攻方3三成桂、玉方2一玉、3一香の三枚、持駒は香、歩四枚の計五枚の作品である。作者は初代宗桂と言われており、「象戯力草」は詰将棋史上初の詰将棋作品集である。後日、盤面駒配置を改良し、3三成桂を3三とに、3一香を3一歩にした図が最もポピュラーなものとして伝えられている、
右記のような訳で、本作品を古作の枠の中に入れて解説するので、悪しからず御了承をお願いしたい。
さて詰手順は実に見事なもので、近代的な薫りがただよう。初手2四香で合駒が効かず終り、と思うのが初心者の常で、大道棋業者の思うつぼ。2三銀合という大道棋特有の中合が出てきて、一瞬ギクリとする。ここ2三角合とすれば以下2二歩、1一玉、1二歩、同角、2一歩成、同角、2二と迄。又銀、角以外の合なら、2二歩、1一玉、1二歩、同玉となり簡単な早詰。10手目1二玉なら、2三銀、1三玉、1四歩、2四玉、3五と迄。この変化は随所に出てくる。
銀を入手してから以後は3二歩を消して、3二銀を実現。後は簡単な収束である。
本作は改作図だけあってよく練れており、キメ細やかな巧妙な手順で、傑作と言えよう。


第三番の解説で言及されていた象戯力草90番を掲げます。
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