続・塚田賞作品の魅力(30)(近代将棋平成9年11月号)②

今回は中篇部門を取り上げます。
第80期(平成4年7~12月号)

中篇賞 関 半治作


関 半治作(H4・10) 詰手順
28香 ②27桂合 同香 ④26桂合 同香 ⑥25桂合 同香 ⑧24桂合(途中図)

途中図(8手目24桂合まで)
第80期関氏作

33馬 14玉 17龍 ⑫16歩合 26桂 15玉 24馬 ⑯同銀 27桂 25玉
37桂 36玉 28桂まで21手詰
②24歩桂合は(a)33龍、12玉、11と以下
・24銀合は同香、14玉、41馬、24玉、42馬、14玉、15銀以下
・25桂合は(b)33龍、14玉、41馬、15玉、13龍以下
・26桂合は(c)33馬、14玉、15馬、同玉、26龍、14玉、23龍、15玉、13龍以下
・27歩合は同香、26合、33馬、14玉、15歩以下
④24歩桂合は(a)33龍以下(②と同様)
・25歩合は(b)33龍、14玉、41馬以下
・26歩合は(c)33馬、14玉、15馬、同玉、26龍、14玉、23龍、15玉、16歩、同角、13龍以下
⑥24桂合は(d)15桂、14玉、41馬、15玉、17龍、16合、27桂まで
⑧24香合は33馬、14玉、17龍、25玉、37桂、36玉、28桂、同香成、46金、同玉 26龍、36合、57金まで(同手数、駒余り)
⑫香銀合も同じ
⑯同飛でも同じ
初手28香の遠打ちに対して四枚の桂を続けて合駒する趣向作。一枚目の27桂合は(c)33馬…の筋を消すもので、歩合では同香と取り、15歩が打てて簡単です。二枚目の26桂合は(b)33龍…の筋を消すもので、歩合なら33馬…で16歩が生じます。三枚目の25桂合は持駒が桂二枚になったために可能になった(d)15桂…の筋を消すと同時に17龍廻りを阻んでいます。最後の24桂合は他の合駒よりも最善という意味です。
四桂連続合駒の作品はこれまでもいくつか作られてきましたが、本局の凄い点は最少の使用駒数で最短の手数を実現したことと、それぞれの合駒の意味づけが異なることです。しかも、二歩禁による歩合制限をしていないのは史上初の試みでしょう。
桑原辰雄「初手28香に対して四枚連続の桂合とは恐れ入った構想」
岡田敏「変化が複雑で頭が痛くなるが、この構想を21手でまとめた腕に脱帽」
服部敦「悪形や非限定の代償を払ってまで四桂連合を短手数で実現した意欲作」
兼井千澄「無理やり帳尻を合わせた四桂連合だが、とにかく実現させた腕力は凄い」


中篇次点 水上 仁作


水上 仁作(H4・9) 詰手順
33飛 22玉 35飛成 ④33歩合 同角成 同桂 同角成 21玉 43馬 22玉(途中図)

途中図(10手目22玉まで)
第80期水上氏作

44馬 ⑫21玉 54馬 22玉 34桂 ⑯13玉 14歩 同玉 36馬 同飛
25龍 13玉 15龍 14合 25桂まで25手詰
④33桂打は同角成、同桂、同角成、21玉、13桂、同香、43馬、12玉、32龍、22金合、同龍、同玉、34桂以下
⑫13玉は15龍、14合、25桂打以下
⑯31玉は41歩成、同玉、44龍、52玉、42龍以下
33飛打ちから開き王手をし、33歩合をバラして途中図まではなんとか辿りつけましたが、ここでハタと手が止まります。飛車の成り場所が違ったか…と、34龍や43龍に変えてみても埒があきません。ここから馬鋸で馬の位置も変えられますが、意味がなさそうに見えます。ところが54馬のときに34桂と打つと、14歩から36馬捨ての好手が生じて詰みました!
爽やかな実戦型に理知的な妙手順を取り入れた佳作です。
谷口均「さりげない実戦型から意外な構想がとび出す。飛車はあき王手で、馬は鋸引きで、常識より一間遠くへ移動する。その後に34桂という難手があり、氏らしい難解作となった」
伊藤果「馬使いの味が堪らない」
北原義治「構想の描き方が捨て難く感じる」
兼井千澄「ミニ馬鋸が入った謎解きものをこの初形にまとめた苦心が偲ばれる」


中篇次点 佐々木聡作


佐々木聡作(H4・11) 詰手順
12銀 ②同金 23桂 同金 21と 12玉(途中図)

途中図(6手目12玉まで)
第80期佐々木氏作

24桂 同金 22と 同玉 24龍 ⑫23金合 21金 12玉 23龍 同玉
22金打 ⑱14玉 15銀 同玉 42馬 ㋑24飛合 26金打 14玉 24馬 同玉
23飛 14玉 15金 同玉 26飛成 14玉 23龍 15玉 26金まで35手詰
②同玉は24桂、11玉、12銀、同金、21と、同玉、12桂成、同玉、24桂以下
⑫飛合は21金、12玉、23龍、同玉、22飛、14玉、15銀、同玉、42馬以下
・他合は33銀、同金、31馬以下
⑱33玉は44銀、34玉、35銀以下
この作品は作意手順を追っただけではちょっと理解できないでしょう。
途中図をご覧下さい。ここから23龍、同玉、22金とする方が持駒に桂があって有利な筈です。ところが作意と同じ手順を踏むと、㋑24金合とされて詰みません。そこで途中図から24桂と捨て、22と…24龍で金合をさせて21金…23龍…とすると、今度は㋑24金合がなく、飛合を強要できるのです!つまり、桂損をしながら迂回するような24桂からの8手は、21とを金に変えるための妙手順なのでした。
このような置駒変換による合駒制限を主題にした作品は柏川香悦氏の名作「駒と人生18番」以来ではないでしょうか?極めて珍しい構想作品です。
植田尚宏「構想物というか、手順にコクがある中々の作」
服部敦「地味な構想だが、三部門を通じて最も創意を感じた作品」
伊藤果「渋い技で堪能しました。惜しむらくは、収束に引き締まりがあれば…なんですが」



佐々木氏作の解説において言及されている、柏川悦夫氏作(将棋時代昭和25年1月号修正・改良図)を掲げます。


以前、当ブログでこの作品を取り上げたことを思い出しました。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

hirotsumeshogi

Author:hirotsumeshogi
少ない知識をフル活用させています。
当ブログはリンクフリーです。
相互リンクは詰将棋関係のものであれば原則受けさせて頂きます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR