続・塚田賞作品の魅力(30)(近代将棋平成9年11月号)①

森田銀杏氏の連載「続・塚田賞作品の魅力」、第30回(第80期)も3度に分けて取り上げたいと思います。
今回は短篇部門です。
第80期(平成4年7~12月号)

この期は、毎号入選の上、12月号には「真珠の小箱」と題する四十六局の小品集まで発表した原島利郎氏が短篇で初受賞。中篇は関半治氏が四桂連合作品で二回目の受賞。長篇は、12月号に特別懸賞で発表された駒場和男氏の煙詰「駅馬車」が選考対象から漏れていたため、添川公司氏の曲詰が独走して十一回目の受賞となりました。
この年に初入選した作家は小笠原隆治・金子秀治・吉岡正壽・門脇芳雄・熊本尚二・石川歩・大野雄一・三浦司・米倉正隆・上田哲彦・白石連太郎・須藤大輔・阿笠栗介・山田嘉則・安田恒雄の十五氏ですが、その大半がベテランだったのは面白い現象でした。


第80期「塚田賞」選考投票 集計表



短篇賞 原島利郎作


原島利郎作(H4・9) 詰手順
13金 同桂 24飛 ④23銀合 21金 12玉 11金 22玉 12金 同玉
21馬 同玉 23飛成 11玉 12銀まで15手詰
④23金合は33金、同角、21馬、同玉、23飛成、22合、11金まで
24飛から21馬が筋ですが、初手からだと23金合…で逃れ。そこで13金、同桂としてから24飛とすると、今度は銀合をされて33金…は成立しません。仕方なく21金から11金…12金…と押し売りして21馬と跳び込めば、12歩が消えているので詰みました。
ごく自然な形の中にさりげなく12歩の邪魔駒消去を織り込んだ佳作です。
桑原辰雄「原島氏独特の小味が攻方12歩配置に滲み出ている」
岡田敏「攻方金の動きを簡潔な形で表現したスマートな短篇」
服部敦「金の動きは至芸。小品にもちょっぴりロジカルな所があるのが原島氏の特徴」
兼井千澄「簡潔な初形に変化・紛れが程よく配合されており、完成品」


短篇次点 山田康平作


山田康平作(H4・11) 詰手順
29香 ②28歩合 同香 27飛生 17銀 同玉 18歩 26玉 27香 同玉
28飛まで11手詰
②27飛成は37銀、17玉、28銀引、26玉、27銀以下(同手数、駒余り)
29香の離し打ちに、玉方は28歩の中合と27飛不成の移動合で抵抗しますが、37銀打ちを17銀捨てに変えれば解決。受けの手筋を簡潔な入玉型であっさりとまとめた好作です。
植田尚宏「前半がヤマ」
岡田敏「コンパクトな玉方の好防を挿入した」


短篇次点 山田嘉則作


山田嘉則作(H4・12) 詰手順
17香 ②16角合 同香 同玉 52角 ⑥43桂合 同角成 同歩 56飛 46角合
28桂 15玉 24龍 同角 16飛まで15手詰
②16歩合は同香、同玉、56飛、46角、17歩、15玉、24龍、同角、16飛まで
⑥25歩合は56飛、15玉、25角成、同馬、16歩、同馬、24龍まで
玉の動きは限られていますが、先に飛車か龍を使おうとすると旨く行きません。玉方16角合の抵抗に対して、52角で持駒を交換してから56飛とすれば46角合以下の綺麗な収束手順に入れます。独特な味わいの中段玉作品です。
服部敦「合駒パズル。広い空間を大駒が自由闊達に飛び回る様に心を魅かれた」
谷口均「飛び交う空中技に合駒の綾が絡み合う手順の面白さ。限定合で逃れる紛れもあり、傑作」
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