続・塚田賞作品の魅力(最終回)(近代将棋平成9年12月号)③

「続・塚田賞作品の魅力」本編の最終更新である今回は長篇部門を取り上げます。
第81期(平成5年1~6月号)

長篇賞 添川公司作
「天国と地獄」



添川公司作(H5・6) 詰手順
39金 同と 59銀 ④46金 58銀打 ⑥38玉 37と 同金 29金 同と寄
37龍 同玉 46角成 27玉 17金 ⑯同と 同と ⑱38玉 47馬 39玉
57馬 28玉 18と 37玉 46馬 ㉖26玉 17と 15玉 16と 14玉
15と 23玉 14と 34玉 35歩 25玉 (1)15と 26玉 16と 27玉
17と 38玉 47馬 ㊹39玉(途中1図)

途中1図(44手目39玉まで)
第81期添川氏作1

57馬……46馬……16と 24玉 15と 23玉 14と 22玉 13と 31玉
64角成 [62]21玉 12と 32玉 54馬 23玉 13と 24玉 14と 25玉
(2)15と……31玉 64馬……65馬 (3)15と……31玉 75馬……76馬
(4)15と……31玉 86馬……87馬 (5)15と……31玉 97馬……98馬
(6)15と……31玉 97馬……87馬 (7)15と……31玉 86馬……76馬
(8)15と……31玉 75馬……65馬 (9)15と……31玉 64馬……54馬
(10)15と……31玉(途中2図)

途中2図(366手目31玉まで)
第81期添川氏作2

41と 同金 同香成 同玉 42歩 [372]同玉 64馬 53歩合 同馬 同玉
54歩 43玉 53歩成 同玉 64馬 44玉 45歩 35玉 46と [386]26玉(途中3図)

途中3図(386手目26玉まで)
第81期添川氏作3

36と 同玉 47銀 [390]同玉 37金 56玉 46金 67玉 68銀右 76玉
77銀 85玉 86銀 94玉 85銀打 93玉 83桂成 同玉 74銀 92玉
93歩 同玉 94歩 同玉 85銀上 93玉 94歩 92玉 84桂 91玉
81香成 同玉 72桂成 同玉 73銀成 71玉 53馬 81玉 71馬 同玉
62香成 81玉 72成香 92玉 82成香まで431手詰
④48金合は58銀打、59玉、68銀以下
⑥同成銀は同銀直、38玉、37と、同金、29銀、同と上、37龍以下
⑯38玉は47馬、39玉、57馬、48飛合、同銀、同桂成、49飛以下
⑱28玉は18と、39玉、57馬、38玉、47銀、37玉、46馬、26玉、17と……34玉、35歩、25玉、36馬まで
㉖38玉は47馬…57馬以下(⑱と同じ)
㊹28玉は18と…57馬…47銀…46馬…17と……31玉、64角成、32玉、54馬、31玉、41と以下(収束手順に入り、47に銀がいるので早詰)
[62]42飛合は同香成、同歩、同と、同金、51飛、41金打、42馬以下
・32玉は54馬、43金合(31玉ならと金追いが 一回省略される)、同香成以下
[372]51玉は41金、52玉、63香成以下(馬を54まで戻すのはこの変化のため)
[386]34玉は35歩、25玉、16金、24玉、15金、13玉、31馬以下
[390]45玉は37桂、34玉、35歩以下
いくつかの変化を伴った序奏を経て二枚の龍が消え、46角成から馬の細かな動きの後、と金の縦追いが始まって漸く趣向が見えてきます。ところが、最初は14とに34玉と折り返し、35歩を打たれて15と…で下辺に戻ります。
再び47馬…57馬…46馬…でと金追いに入りますが、途中1図で㊹28玉の変化を確認しておかねばなりません。今度は35歩で馬筋が止まっているので、14とに22玉から31玉まで行き、64角成から54馬、23玉、13と…で折り返してきます(この辺りの変化と歩が手にあるときの22歩、32玉、54馬、43金合…の紛れが紙一重なのに感心する)。
これで本局の主題が明らかになりました。黒川一郎氏の「車井戸」(詰パラS30・7、浪曼集90番)で初めて使われたと金の縦追い戻り手順と馬鋸を組み合わせた一サイクル34手の反復趣向なのです。
これを十回繰り返し、98歩を入手して54馬まで戻った途中2図から41と…とバラして収束へ。銀引きで働いた馬は歩と交換し、55歩を消去してもう一枚の馬が世に出てきます。途中3図で切れた感じですが、ここから36と…47と…の英断で左辺へ呼び込み、さらに40手もかけて全ての駒を捌いて最後は馬も捨てての鮮やかな詰み。これは盤に並べてぜひ味わってみて下さい。また題名の意味を探ってみるのも一興でしょう。
とにかく非の打ちどころのない完璧な構成の超長篇で、五期連続十二回目の受賞。これは山田修司氏と並ぶ大記録です。
岡田敏「と金の上下運動と馬鋸を組み合わせた面白い趣向作で、駒を並べ詰め上げて溜息が出るのみだった」
谷口均「序盤からテーマ部分、収束へと完璧な流れを見せ、盤面全体をパーフェクトに捌ききる。添川氏の代表作となるであろう」
服部敦「巨弾趣向作の一級品」
伊藤果「超大作というだけでなく内容も傑出している」
桑原辰雄「手順を追うだけでもかなりの時間を要するが、その価値は431手の長さに間違いなく凝縮されている」


