続・塚田賞作品の魅力(最終回)(近代将棋平成9年12月号)①

森田銀杏氏の連載「続・塚田賞作品の魅力」、最終回(第81期)も3度に分けて取り上げたいと思います。
今回は短篇部門です。
第81期(平成5年1~6月号)

この年の3月号に入選100回の原島利郎氏と入選200回の桑原辰雄氏の記念作が揃って発表されました。
原島氏の初入選は昭和43年1月号ですが、二回目は十六年も経った59年2月号。最初は長篇作家だったのが、この頃から短篇に転向して毎月のように入選し、僅か九年で無鑑査作家の栄誉を獲得されました。
桑原氏は昭和26年7月号に初入選し、三十年後の57年4月号で100回を達成。ところがその後も毎号のように発表されて僅か十一年で200回に達しました。
両氏ともそのペースは未だに衰えを見せず、そのバイタリティには感嘆のほかありません。


第81期「塚田賞」選考投票 集計表



短篇賞 富樫昌利作


富樫昌利作(H5・1) 詰手順
25桂 24玉 35馬 ④15玉 26馬 24玉 35馬 23玉 12銀 同香
13桂成 同香 24歩 12玉 34馬まで15手詰
本局の主眼は4手目。すぐに④23玉では32銀、同銀、24歩、12玉、34馬のとき、23合が歩以外なので、同歩成…で、その合駒を打って詰みます。ところが15玉と躱して26馬、24玉、35馬、23玉とすると、先程の手順では23歩合ができて打歩詰に陥ります。つまり、4手目の15玉…はわざと歩を取らせる不利逃避という高級手筋。しかもその目的が二歩禁回避なのは初めてです。
このような珍しい構想を簡潔にまとめたところが買われました。
兼井千澄「今までの不利逃避は、理論上はそうであっても感覚的には不利とは思えないものが多かった。易しくても自然に出来ている、そこが良い」
伊藤果「構想的には素晴らしいが、収束の甘さが気になる」
北原義治「いわゆる構想物の類。やや大きい舞台装置を無理に捌いたりせず、収束をザックリと断ち割った点も買う」
服部敦「ロジカルで、形の悪さを越えたロマンがある」
植田尚宏「異色の短編」


短篇次点 植田尚宏作


植田尚宏作(H5・2) 詰手順
12歩 同玉 23銀 21玉 13桂 同銀 12銀成 31玉 21成銀 同玉
11飛 同玉 13飛成 21玉 22銀まで15手詰
初手から飛車を打ったり、3手目に13銀とする紛れがあるが、作意は23銀と押さえ込み、13桂で同銀と呼んでから12銀成…と捌く。つまり打った23銀が邪魔駒で、これを消去するというのが主題です。
岡田敏「形も悪くないし、紛れが多くて詰め難い。一旦打った銀を12銀成…21成銀と捨てる味を買う」
北原義治「収束をキッチリと束ねた一つの短編の典型」
谷口均「地味な捨駒の連続も、氏の力にかかると実にコクのある妙手順に昇華する」
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最終回

毎回楽しみにしていた「続・塚田賞作品の魅力」ですが、とうとう最終回となってしまいましたか。
この記事の内容を見てwikipediaを少しずつ編集してきたのですが、今後どうするか、悩ましいところです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A9%B0%E5%B0%86%E6%A3%8B#.E5.A1.9A.E7.94.B0.E8.B3.9E

名無しさんへ

第82期以降の塚田賞作品については、少々考えていることがあります。
明後日(4日)記事に書く予定です。
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