長篇次点 広瀬行夫作


広瀬行夫作(H5・2) 詰手順
17歩 同玉 18歩 16玉 28桂 26玉 27歩 同玉 36桂 ⑩16玉
17歩 同玉 35馬 16玉 34馬 17玉 44馬 16玉 43馬 17玉
53馬 16玉 52馬 17玉 62馬 16玉 44桂 ㉘66角合 同飛 同龍(途中図)

途中図(30手目66同龍まで)
第81期広瀬氏作

61角 ㉜43歩合 同角成 17玉 32桂成 ㊱62龍 44馬 16玉 34馬 17玉
35馬 16玉 25馬 17玉 28銀 18玉 19歩 29玉 47馬 28玉
29歩 39玉 48馬 29玉 39金 19玉 37馬 18玉 28馬まで59手詰
⑩38玉は47馬、39玉、38金以下
・28歩合は同銀、26玉、17銀、37玉、47馬以下
㉘26角合は同飛、17玉、16飛、同玉、17歩、同玉、32桂成(35角もある)、26歩合、同馬、同桂、18歩以下
㊱26歩合は16馬、同玉、17歩、同玉、18歩、16玉、52馬まで
初めに18歩を据えておくのは⑩28歩合に備えた軽い伏線。28桂から36桂と跳ね、35馬と出ると作者の狙いが見えてきます。馬鋸で遠ざけ、再度の桂跳ねで馬の利きを遮断して打歩詰を解消する筋です。ところが53馬まで行って44桂としても66角合、同飛、同龍…で相変わらず歩詰形です。
ところが62馬まで行っておくと途中図で61角と打つことができ、㉜17玉なら52桂成でこの角筋を止められるのです。つまり、馬鋸の目的は後の龍利きを遮って遠角を実現することでした。
ところが、それで終わらず、玉方も43歩の捨て合で抵抗。今度は㊱26歩合の変化に備えて32桂成の方へ開くのも洒落ています。最後は馬を引き寄せ、47金を取って終わります。
遠角と馬鋸に桂の三段跳びを組み合わせた構成は素晴らしく、好作です。
服部敦「角の妙技による謎解き」
兼井千澄「創意ある中長編。初入選でのこの構成は見事」
×  ×  ×  ×
さて、長らくご愛読頂きましたこの連載も本誌のリストラの煽り(?)を受けて今回で中断します。
本誌の詰将棋欄には、塚田賞の効果もあって、創刊以来、実に質の高い作品が集まりました。多くの作家が育ち、実戦型から曲詰・趣向作・構想作などあらゆるジャンルの傑作・名作の数々が誕生したのも、本誌の功績です。
今後とも塚田賞を中心に<本物>を指向して一層の発展を期待します。
最後に恒例の「塚田賞受賞者番付」を掲げておきます(最後の第89期までを集計しました)。第50期までの前回の番付表と比較すると、この二十年間に活躍した作家が一目瞭然です。
では、またの機会を楽しみに……。



黒川一郎氏作「車井戸」を掲げます。



「塚田賞受賞者番付」の掲載は、上手に表示させる技術がないなどの理由で見送りたく思います。

次回更新は、第51~81期の塚田賞受賞作品一覧を予定しています。
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